ドイツのピクルス文化
ひとくちでピクルスと言っても、お酢ベースのものからハチミツやマスタードシードの入ったものなど、ドイツでは色々な種類のピクルスが存在する。
またキュウリの種類や一緒に漬けるハーブなども地域や家庭によってさまざまで、しょっぱいものから甘口のものなど、ピンからキリまである。
日本食に例えると梅干しのようなステータスなのかもしれない、国民的漬物であるピクルス。梅干と言ったら紀州が本場だが、ピクルスの場合はベルリン郊外のシュプレーヴァルトという地域が有名だ。毎年約3万5千トンのキュウリが収穫されるそうで、観光地としても人気の場所である。
ピクルスの汁は捨てるべからず
そんなドイツの食文化とは切っても切れない縁にあるキュウリの漬物だが、ドイツではピクルスの汁を再利用する習慣が存在するそうだ。
大規模な例としては、ピクルスを製造する際に出た塩水を凝縮したものを道路にまき、凍結を防ぐプロジェクトなんかがある。
道路がピクルス臭くなったりするのかな。
また家庭でもピクルスの汁を再利用することは珍しくなく、ポテトサラダの隠し味やマリネ料理に使い回される話はよく耳にする。
だが、最近ほかにも活用法があることを知ったので試してみたい。
ピクルス汁でカルキ汚れを取る
料理以外の活用法には、薄めて観葉植物にあげるとか、足がつったときに飲むなどがあるらしいが、今回は検証しやすそうな「カルキ汚れを取る」というライフハックを試してみることにした。
と言うのも、ベルリンの水道水はかなりの硬水で、キッチンや洗面所などの水回りは放っておくとすぐにカルキでかりかりになってしまうのだ。
そんな厄介者のカルキがピクルスの汁で消えるなんて、夢みたいじゃないか。ちょうどうちの湯沸かし器がいい具合にカルキだらけなので試してみよう。
これが本当にピクルス汁できれいになるのだろうか。楽しみである。
ところで、冒頭にドイツ人はピクルスが好きだと書いたが、実はドイツ人の夫は大のピクルス嫌いである。
湯沸かし器をピクルス汁で掃除すると言ったら絶対嫌がられそうなので、彼の外出中にこっそり試すことにした。
調べるたところカルキは酢酸で取れるそうなので、塩ではなくお酢ベースのピクルスを使ってみることに。
たったこれだけでカルキが取れるらしい。こんな簡単にカルキ対策ができるんなら、もっと前から知りたかったぞ。
期待を胸に数分その場を離れ、戻ってきてみると
ピクルス汁がそこらじゅうに噴射されてすごいことになっていた。
夫に内緒でピクルス汁を湯沸かし器に入れた罰だろうか。周りの家電にもピクルス汁がもろもろかかり、台所中にピクルス臭が充満している。これはまずい。
なんとかピクルス汁を拭き取ることができたが、肝心のカルキは取れたのだろうか。
これだけ悲惨なことになった割には効果はイマイチ。選んだピクルスが悪かったのか、やり方が間違っていたのか、それともカルキ汚れがひどすぎたのか……