未だおかゆほど丁度いい食品を見つけられずにいる。
常温保存できて、常温で食べられて、消費期限が長くて、胃に優しくて、うちの最寄りの西友で売ってておすすめのやつがあったら教えてください。
6月27日
カメラのレンズが汚れすぎて、夢みたいな写真になった。
6月28日
六本木ヒルズのスーパーで買った。
驚くべきことに、六本木ヒルズのスーパーにはレトルト粥最大手である味の素の粥が売っていなかった。わたしが今まで見てきたスーパーは必ず味の素の粥を置いていたのに。六本木ヒルズの梅がゆはこれ一択。値段は味の素の倍する。
この粥はまず、普段のより20g程量が多い。それだけでこんなに違うかね、というズッシリ感。
開けてみると、汁気が少ない。今までのお粥がシャバシャバ系だとしたら、これはもったり系。梅の味は薄いが、なんか美味しい。不思議と物足りなさは感じない。薄味ながらも、これで成立している感じがする。米自体が他のものより旨みを多分に含んでいるのかもしれない。あと、梅のタネが入っていなかった(味の素のは入っている)。
食べ終わって、そもそもわたしって梅がゆがそんなに好みじゃないかも、と気付いた。
6月29日
六本木で買ったPart.2。値段はみなさまのお墨付きの卵がゆの三倍。
パッケージの「ほんのり贅沢」の文字に、「ほんとだよ」と思いながら裏面を見ると、
蒸気口がついていた。このタイプは初めてだ。
蒸気口は無視して常温で食べた。さきイカの味がした。
6月30日
美味しい。玉子が多いしフワフワ。心なしか汁気は多め。モタモタ系より汁っぽい方が好きなのでうれしい。そういえば丸美屋は、玉子ととり雑炊も美味しかった。鮭と鶏の違いはイマイチわからないが、とにかく玉子がフワフワなのが丸美屋の特徴らしい。
それにしても、連日食べていた高級粥と比べるとかなりポップな味だ。
例えるなら、一昨日の高級梅粥は幼稚園から大学までのエスカレーター式お嬢様校の子、昨日のたい粥はそのお嬢様校に編入してきた成金の子、玉子とさけ雑炊は公立のおちゃらけバトミントン部員と言ったところか。
7月3日
六本木で買ったPart.3
シャバシャバ。もはや飲み物。ただし、肉はそぼろではなくほぐし身。
鍋の〆の雑炊の最後の最後って感じ。米が鍋の底に溜まってるんだけど、おたまですくうと汁ばかりさらってしまい、「頑張ってすくったのにこれですか?」て時のやつみたい。タピオカ用の太いストローで飲んだ方がいいくらい。
7月5日・7月6日
みなさまのお墨付きの たまごがゆ
もはや地元の味。(実際地元で買っている)
7月7日
六本木で買ったPart.4
儚いよっちゃんいかの味
7月10日
みなさまのお墨付きの 玉子がゆ
7月12日
今思えば、魔が刺したとしか言いようがない。その日は判断力が鈍るほどの灼熱だった。
はっきり言って粥に少し飽きてきた私は、生命を焦がす陽気に耐えかねて職場の近くのタリーズでフラッペ的なものを買い、それを昼食とした。
そして、その日の夜、猛烈な腹痛に見舞われた。
まだ20代なのに、もうフラッペが飲めないのかと激しく落ち込んだ。
まれにイレギュラーな粥を挟みつつ、『みなさまのお墨付き』の卵粥を食べ続ける日々。
もちろんAmazonで注文することも考えたが、わざわざ注文するほどの熱量や気概はなかった。たとえば30個セットを注文したとしたら、向こう1ヶ月の昼食粥生活は確定なわけで、それはなんかちょっと違うのである。最寄りのスーパーで少しずつ買い足すことは、つまりいつでも方向転換が可能であるということであり、それは私にとって希望なのだ。
7月13日
既存のレトルト粥に飽き、心に隙ができた結果、昨日は散々な目にあった。しかしそれではっきりとわかった。今こそ、新たなステージに行くときである、と。
この日、わたしは初めて白がゆの封を開けた。
そして、ふりかけをかけた。
粉末状のピンクの欠片がじわじわと白に溶け込む。スプーンを深く突っ込むと、”え”の部分がベタベタになるので、まずは上半分くらいの浅いところを混ぜる。まだらに染まった白がゆを、ぼんやりとした頭で、一口。
…もっと貧しい味になるかと思ったが、意外といける。食べすすめていくと、混ぜきれず無味のままの下層に到達する。そうしたら、もう一袋のふりかけをかける。このやり方だと、上層を下層で味変ができる。すごいぞ、発明だ。
わたしはすかさず、「おとなのふりかけミニ」に封入されたふりかけの種類を数えた。1.2.3.4.5.6。つまり、少なくとも手元には6つの道に進む切符がある。そして、スーパーにはめちゃくちゃめちゃくちゃふりかけが売っている。
一筋の希望の光が降りそそいだ瞬間だった。
7月14日
7月18日
みなさまのお墨付き 鶏がゆ
7月19日
食べた瞬間ちょっと笑った。念入りに水洗いした赤飯みたいな味がする。すこし甘い気がしたが、「小豆=甘い」という刷り込みによる錯覚だと思う。
これはこれで美味しいかなと食べられないこともないかなと思ったが、1/3程度食べたところで突然限界を感じ、ふりかけ(香り青紫蘇)をかけた。
…青紫蘇、合わない。ベースとなる小豆粥にうすらとした味があるため、喧嘩をする。
思ったより豆が入っているので体に良さそうだが、今までで1番取り扱いが難しい粥である。
7月20日
ふりかけをかける。青紫蘇は白粥にも合わない。
7月21日
ふりかけをかける。のりしおもだめだ。
7月24日
ふりかけをかける。すきやきはいい。かろうじて。
7月26日
飽きた
今ならわかる。ふりかけをまぶしたお粥は、ふりかけをまぶしたお粥でしかない。そこに親和性など、存在しない。でも、当時のわたしは、そのことに気付けなかった。
この日の昼休みもいつものように、鞄の中からおかゆを引っ張り出した。しかし、なんとなく気分が乗らなかった。それで、もう一度かばんに戻して、それっきり。
レトルト粥を食べ始めて42日目のことだった。
未だおかゆほど丁度いい食品を見つけられずにいる。
常温保存できて、常温で食べられて、消費期限が長くて、胃に優しくて、うちの最寄りの西友で売ってておすすめのやつがあったら教えてください。
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