ハラールラーメンの材料を考える
ということで、ハラールラーメンである。
一般的にラーメンといえば、豚骨や鶏がらをベースとしたスープに、焼豚などの具を乗せたものをイメージするが、イスラム教徒に豚は絶対NGである。
ちょっと調べたところ、他にも牙や爪がある動物(犬・虎・猫など)、キツツキ、フクロウ、タカ、ワシ、ロバ、ラバなどがダメらしいが、そのあたりは使わないので大丈夫。
豚の代わりにイスラムの法に乗っ取って処理された、ハラールマークの付いた牛、鶏、羊などのハラールミートを使うこととなるが、ではどんなラーメンが考えられるだろうか。
まず思い浮かんだのが、豚ではなく牛を使った二郎系ラーメン。名付けて牛二郎である(こちらの記事参照)。これなら食材が牛なので問題なさそうだが、ちょっと気になるのがニンニクの存在だ。
ショウガと共にカレーのベースでよく使われるように、加熱したニンニクがダメということはなさそうだが、祈りの前に生のニンニクを食べてはいけないという話もあるので、イフタールには不向きだろう。
以前に埼玉県八潮市にあるハラール屋台村という場所を訪れたが(こちらの記事参照)、そこの成田屋では鶏がらスープのハラールラーメンを出していると伺った。
鶏がらをベースとしたラーメンであれば、これまで何度も作っているので、特に問題なく作れそうだ。
なんなら鶏ガラや鶏皮に野菜をたっぷり加えてクリーミーなスープに仕上げた、天下一品風のラーメンを作ることも可能だろう(こちらの記事参照)。
意外とハラールラーメンの選択肢が多く、どうしようか迷ってしまった。
ハラールショップで肉を選ぶ
頭の中だけで悩んでいても仕方がないので、埼玉県三郷市にある大型ハラールショップのボンゴバザールにやってきた。
イスラム教徒向けの食材を知ることで、ハラールラーメンの方向性が決まるかもしれない。
冷凍肉のコーナーを覗くと、「HALAL」と書かれた食材が各種並んでいた。
もちろん豚肉はないけれど、牛、鶏、羊は一通り揃っている。これなら想定していたハラールラーメンがなんでも作り放題である。
肉の並んだ冷凍庫の前で30分くらい固まった結果、自分がこれまでラーメンに使ったことがなく、ラマダンイベントに来るような人を満足させる個性的なスープが作れそうで、値段も手ごろな材料として、「MIX BAKRA」と書かれた骨付きマトン(親羊)を試してみることにした。
ハラールマトンラーメン、まだその完成形をイメージできていないが、きっとおいしくできる気がする。
調味料などもハラールにこだわろう
メインの食材が決まったら、次は調味料である。イスラム教徒は酒類がダメで、それは煮立ててアルコールを飛ばせばいいという話ではないらしい。
そうなると料理酒やみりんは使えない。代わりのものはあるだろうかと商品棚をチェックすると、ハラールのみりん風調味料(甘味調味料)、そして醤油(しかもキッコーマン)が売られていた。
ハラールなみりん風調味料の存在はわかるとして、わざわざ醤油まであるのはなぜだろうと調べたら、通常の醤油だと醸造過程でアルコール発酵をするからダメらしい。この醤油はわざわざアルコール発酵を抑制した独自製法で作られているのだとか。へー。
日本在住のイスラム教徒が醤油の製造方法まで厳密に気にしているかはわからないが、やはりこれらを使うべきだろうと購入。ハラール醤油の味も気になるし。
ムスリムフレンドリーってなんだろう
イベント当日はハラールラーメン以外にも、希望者にファルーダというインド亜大陸で食べられている麺入りスウィーツ(こちらの記事参照)を出すため、それに使うアイスクリームも確認したところ、よく知っているブランドが「NON HALAL」と「Muslim friendly」の二種類に別れていた。
どうやらNON HALALはハラールではない食品(ハラーム)で、Muslim friendlyはハラールを認証する協会の認定は受けていないけれどイスラムの法に触れない食品ということらしい。ムスリム(イスラム教徒)にフレンドリーということか。
おそらく使っている原材料に豚由来成分や酒精が含まれている可能性の有無(あるいは使っていないとメーカーが公言しているかどうか)によって、その違いがでるのだろう。
このあたりの詳しいルールはよくわからないので、イベント当日はムスリムにフレンドリーなスーパーカップを使うことにした。