特集 2019年10月21日

チューハイ×春菊=マスカット味!? 生野菜ハイの可能性を探れ

「カッパハイ」とか「カッパサワー」と呼ばれる飲み物をご存知でしょうか?

居酒屋のお酒メニューの中にたまにあって、甲類焼酎の炭酸水割り、つまりプレーンチューハイに、きゅうりの薄切りが何枚か突っ込まれているというもの。知らない人にとっては、「食べ物で遊んでやだ~」ってなもんでしょうが、キュウリとはメロンと同じウリ科の植物で、乱暴に言ってしまえば「甘くないメロン」。これが爽やかで、意外なほどに美味しいんですよね。

そこで今回は、他にもチューハイにプラスして美味しい野菜はないか? 第2のカッパハイを探してみることにします!

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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10種類の「お野菜ハイ」を飲み比べていきます

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スタンバイ中のみなさま

前列の緑々しい雰囲気が、見るだけで「草いきれ」を感じさせるようですが、今回用意した野菜は10種類。
前列左から「ピーマン」「セロリ」「春菊」「パセリ」「ゴーヤー」。
後列左から「トマト」「玉ネギ」「ダイコン」「ゴボウ」「マッシュルーム」。

各野菜から香りが出るよう、甲類焼酎を適量注いでから15分くらい放置してあります。

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ゴボウ酒、色味がもう不安……

各コップにロックアイスをひとつずつ入れたら、炭酸水を注いでいきましょう。

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シュワーッ!
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ピーマンだけ泡の質が違うのがこわい
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完成、オリジナルお野菜ハイ×10

ご覧ください。この、正体さえ知らなければスタイリッシュなお野菜ハイたちの勇姿。
「新感覚ヘルシーサワー専門店『VEGE-SAKE』京都河原町にオープン!」とかキャッチコピーを入れておけば、つい信じてしまう気がしないでもありません。

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「ピーマンハイ」

それでは飲み比べていきましょう。

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「ピーマンハイ」

不穏な泡が消えるのに5分くらいかかりましたが、このように清涼な見た目に仕上がりました。
そっと香りを嗅いでみると、はは、青くせー! 匂いがすでに苦い。この時点で子供は確実に逃げ出しますね。まぁそれ以前に、お酒の時点でダメか。ともかく飲んでみます。ぐびり……。
うん、完全にピーマンそのものの香りは「最高!」とまではいきませんが、味は悪くないですね。なんだか妙に焼酎を甘く感じます。ちなみに使用しているのは安心安定の「キンミヤ焼酎」。一般的な無味の甲類焼酎に比べればほんのりと甘い風味があり、それをピーマンのなんらかの成分が引き立たせてくれたのでしょうか。

好み度:★★★☆☆
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「セロリハイ」

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「セロリハイ」

今回、例えば大葉やミョウガなど、いわゆる香草寄りの野菜たちに関しては、味の想像がつきやすい&美味しくなる可能性が高すぎるのでなるべく省いたのですが、セロリのように香りの高い野菜はやはり試してみたくなります。
実際に飲んでみると、香りはこれまた完全にセロリ。そして、ピーマンよりクセが少なく、焼酎はより甘く感じます。この先に進化の可能性を感じる1杯。

好み度:★★★★☆
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「春菊ハイ」

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「春菊ハイ」

うわ、急に何? まったく春菊独特の香りがしない! で、味がさらに衝撃。なぜかほどよく甘酸っぱくて、ほんのりとフルーツのようないい香りがします。これは、レモン……いや、ライム……いや、マスカットだ! 上品なマスカットサワーだ! しかし、なぜ?

好み度:★★★★★
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「パセリハイ」

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「パセリハイ」

打って変わってパセリそのものの味。パセリ酒。パセリが大好きだという方にのみおすすめします。

好み度:★★☆☆☆
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「ゴーヤーハイ」

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「ゴーヤーハイ」

苦げぇ! ゴーヤー酒。こちらは、ゴーヤーが大好きだという方にも積極的にはおすすめしません。

好み度:★☆☆☆☆

「トマトハイ」 

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「トマトハイ」

居酒屋で「トマトハイ」を頼むと、焼酎のトマトジュース割りが出てくることが多いですが、こっちはこっちで美味しいですね。

しかしトマトって野菜は本当に優秀だよな~。冷やしただけで一品。あれこれ熱したりソースにしてもうまい。そして、生のままチューハイにぶっこんでしまったって普通に美味しいんだから。

甘酸っぱくて、トマト特有の旨味が効いた、爽やかな1杯です。

好み度:★★★★☆

「玉ネギハイ」 

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「玉ネギハイ」

かろうじて飲めなくはないですが、きついですね……。玉ネギのあの尖った香りとあと味。

好み度:★☆☆☆☆

「ダイコンハイ」 

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「ダイコンハイ」

あ~これは、決してまずくはない。俯瞰で味わうときちんとそう判断できる。しかしながら、土台となるお酒がプレーンすぎるので、どうも全体の風味から、「大根おろし」という言葉を想像してしまう。いったんそうなっちゃうともうダメ。一口飲むたびに、入っていないはずの「醤油」の存在が頭にチラついて、純粋に爽やかなドリンクとして味わえません。ダイコンではなく、自分の実力不足です。ごめん。

好み度:★★☆☆☆

「ゴボウハイ」 

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「ゴボウハイ」

あれ? まっ茶色な見た目に反して意外と爽やかですよ。しかし確かに大地の味がする。大地ハイですねこれは。

好み度:★★★☆☆

「マッシュルームハイ」 

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「マッシュルームハイ」

旨味の強いキノコ類はどうしてもひとつ試しておきたかったので、生食できるキノコ、マッシュルームでやってみました。酔うマッシュルーム。やばい。
で、結論なのですが……すみません、これだけはどうしても飲みきれませんでした。今回は、きちんと美味しいものを探したいので、ニンニクやニラなど、方向性からして明らかに合わないだろうな~というものはラインナップから省いたのですが、それ系の失敗を感じます。強いキノコダシの香りと爽やかなチューハイのギャップがすごすぎて、どうしても一口以上喉を通ってくれません。無念。

好み度:★☆☆☆☆

おまけ「カッパハイ」 

さて、いろいろなお野菜ハイを飲み比べてみてあらためて、そういえばカッパハイってどんな味だったかな? と。気になったので、作って飲んでみることにしました。

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「カッパハイ」

そうそう、この味だ。プレーンなチューハイ感を邪魔しない、それでいて他にない爽やかさを感じるあと味。やっぱりバランスいい。しかしながら、春菊ハイの衝撃を知ってしまった今となっては、個人的好み度は星3~4くらいかなぁ。

 

というわけで、カッパハイに続くお野菜ハイの最高峰、現時点では「春菊」ということに。
例えばすき焼きを作るとき、春菊を入れるご家庭は多いかと思います。そんなチャンスにぜひ、鍋に入れる前の春菊を台所から少しだけくすねてきておいて、お手元のプレーンチューハイに足してみてください。ちょっと新鮮なお野菜ハイ体験ができるはずですよ。
あ、ただ、完全に個人の感想で「マスカットサワーだ!」などと興奮していましたが、春菊の時期や産地や種類、使った焼酎や炭酸水などによっても味が変わる気がしますので、もし本当に真似して「ぜんぜん違うじゃん」という方がいたとしても、ノークレームノーリターンで何卒、よろしくお願いします。

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お野菜ハイのニュースタンダード
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