特集 2024年8月24日

白子のせ白子のりがうまい

先日フグを釣りに行ったら、白子の入ったフグがたくさん釣れたので、海苔に巻いて食べた。

これが本当の『白子のり』だなと思って満足した。

とてもおいしかったです。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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フグを釣ってきた

7月下旬、茨城県までフグを釣りに行ってきた。フグといえば当然毒があるのだが、船長をはじめとする「遊漁船ふぐ取扱者」という資格を持ったスタッフが安全な部分だけにしてくれるので、帰ったらすぐに新鮮で安全なフグが食べられるのである。超楽ちん。

釣れるのはショウサイフグという種類のフグ。トラフグに比べれば市場価値は安いものの、これはこれで十分おいしい魚だ。なんといってもフグなので。

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普通の釣りと違って、エサ(アオヤギ)に寄ってきたフグを錨型のハリで引っかける「カットウ釣り」という方法で釣る。
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フグがエサをついばむ小さなアタリを感じ取り、それにあわせて引っかけるのが大変楽しい。

この日はとても海の状況がよく、数年ぶりの大漁を味わわせていただいた。

しかも釣れる魚のサイズが良く、船長が無線のやりとりで「ここの大きいフグはなあ、でっけえんだよ!」と嬉しそうに声を弾ませていたのが印象的だった。

さらにこの時期のオスは、なんと白子が入っているのだから最高である。ウハウハ。

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私にしては珍しくたくさん釣れた。
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釣れたフグは全部捌いてくれる。

フグ釣りの様子を動画にまとめました。楽しいよ。

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知っていると思うがフグはおいしい

捌いてもらったフグはしっかりと氷を効かせて持ち帰り、数日にわたってフグ尽くしの食卓を堪能させていただいた。知ってはいたけれどフグってやっぱりおいしい。

アジ釣りやキス釣りなどと違って、船の方が全部捌いてくれるから、こちらで捌く手間がないのが大変助かる。暑い時期に生ゴミがでないのも地味に嬉しい。乗船代は11000円だった。

ショウサイフグの味はトラフグと比べてどうなのかと聞かれると、あまりトラフグを食べたことがないのでよくわからない。世の中には知らなくていいこともあるのだ。いや知りたいけどさ。

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むき身にしてもらったフグ。
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とりあえず刺身をポン酢で。むっちりしてうまい。
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天婦羅にするとふわっと揚がって最高。
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軽く塩をして焼いたフグも好き。水分が抜けて旨味がギュッと濃縮されている。
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焼いた中骨で出汁をとり、たっぷりと身も加えた自家製麺のフグラーメン。自分で釣るからこその贅沢だ。
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白子が濃厚なので海苔で巻こう

そして大事なのが白子である。これが入っているからこそ、わざわざ暑い時期(7月後半)に乗船したのである。

白子も船の方が安全な状態に処理してくれて、身とは別の袋に入れて渡してくれる。

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タラの白子は脳味噌型だが、フグの白子は飛行船型でプリンとしている。そしてプリン体が多いらしい。ちなみにメスが持つ卵巣は猛毒なのて食べられない。

この日釣れたフグはオスの割合が多かったようで、たくさんの白子を手に入れることができた。

一気に食べたら足が痛くなりそうな量だが、数年、いや数十年に一度の贅沢なのできっと平気。

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焼き白子。

まずは一番大きなやつを焼き白子にしたのだが、これが濃厚すぎて一つ食べたらすっかり満足してしまった。普段はこんなに量がないので気づかなかったが、白子はたくさん食べられるものではない。

でも白子はまだたくさんある。そこで味をマイルドにする方法を考えて、思いついたのが海苔に巻くという方法だ。

ここで使う海苔は、伊東四朗さんのCMでお馴染みの「白子のり」だろう。このネーミング、きっと白子を巻くための海苔に間違いない(本当は創業者が白子紋蔵だから)。

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白子を巻くなら白子のり。
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なんと群馬で作られていたとは。

さっと炙った白子のりを四つに切り、そこに焼いた白子をドカっと乗せて、ちょろっと醤油を垂らしてがぶりといただく。

これぞ『白子のせ白子のり』、もはや『ダブル白子』ですよ。

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「これが本当の白子のり!」って言いたいだけの料理だが、もちろんうまい。

濃厚かつボリューミーなフグの白子を受け止める白子のりの頼もしさ。磯の香りとパリっとした歯ごたえが加わることで、口飽きることなく白子の味を楽しめる。やはり海の幸同士、相性は抜群だ。

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白子ポン酢で手巻き寿司という贅沢

そして翌日以降は、釣った日に茹でて冷やしておいた白子を使い、白子ポン酢を楽しみつつ、それだけだと飽きるので同じくポン酢で和えた刺身と一緒に手巻き寿司でいただいた。

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これをつまみにしたら日本酒が一升は必要だろう。

手巻きずしに白子。扱いとしてはカリフォルニアロールにおけるアボカドが近いだろうか。

さっぱりしつつ旨味の濃いフグの刺身、濃厚でクリーミーな茹で白子、これらを抱きしめる白飯と白子のりの四重奏がすごい。どんなバカ舌でもわかる強力なハーモニーを、これでもかと爆音で奏でまくる。

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そりゃうまいよね。

「白身、白子、白飯、白子のり、これは四つの白が揃ったクアドラプルホワイトロールやー!」と、私の心の中の彦摩呂が叫んだ。

たまにはこういう贅沢なダジャレもいいなと思った。大満足である。

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ちなみにこの前に友人といったフグ釣りでは、二人して小型が一匹ずつ。しかも両方メスだった。いつもはこんなもんですよ。

 

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