特集 2023年12月4日

レトルト粥を食べ続けた日々の記録

新卒の時は真面目に弁当を作っていた。おにぎりを握ってたし、週末に作り置きとかもしてた。そういう時もあった。

社会人。体育が嫌い。大人になった今でも大抵の物事を「体育よりマシか、否か」で判断している。

前の記事:【大胆予想】痛バッグの次は痛帯が来る【好きなものを腹に巻く時代】

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食モチベの低さ

まず大前提として、「腹が減って、だからどうした」という感情がある。(もちろん、他人に対してそう思うことはない)。

空腹以外に食べる理由がなかったら、基本的には食べたくない。「お腹が空いたなー、とりあえず何か食べよう」みたいなことをするのがあまり好きではないのだ。だって、食べたいものがないし、食べる気分じゃないから。空腹と食欲が直結していると思ったら大間違いである。とくに「今食べないと」というシチュエーションだと尚更やる気が失せる。たとえば、会社のランチタイムとか。

しかし、そうしてわがまま気のままに昼食を抜くと、午後になって胃が痛くなる。人体の怒りが痛みとなり警告を出すのだ。この怒りを誘発したのは間違いなくわたし。怒りを鎮めるのもわたし。だからいたしかなく胃に何かを入れる。そしてその義務感はわたしの舌をさらに無気力にさせる。そんな平日正午を過ごしていた。

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「いいからさっさと飯食って仕事しろ」というのが、ここまで読んでくださった方の主な感想だろう。

はい。おっしゃる通りです。

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さて、では何をたべようか。

まず、腐りにくいものがいい。カバンの奥底に忘れ去られてもセーフなやつ。
それで、噛まずに飲めること。咀嚼したくない日でも胃に流し込める。
あと、食事っぽいもの。お菓子で済ませるのは良くない、という感覚はある。
そんでもって、近所のスーパーで売っているのはマスト。気軽に買えなきゃ話にならない。

…そんなものが、近所のスーパーで売っているのか。


売っていた。

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レトルト粥である。

スーパーの陳列棚で、海苔とサトウのごはんに挟まれながら、燦然と輝くレトルト粥。見つけた瞬間の胸の高鳴りよ。
これはー…わたしの探し求めていた理想の食品かもしれない。
わたしは迷わず手を伸ばした。はやる気持ちをおさえて、裏面の表示を確認する。

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「温めずにそのままでもお召し上がりいただけます」

天才だ…………。

食品において、これ以上に心強い文言があるだろうか?いや、ない。

そして次々と飛び込んでくる、最高の情報の数々。
常温保存可。賞味期限は約5ヶ月。触った感じ、ほぼ液状。味のレパートリー、数種類。価格、100円前後。

あまりにもわたしにとって都合がいい。過剰に期待しそうになる。わたしはひとまず一番安い卵粥を選んだ。レトルト粥のひんやりしたパッケージが、熱くなった手をつたい、心をなだめた。

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レトルト粥の可能性

「これは…イケる」

翌日、職場の休憩スペースでパウチに直接スプーンを突っ込み、うっすらと黄色の混じった卵粥を一口食べたわたしは、直感した。レトルト粥とわたしの輝く未来を。

美味しい。しかしそれ以上に、レトルト粥の食事としての負荷の無さに、わたしは胸を打たれた。

ただ、封を開け、スプーンを使って腹に流し込むだけ。皿も咀嚼も加熱もいらない。きっと胃がもたれることもない。レトルト粥は食事という行為そのものまでを液状化している。これなら食べ続けられる。もしかしたら、一生……

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その日から、わたしのレトルト粥生活は始まった。

ちなみに、食べ始めて2週間は、まさかそこまでつづくとは思わなかったので、一切記録を取っていなかった。よって、詳細な記録はそれ以降のものしかない。

そして、その2週間はひたすら卵粥と中華風もち麦粥(※共に皆様のお墨付きシリーズ。西友のプライベートブランドにそういうのがあるのだ)を交互に食べていた。ほかの種類を食べたことはなかったが、直感的に、これが自分の一番好きな味であろうと予測できたからだ。そしてこの直感はおおよそ当たっていた。

では、約2か月の日記をかいつまみながら記していこう。

レトルト粥を食べ始めて2週間目。やっと卵粥と中華粥のループから抜け出す気になったわたしが選んだのは、玄米粥だった。

レトルト粥の日々

6月2日

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みなさまのお墨付き 滋味を味わう玄米がゆ

風邪の味。

食べているとだんだんOS1やポカリを飲んだ方がいい気がしてくる。元気なのに。もっとエンターテイメント性のあるものが食べたいという欲が湧き出る。食欲があるのはいいことだから、そう言う意味ではいいのかもしれない。

なかなかスプーンが進まず、強制的にじっくりと滋味を味わされている。気付いたらペロっと食べてて味も大して覚えてないものって自分の舌に合っているんだなと思う。

多分、鮭フレークや梅干しをトッピングするべきやつだ、これは。滋味とはつまり、素材。

食べ終わってしばらくすると、猛烈にカップ麺が食べたくなった。

6月5日

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TABLE LAND かにぞうすい

出先で買った。

味は、土産物のエビせんべいとかタコせんべいみたいな感じ。つまり美味しい。味も濃い。粥を食べたときにふと蘇る、うっすらとした『体調が悪い日の記憶』が、雑炊からは感じ取れない。雑炊とお粥って、全然違う。お粥はケ、雑炊はハレ。

かなりしっかりとした海鮮風味なので、もし病に伏している時にこれを食べたいのであれば、白粥で割ってもいいと思う。

美味しいので秒でなくなった。

6月6日

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味の素 梅がゆ

期待以上の梅味。弁当の梅干しを乗っけたとこの下の米の味が全体的にする。

6月7日

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みなさまのお墨付き 梅がゆ

味の素の梅がゆより安い。

しかし、違いはわからず。

なんとなく昨日食べたのより味が薄い気はするが。昨日のお粥が梅干しに直当たりしてる米だとすれば、今日のは梅干し2バウンドめといったところか。

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6月8日

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味の素 鶏がゆ

おいしい。そぼろみたいなのが入ってる。今まで食べたレトルト粥で一番食感がある。ベースの味については多分鶏の出汁みたいな味なんだと思う。詳しいことはわからないがおいしい。クセがない。噛む工程が加わるという点で他の粥とは一線を画している。

6月9日

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みなさまのお墨付き 中華風もち麦がゆ

やっぱりおいしい

6月12日

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味の素 玉子がゆ

やっぱりおいしい。

出勤時に、会社の近くの閑散とした道を歩きながらカバンの中からお粥を引っ張り出し、エスカレーターに乗った瞬間、マッハで写真を撮る動作も身体にしみついてきた。このエスカレーターは利用者が極めて少ない上に、幅が一人乗り用のやつなので、朝のラッシュ時でも誰にも見られずお粥を撮影できる絶好の場所なのだ。(※社内は撮影禁止なので外でやるしかない)

6月13日

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みなさまのお墨付き 和風もち麦がゆ

これは中華風もち麦がゆとニコイチ的な存在だと思う。中華風もち麦がゆよりも幾分か落ち着いた味。

6月14日

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TABLE LAND スープにこだわった中華風粥

出先で買ったやつ。
美味しかった気がする。あまり記憶がない。仕事のことで頭がいっぱいだった。そういう日もある。

6月15日
みなさまのお墨付き たまごがゆ

6月20日
味の素 卵がゆ

味の素の卵がゆは、みなさまのお墨付きのたまごがゆよりもわずかに味が濃い。味の素の方が20円くらい高いので、丁度20円分くらいの差である。

6月22日
みなさまのお墨付き 和風もち麦がゆ

6月23日
味の素 紅鮭がゆ

記憶なし

6月26日

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丸美屋 玉子ととり雑炊

これはすごい。未だかつてない玉子感。美味しい。美味しい味がする。こころなしか米が粒っぽい気がする。雑炊だからか?今まで食べたレトルト粥(雑炊)の中で、一番豊かさがある。

初めて「もっと食べたい」と思った。しかし残念ながら出先で買ったので、それ以降二度と会うことはなかった。

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