2006年には(たぶん)なかった方法
たのしい焼き芋の記事だというのに冒頭から悔恨にまみれた文章、どうかお許しください。
というのも私は2006年からもうずっと、芋を焼き続けているのだ。
トースター、オーブン、炊飯器などさまざまな道具を使って芋を焼き比べたこの記事で、電子レンジ焼きも実践、当時電子レンジ焼き芋の方法としてメジャーだった「強5分、弱5分」の焼き方で焼いて「やわらかくなるけどぱさぱさで、メリットは時間が早いだけ」と結論づけてしまっている。
去年、2013年にも焼き芋の焼き比べ記事を書いているのだが、電子レンジには完全に見切りをつけていたのでトースターとオーブン、圧力鍋を使って焼き比べていた。
とはいえ、
こちらの記事はこちらの記事でオーブン焼きの焼き芋についてかなり詳しく調べることができており満足である
バイラルメディア的サイトの焼き芋記事にも転載されてた表
改めて、これが電子レンジ焼き芋の焼き方
これだけ芋! 芋! と言っておきながら知らなかった、電子レンジで上手に焼き芋を焼く方法。どうやら2012年ごろからじわじわきていたらしい。方法としては、こうだ。
1.芋を洗い、新聞紙やキッチンペーパー、ラップなどでくるむ。
(まずは洗ってすぐに新聞紙でくるんで試します)
※どんな紙で、何重にくるむのがベストかを、後ほど検証します
2.電子レンジ庫内に耐熱容器で橋を作る、耐熱の茶碗をひっくり返すなどして芋が浮くように置く。
レンジの効率をよくするためですな。今回は茶碗をひっくり返しておく方法でやっていきます。なんだろうという光景
3.レンジ強(500W~600W)で1~1.5分、弱(200W~300W)で8~15分加熱する。 時間は小ぶりで細いもの~太いもので調節。
これだけ……
20分以下で焼いた芋とは、思えない
おいしい焼き芋作りの鉄則は「低温で長時間じわじわ焼く」である。オーブンやトースターを使うなら細い芋でも30分は焼きたい。
ところが、この電子レンジの焼き方で胸囲20cmある立派なさつま芋が16分ちょいで上記のとおり焼けてしまったのだ。
これがレンジで焼いた芋なのか!
あまりの焼き上がりに「えっ? ちょっ!」と、声が出た。しかも食べてみるとオーブンでやいた芋にかなり近いねっとり感である。
当然、以前強5分、弱5分で焼いたかつての電子レンジ焼き芋とはまったく違う。
2006年に試した際の強5分、弱5分のレンジ芋
強と弱の時間配分を変えただけでこんなにも、こんなにも違うものか。
私がゴリラだったら、ああ、こういうときにドラミングってするのかな、という驚きである。
オーブンで60分焼いた芋と比べる
ドラミングの手を休めぬまま、私の定番の焼き方である160度のオーブンで60分以上焼く方法と比べてみよう。
同じ売り場で買った同じ品種の芋をオーブンでも焼いてみる。ホイルにくるみ、160度のオーブンで70分
焼けました
かなり近い、これならどっちでもいい
食べてみると、……違いは少ないように感じる。
若干オーブン焼きの方が皮の部分に香ばしさがあるような気がしたが、ねっとり感でいうとむしろレンジの方に分があるか。
しっかり冷めた状態であらためて食べ比べてみよう。
左:オーブン 右:レンジ
冷めると、レンジのほうは皮の方にほんの若干の生っぽさが感じられた。
写真で見ると、オーブンの方にホクホクした部分が残っているように見える。ただ実際食べてみると大きく食感に変わりはないようだ。味はオーブンの方が多少甘いようにも感じたが、ほとんど誤差の範囲である。誤差というか、勘違いかもしれない。
16分焼いたレンジ焼き芋は、70分焼いたオーブン焼き芋とかわらないクオリティだったのだ。
一言でいうと、まじか、である。
まじか
ドラミングにも疲れ、絵文字のようにひざをついた。誰かお布団敷いてくれない。ちょっと寝るわ。
一重か、二重か
いやだめだ、寝ちゃだめだ。
冒頭から悔やんでいるとおり、このレンジ焼き芋情報はすでに広く伝えられたもので新しいものではない。なにか新しい情報をお伝えしなければ。
ネットを中心に聞き込みなども加え、電子レンジでの焼き芋レシピを片っ端から確認してみた。
どうやらレンジでの加熱時間はおおむねのレシピで同じものの、「芋をどのような状態で加熱するか」にばらつきがあるようなのだ。
あらたに焼き比べるべく、今度はこぶりな芋を用意した
オーブンでもキッチンペーパーで巻いてからホイルでくるむ、ホイルだけでくるむ、など意見が分かれているが同じことがレンジ焼き芋界にも起こっている。
概ね以下のように意見が分かれているようだ。
(1)水気を取って新聞紙でくるむ
(2)洗って水気のあるまま新聞紙でくるむ
(3)ぬらしたキッチンペーパーを巻いて新聞紙でくるむ
さらに
(4)水に15分ほどつけてからキッチンペーパーを巻いて新聞紙でくるむ
というのも見かけた。(1)から(4)まで、順にだんだん水気を増やしていくような巻き方である。
水につける時間をかけるならもはや長時間かかるオーブン焼きでいいのではとも思うが、そういうことではないのが焼き芋のロマンなのだ
電子レンジは、水分が多いところから温まる。芋の場合、中心部から外にしたがって水分量が少なくなっていくと考えると、水にぬらす派は表面にも水気をあたえて加熱を進めようとしているのだろうか。
それがどんな影響を与えるのか。よし、出遅れたがなんとか新情報をあぶり出せそうだぞ。
がんばろう、焼き芋!
細い芋だったので強1分~弱10分でやってみたら、しわっしわになってしまったので弱8分くらいまで時間を短するなど調整しましたぞ
いろいろ調整しまして、このような焼き上がりに
ねっとりの一重、ほくほくの二重
結論を言うと、どれも大きくは変わりなかった。
水につける案もわざわざやるほどではないかなという具合である。
しいていえば、新聞紙一重のほうがねっとり感がつよく、二重にするとホクホク感が加わるように感じた。二重の方が紙に水分が取られるということだろうか。
すべての芋が一定の温度になってから食べ比べるなど工夫もしたのですが、うまいこと違いはあぶり出せず
今回は千葉県産の特に品種をうたわないもので試している。
ブランド芋であればそれぞれ適した焼き方があるかもしれないが、個人的には洗ったまんま新聞紙にくるむのが一番手間もかからずいいかな、というくらいだった。
加熱時間と強・弱を間違えないのがいちばんだいじ
それより一番注意したいのは、何を巻くかよりもレンジの強弱の順番をけっして間違えないことだ。
ご存知のとおり、レンジはかけすぎると食材がかぴかぴに固まってしまう。上の写真にもさりげなく入っているとおり、実は今回一度強と弱のボタンを押し間違えて強1分につづきさらに強で8分加熱してしまった芋があった。
ひとまわりちぢんでカリカリに
ガムのようにぐにぐに噛んで食べて、これはこれでおいしいと私は受け入れられたのだが、普通の失敗である。
知らない間に大進化をとげていた電子レンジ焼き芋。遅ればせながら一矢報いるつもりで立ち上げた記事だったが、一番の情報は
レンジのキーを間違えない
であった。
わざとかぴかぴにさせて(薄く切ってレンジ強に2~3分かけた)かたい芋を作るという可能性も探ったが、広くおすすめできるところまでは持っていけなかった
まさかの延びしろ
電子レンジ焼き芋といえばパッサパさというイメージしかなかったので、本当に驚いた。ここに伸びしろがあるとは本当に意外だ。
よく泣く演技をするときに哀しいことを思い出す、ということを聞くが、今後の人生を歩むうえでもし「イメージをくつがえされてびっくりする役」が回ってきたら今回のことを思い出そうと思う。
まさかレンジで焼き芋がうまく焼けるはずが……焼けた~。
完璧だ。
こうなってしまうともう今年の冬はレンジ焼き芋にまい進するしかないわけだが、とはいえ平行して今後も長年焼きなれたオーブンでも芋は焼いていきたい。そう思うのもまた人情ではないか。
芋の写真ばかりでしたので、最後はやたら成長してきたうちの水栽培のアボカドの写真を掲載して終わります