衝動にまかせた再度の焼き芋焼き比べ企画
思えば焼き芋はここ十数年でぐっと身近になった。寒くなるとスーパーの店頭で焼いた状態で芋が売られるようになったからだ。
かつてのように石焼き芋の移動販売を待ち焦がれずして容易に手に入れられるようになっており、焼き芋界には追い風一方のこのごろである。
それでもなお自宅で焼きたいと思わせる力が芋にはあるのだ。まずはそこをどうかご理解いただきたい。
実は私が焼き芋の焼き比べを記事にするのはこれが初めてではない(2006年6通りの調理器具で芋を焼き比べる「
結局、芋は何で焼けばいいのか」を企画)。
それだけ、芋を焼くという衝動に突き動かされ続けているということであろう。
今回の焼き比には「五郎島金時」という、焼き芋にも適した石川県産の名芋を8本買ってきた。ちなみに「名芋」という言葉はいま適当に書きましたがいい言葉ですね
細かすぎる焼き芋の焼き比べを、俺はやる
前回の企画では調理器具での焼き比べを行ったのだが、その際に気になることがあったのだ。
ネットにあふれる焼き芋レシピを読んでいると、その芋の焼かれるときの姿がさまざまなのである。
あるレシピではホイルに巻くとあり、あるレシピにはぬらした新聞紙でくるんでからホイルに巻くとあり、またあるレシピでは洗っただけの裸の状態が一番いいのだとあった。
今日はこの点を主に比べて生きたい(情熱的な誤変換なのでそのままとする)。
新聞ホイル法はこのようにぬらした新聞紙でくるんでから、しっかりとホイルでくるむという方法
新聞ホイル、ホイル、裸の3通りがそろい踏んだ
焼きはオーブンとトースターで
さて、申し送れましたが今日はIT界でのレシピ番長、クックパッドさんにおじゃましている。
クックパッドニュースの編集部から「
お鍋に入れるご飯を洗うか洗わないかの食べくらべをするのでよかったらきませんか」とお誘いいただいたのだ。
元気いっぱい「行きます! 行って私は、芋焼きます!」と答えた。思えばここでなぜ芋企画を突っ込んだのか、芋のこととなると身勝手になる自分に驚く。
オフィスにある快適すぎるキッチンで焼き芋もはかどりにはかどった
ご飯を食べさせてもらう上に芋を焼かせてもらう。
こんな恩義を受けるからにはもう一生スマホのクックパッドアプリの位置は一番よい場所に固定しよう。
調理器具は前回おいしく焼けたオーブンとトースターを採用。また味の比較のため圧力鍋でふかし芋も作ることにした。
クックパッド編集部の丸島さんにアドバイスをいただき、焼き時間は
オーブン、
トースター、
圧力鍋とも人気のレシピに沿って焼く。
焼き芋は低温でじっくり焼くことで甘味が増すといわれており、オーブンもトースターもこの「低温」を意識した焼き方であった。
オーブンは160℃で90分!
トースターは10分焼いて10分スイッチを切ってを3セット(合計60分)(レシピでは2セットとあったが、太い芋だったので3セットにした)
圧力鍋は圧がかかって10分&圧が抜けるまで自然冷却
3通りでセットし、あとは焼き上がりを待つばかりだ。今回はオーブンが90分と最長。
つまり私は取引先で90分暇をつぶすわけである。芋が、焼けるまで。
ちょっとないシチュエーションにひるむが、御社、弊社の精神でこの1時間半を和やかに乗り切った。
実際はクックパッド編集部のおいしそうな撮影用食材を接写したり
雑炊に入れるのにほぐして出た鮭の皮をみんなでつまんだりしていた
やけました!
さて、圧力鍋が30分ほど、トースターが60分、オーブンが90分ですべての芋が焼けた。
見た目以上のに味には違いがあったことを先にいいつつ、その焼き上がりを見ていこう。
裸でトースター
ホイルと新聞でトースター
ホイルでトースター
裸でオーブン
ホイルと新聞でオーブン
ホイルでオーブン
裸で圧力鍋
それほど焼き芋に興味のない方にとってはポカーン以外の何ものでもないスクロール体験だったかもしれない。
正直、芋愛の強い私ですらこの焼き上がりを見て「……ぜんぜん、かわんないな……」と思ってしまったのだ。
一番最初のトースターで丸のまま焼いたものは石焼き芋的な風情が出ているが、それ以外は若干違いはあるもののパッと見は同様の焼き上がりである。
しかし、先にも書いたとおり味となるとこれが結構に違っていたのだ。
試食はクックパッド内にオフィスを構える
Zaimから閑歳さん(右)、山崎さん(左)
さらに左からクックパッドの丸島さん、草深さん、
コロカルのドリタさん、塚原さんが登場
7人の女達が焼けた芋を囲む
味の差を感じるのが1人では不安すぎて試食に総勢6名をアサインしてしまった。私を入れて7名で芋を囲む。
ちなみにコロカルの塚原さんはさつまいもの産地として名高く干し芋生産量1位をひた走る茨城のご出身。ふかし芋や焼き芋も食べにたべて育ってきているそうで、鋭いコメントが期待でき頼もしい。
これを食べ比べるのか…と試食陣一同、正直びびったと思う
最高金賞は「それだけで芋羊羹」レベル
全部同じなんじゃないの、という不安は2種類食べ比べたところでふっとんだ。結構違うのだこれが。
まず、全員の中で芋羊羹かというくらいおいしいうたわれたのはオーブンでホイルにのみ包んだもの。
・もはや芋羊羹
・これだけでスイートポテト
・焼き芋というよりお菓子
と、一同「お菓子だ、これ芋なのか…」とざわついた。
しかしこれ、ホイルで包んだだけである。
もしや、新聞紙でくるんでからホイルでくるんで、というのは都市伝説だったのか。
色も大変においしそうに焼けている(オーブンでホイルのみ)
トースターだと新聞紙が要る?
いや、そんな単純な話ではなかった。
というのも、トースターで焼いたものの場合は新聞紙とホイルでくるんだものの方がおいしかったのである。
どういうこっちゃ。
全体の評価は以下の通りだ。
あらためて、各断面はこんなかんじ
強引に解釈
つまりこういうことだろうか。
・160℃くらいの低温でじっくりやく時間がある場合は、ホイルで包むだけでOK
・200℃くらいまで温度を上げて早く焼きたい場合はぬらした新聞紙でくるんでからホイルで包む
・香ばしい焼き芋を食べたいならそこまで低温にせず裸で焼く
今回は各焼き方1本づつしか焼いていないので個体差といってしまえばそれもあると思うが、強引に解釈した。
焼き芋といえば低温でじっくり焼くことで甘みが増すといわれているが、低温でやけばいいだけではなかったのだ。
おお、湧き上がる焼き芋コールが聞こえる。芋のみんな、今日はどうもありがとうーーー!!
あまったお芋はいっしょくたにしてみんなで分けた。このまま(皮ごとでも、気になれば皮をむいて)つぶしてバターをまぜて棒状にし、冷凍して食べたいときに好きなだけ切ってトーストするとよいと塚原さん、それ、いい!
2022年もまず間違いなく芋を焼いている
前回調理器別の焼き芋焼き比べをしたのはだいたい8年前。8年たってなお私は芋を焼いていた。
次の8年後、2022年も私は芋を焼いているだろうか。生きていさえいれば答えは間違いなくイエスである。
他のことは一切保障できないが、8年後に芋を焼いている自信だけは絶対的にある。好物の力である。
(と、思ったら2012年にも
焼き芋専用アルミホイルで芋を焼く記事を書いていた。じゃあ次はまた2年後か。いや、もうちょっと自粛します)
芋を前に笑いが止まらなくなっていた写真が大量にカメラに入っていた