イカVIP対応
イカはすぐさばいてくれた。本当に早くて、1分かかってないくらいだと思う。
イカが好きだということで、店員さんと仲良くなり、デザートまでサービスしてくれた。
イカ痛バッグを持っていることで、コミュニケーションが生まれ、終始イカVIP対応だった。
またここに推し活に来よう!
イカが好きだ。
最近、「誰か推しいる?」という質問をされ、迷わず「イカ」と答えた。
そう、私にとって、イカは推しなのだ。
ならもっと推し活をするべきなんじゃないか?
推し活といえば、まずは痛バッグだよな、と思ったので、イカの痛バッグを作ることにした。
好きになったきっかけは、さかのぼること6年前、居酒屋で衝撃的においしいイカを食べたことだった。
なぜこんなにおいしいのか、ということが気になり、イカに注目して生活するようになった。不思議な生態や、宇宙人のようなユニークな見た目も面白いと感じ始め、気付くとどっぷりと沼にハマっていたのだ。
イカのグッズを見つけると必ず買うようになり、結構コレクションが増えてきた。
イカ好きが周知されてきており、何かプレゼントをもらうときは、95%くらいの確率でイカグッズになってきている。
推し歴6年の集大成をつめこんで、痛バッグをつくってみよう!
出来上がったのがこちら。
イカ愛があふれる作品に仕上がった。どんな風に作ったか、説明していこう!
痛バッグとは、バッグにキャラのグッズをびっしりつけて、推しへの愛の形を具現化したものだ。キャラの布教活動も担っているらしい。
私もイカの良さを人に伝えたい!!
普通のトートバッグでもいいのだが、重みでたゆんでしまったりすると書いてあったので、痛バッグ専用のカバンを買った。透明なポケットに缶バッジなどいれると、傷がつきづらく、保護になるのだ。推しグッズを守るすぐれものアイテムである。
とりあえず沢山のグッズが必要ということがわかったので、イカグッズを自分でも作って見ることにした。
世の中の人は皆、推し活をしているのだな。
とりあえず、バッグにつけてみよう!
結構つくったつもりだったのに、かなりスカスカだ。イカのポストカードで埋めてみたりもしたが、それでもまだ足りない。
まだまだ缶バッジ内職をしなければいけないのか。
ゴールの見えない痛バッグへの道に、少し気が遠くなった。
そういえば、痛バッグの本に連結テクニックというのが書いてあった。
痛バッグって缶バッジをたくさんつけているイメージだったけど、連結という技もあるのか。よし、今度はこれをつくってみるぞ!
同じものをたくさんつくるには、板を重ねて糸のこで切ればいいのでは?と思ったので、糸のこを持っている友人に工房を貸してもらうことにした。
何回か糸のこを使ったことがあるが、怖くて全身に力が入ってしまう。
恐怖を打ち勝つために、感情を無にすることを心がけているが、中々むずかしい。ずっとやっていたら悟りを開けるかもしれない。
糸のこが大変だったが、やっとここまで来た。もしかしたらイカ愛を試されていたのかもしれない。イカを描くのは好きなので、この作業は余裕だ。
連結グッズが出来上がったので、カバンにつけていこう!
スカスカだった缶バッジエリアもいい感じにカモフラージュされた。
ゲソパーツをつけると作業しづらい感じがしたので、そっちは最後につけることにしよう。
だいぶボリュームがでてきたので、あとは手持ちのイカグッズを追加していこう!
これらをバッグに追加し、最終的に出来上がったのがこちら。
ゲソもいい感じ!持っている小さいぬいぐるみは安全ピンでつけた。
測ってみたら2キロあった。2キロのトートバッグ……!!
本来ならば、これを持ってライブに行ったりするのだろうが、イカ推しにとってライブとは、やはり水族館にいくことであろう。
ということでサンシャイン水族館に来てみた。
よし!さっそくイカのところに行こう!
私は年間パスを持っているので予約なしですぐ入れるのだ。イカに元気をもらいたいときは必ず水族館に来る。
この間来たときは8匹ぐらいいたのに、2匹になっているのが少し気になった。水族館の人が、「イカを育てるのは難しく、生き餌しか食べないのでお金がかかる」と言っていた。やっぱりイカは人の手の届かない存在なのだろうか。
イカに見とれていると、後ろから、
「あのバッグやばくない!?あの人イカに詳しいのかな?」
「ほんとだ!解説してくれないかなぁ」
という声が聞こえた。
やばい。私はイカが好きだが、イカの生体ついてものすごく詳しい訳ではないのだ。
ムーの雑誌に載ってそうなイカ宇宙人説についてちょっと話すくらいしか出来ない。とりあえず逃げよう。
バッグを置いてトイレに行き、帰ってくると子ども3人が、イカの数を数えていた。
その子たちのお母さんと目があうと、
「あ、服もイカなんですね……!」
と言われた。
「子どもたち、イカのバッグとても喜んでました。ありがとうございました」
とお礼を言われ、お母さんは席に戻っていった。
トイレにいくときにバッグを置いていっただけでお礼を言われた。私の経験上、もっともハードルの低い善行である。
目線の高さにあるせいか、子どもにじっとみられることが多かった。
アシカショーで前に座った子はアシカを見ずに振り返って私のバッグを見ていたし、イカのぬいぐるみで手を振ると、手を振り返してくれる子どももいて、かなりイカの布教活動ができた。
私はイカをみるのも好きだが、食べるのも大好きである。
推し活の最後はイカを食べにいこう!
イカが有名な居酒屋さんに行くことにした。
お店にはいるやいなや、
「イカ好きなんですか?奥のいけす見ます?」
と言われた。
一緒に写真とってもいいか聞くと、
「いいですよ!じゃあ手前にイカキープしますね!」と言ってざるを取り出した。
なんだこのサービス!イカVIP対応じゃん!!!
せっかくなのでキープしてくれたイカを注文することに。
お兄さんはひょいとイカを持ち上げた。
そして、
「さばく前に、イカ持ってみます?」
と言ったのだ。
えーーーーー!!どうしよう!!!
生きているイカを持ったことがないので困惑したが、持ち方を教えてもらい、おそるおそるイカに触ってみた。
ドクン、ドクン、ドクン……、という鼓動がダイレクトに伝わってきて、小ぶりなイカだったが、ものすごく力強いエネルギーを感じた。いつもお魚屋さんで買ってくるイカと全然違う……!!
釣りをしている人が、
「生きているイカは一番美しい」
と言っているのを聞いたことがあるが、絶えず色を変え続ける手の中のイカをみながら、本当だな……と感じた。
ただ私が持つと、グッズのひとつのように見えるかもしれない、と思った。
イカはすぐさばいてくれた。本当に早くて、1分かかってないくらいだと思う。
イカが好きだということで、店員さんと仲良くなり、デザートまでサービスしてくれた。
イカ痛バッグを持っていることで、コミュニケーションが生まれ、終始イカVIP対応だった。
またここに推し活に来よう!
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