具なし麺の世界
具なし麺の素晴らしさに気がついてもらえただろうか。手軽だし、安いし、美味しい。麺を食べているんだ、と心から思えるのだ。そこに混じりっけはない。一番搾りみたいな状態なのだ。ぜひ土曜日の昼ごはんとかに食べて欲しい。幸せになれるから。

麺料理というものがある。ラーメンや焼きそば、ちゃんぽんなど挙げればキリがない。そんな麺料理はほぼ例外なく「具」が乗っている。ラーメンならチャーシューなどが入り、焼きそばなら豚肉などが入っている。
確かに具が入っていると美味しい。しかし、具がなくても美味しいと気がついた。麺だけでも美味しいのだ。自宅で作る時は具がない方が楽。それでいて美味しいのだ。
自宅でも麺料理は簡単に作ることができる。スーパーに行くと、様々な即席麺的なものが売られている。たとえば、袋ラーメン。お鍋で麺を茹でて、一緒に入っている粉を溶かすだけで美味しく食べることができる。
上記はサッポロ一番塩ラーメンだ。パッケージを見ると海老や焼豚、卵などが乗ったラーメンを確認できる。裏面の作り方を見ても、「海老、卵、野菜などを加えますと一層おいしく召し上がれます」と書いてある。
見た目も良くなるし、栄養面でもいい気がするので、具があった方がいいと思うかもしれない。ただ私は今回「ノー」を盛大に掲げたいと思う。一人暮らし15年を超えた私は気がついてしまったのだ。自宅で作る一番美味しい麺料理はなんなのか、と。
基本的な作り方は袋の裏面に書いてある通りだ。入れるものも最初に袋に入っているものだけ。ごま油を垂らすとか、ネギを入れるとかもしない。麺を規定の水の量で茹でて、袋に入っているスープを混ぜるだけ。あとこのラーメンには切り胡麻も入っているのでそれを振りかける。
具は乗せないのだ。全く乗せないのだ。美味しく食べようと思ったら、具が必要な気がするかもしれない。違うのだ。何も乗せないのが美味しいのだ。「具なし麺」。これがシンプルイズベストなのだ。
結局ラーメンってなんですか? ということなのだ。具ではない。スープと麺なのだ。具という邪念をなくすのだ。命の輝く味がする。それはラーメンだけではない。
焼きそばを想像して欲しい。キャベツや豚肉、紅生姜などが具として乗っているはずだ。確かにそれも美味しい。しかし、気がついてしまったのだ。本当に美味しい自宅で作る焼きそばの料理方法を。
どうだろうか、具はないのだ。具なしの焼きそばが美味しいのだ。口に入れた時に100%の炭水化物。これを私は幸せと呼んでいる。麺とソースを邪魔するものは皆無。美味しいとは結局、炭水化物なのだ。それが100%。美味しくないはずがない。
具なし焼きそばを食べると命の輝きを感じる。生きていてよかった、と思うのだ。まず味が若干濃い。野菜などから出る水気がないので、味が濃い。「濃い=正義」の星の下で育ったので具なしこそ正義なのだ。
暑くなると冷やし中華を食べたくなる。錦糸卵やハム、トマトなどが一般的には乗っている麺料理だ。パッケージにもそのような写真が掲載されている。確かに冷やし中華と言われて思い浮かべるのがこれだ。しかし、もっと美味しい冷やし中華が世界には存在するのだ。
冷やし中華に具は必要ないのだ。錦糸卵もハムもトマトもキュウリもいらない。必要なのは麺と酸っぱいタレと付属のふりかけだけ。実は買ってきた状態で完成されていて、他に買う必要なんてないのだ。安いし美味しい。具なし麺は最強なのだ。
これもやっぱり感じるのは濃いとういことだ。具がないので濃い。麺の味も濃い。黄金の小麦畑が瞼の裏にも表にも浮かぶ。何より安いのだ。楽だし、美味しいし、安いし、我々は他に何を求めればいいのだろうか。
ラーメンも焼きそばも、冷やし中華も100%の炭水化物に近い方が幸せということがわかったと思う。もちろん上記の3つだけではない。チャンポンもそうなのだ。チャンポンを想像して欲しい。野菜がたっぷり乗っているのを想像すると思う。
パッケージの写真にもやはり野菜がたっぷりと乗った写真が使われている。わかる、チャンポンはこうだもの。私も長い間、チャンポンとは野菜だ、という考えに縛られ生きてきた。しかし、私はその呪縛から解放された。
乳白色が美しい。こんなにも乳白色を堪能できるチャンポンを見たことがあるだろうか。それは具なしのおかげ。具がないのでこの美しき乳白色を堪能できるのだ。私は麺料理では麺を食べたいのだ。野菜はいらないのだ。
食べればもちろん美味しい。スープの味を堪能できるのだ。野菜の甘みなんてない。だって入っていないから。だからこそスープの味を100%堪能できるのだ。そこに麺の美味さ。野菜なんてなくてもチャンポンは美味しいのだ。
健康なんて無視なのだ。だからこそ命の輝く味がするのだ。皿うどんもそうだ。上記のパッケージのようにやはり具が乗っているのが普通だ。トロみのついたスープに野菜が絡む。しかし、違うのだ。皿うどんの美味しさは麺なのだ。その力を100%引き出して欲しいのだ。
シンプルイズベストなのだ。これではお腹が満たされないのでは、とここまで紹介した全ての具なし麺で思うかもしれない。でも、大丈夫。具を買うお金で麺をさらに買い足せばいいのだ。さすればお腹は満たされる。幸せになれるのだ。
麺料理の力は100%私に伝わっている。混じりっけなし。我々人類は100%を好む。100%のジュースなどは高いイメージがある。それなのに麺料理では具を乗せることで100%をわざわざ下げている。100%の炭水化物、それが具なし麺なのだ。素晴らしいではないか。
具なし麺の素晴らしさに気がついてもらえただろうか。手軽だし、安いし、美味しい。麺を食べているんだ、と心から思えるのだ。そこに混じりっけはない。一番搾りみたいな状態なのだ。ぜひ土曜日の昼ごはんとかに食べて欲しい。幸せになれるから。
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