特集 2019年1月7日

究極のバス旅をもとめて!日本vs欧州700キロ昼行バスの旅

バスで来た!

 

日本最長の昼行バスといわれる上野~青森便。11時間かけて680キロを走破するのだ。しかも昼間にである。

これに匹敵するバス旅がヨーロッパにある。オランダ~ベルギー~フランスをバスで1日で結ぶのだ。こちらも昼間に12時間以上かけて走るという。

ちょっと想像を超えているだろう。どちらも乗ってきました。

※この記事はJTBがあたらしく始めたヨーロッパの日本語周遊バスMyBusランドクルーズの広告企画ですが、取材時にはまだこのサービスが始まっていなかったので仕方なく現地のガチのやつに乗っています。

1975年愛知県生まれ。行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。


前の記事:発見!ランチパック「名古屋味」

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

日本の長距離昼行バスで最長と言われるのが東京と青森とを結ぶ便である。朝10時に上野を出て夜9時ごろに青森に着く。総距離680キロ、ざっと11時間の旅である。

これに匹敵する昼行バスがヨーロッパにあるらしい。総距離620キロ以上、オランダからベルギーを経てフランスまでの道のりを一日で走るというのだ。今回の記事はJTBがあたらしく始めたヨーロッパの日本語周遊バスMyBusランドクルーズの広告企画なので、その一部なのだろうとお思いだろう。

それが違うのだ。取材時にはまだこのサービスが始まっていなかったので先駆けて現地のガチのやつに乗ってきた。ようするに大人の事情である。とはいえ昼行の長距離バスという点は同じなのでその部分で青森便との違いを感じてもらいたい。

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まずは国内最長の昼行バスから

長距離夜行バスには何度か乗ったことがあるけれど、昼行バスで長いというのはどうなのか。夜行バスとはまた違った面白さがあるのだろうか。予約は国内も海外も、webから簡単にできた。

まずは東京~青森のバスである。

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朝10時に上野駅近くから発車します。
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誇らしげに掲げられる「青森駅前」の表示。決意のようなものを感じる。

バス乗り場で待っていると「青森駅前」の表示も誇らしげに、大きな観光バスみたいなやつがやってきた。かっこいいぞ。

しかし乗り込んでみるといわゆる「高速バス」の内装だった。夜行バスのようにカーテンで仕切りがあるわけでもなく、左右に2列ずつの4列シートである。シンプルイズベスト。派手に席を倒すと後ろの人に蹴られるやつだ。

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中は左右に2列のいわゆる普通のバスでした。

座席間隔も普通のバスと同じで、狭すぎないがけっして広くはない、いやちょっとまてよ、やっぱり狭いかな、くらいだった。一言で言うと、狭い。

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余裕はない。

でも荷物は上の棚に置けるし電源も完備である。もちろん空調もきいていて暖かいし。好きな飲み物とお菓子と本さえあれば、この空間で一日過ごせるというのはもしかしたら天国なのではないか。

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電源完備がうれしい。

平日の便にもかかわらず、上野駅を出る時点で席は8割がた埋まっていた。聞くと、時期にもよるが、だいたい毎日満席に近くなるのだとか。こんなハードなバス旅に毎日30人くらい挑んでいるということだ。

ということはもしかしたらものすごく快適なのかもしれないぞ。期待をこめて、いざ11時間の旅に行ってきます!

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隣のお父さんはよくこの便を利用する、とのことでした。

バスは快晴の都内を抜け、北へ北へとひた走る。都内は混んでいるし、高速の防音壁に視界を遮られてほぼ景色が見えないので、いきなり自分の内側と対話を始めるしかなくなった。家のカギ閉めてきたっけな、とかどうでもいいことが気になる。

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都内はガードが高くてあまりよく景色が見えません。
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足を組むときは隣の人と同じ方向に組む必要があります。

隣のお父さんは発車して1時間たらずで寝た。まだ昼の11時である。見渡すと周りでもちらほらみんな寝始めていた。

寝るんだ、昼行バス。考えてみればやることないから寝るのも選択肢の一つかなとは思っていたけれど、これほどまでにみんな寝るとは思わなかった。夜寝られなくなるぞ。

静かな車内に響くお菓子の音

スタートしてほどなくして車内が静かになった。話をするのはひそひそ声、そんな暗黙の了解がまかりとおる雰囲気である。持ち込んだお菓子を開ける音が響く。ガサガサ、ガサガサ。これは外が明るいだけで、プレッシャーは夜行バスと同じだ。夜と違ってビールとか飲めない分、頼れるのは自分だけである。

とはいえバスは2時間に1度くらいの頻度でサービスエリア休憩をとるらしい。最初は頻度多いなと思っていたが、これが徐々にありがたみを増していく。

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ほどなくして最初の休憩、佐野SAに到着。やったー。

サービスエリアでの休憩はだいたい30分くらいだった。思った以上に長くとってくれる。隣に座っていたお父さんは煙草を吸う人らしく、バスを降りてすぐ喫煙所に飛び込んでいった。煙草を吸う人は僕たちがトイレを思うみたいに、同時に煙草のことも考えなくてはいけなのでたいへんだ。

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出発時間を掲げておいてくれるので安心です。
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サービスエリアのCDラインナップが車世代のハートを打ち抜く。
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その土地のものを買えるのもサービスエリアの楽しみですね。
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このサービスエリアはおもちゃのラインナップがものすごかった。ちょっとしたおもちゃ屋さんくらいある。

寝てる人がいるとなるとみんな気を使って静かにしてくれるので、バスは本を読んだりするにはもってこいの環境なのかもしれない。次の休憩所までに持ってきた本を一気読みしてしまったくらいだ。

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好きな本を読みながらなので2時間なんてすぐですわ。

あっという間に次の休憩に入る。なんだ、たいしてつらくないぞこれ。

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那須高原SAにて。見返すとけっこうつらそうな表情してた。座りっぱなしでひざが痛くなってきた頃だと思います。

ちなみに青森までの11時間のうちに休憩は4回である。それぞれ30分くらいずつ止まる。

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那須高原では迫力のはみ出し方をしたホットドッグを食べた。

この休憩の「30分」という時間が絶妙なのだ。トイレに行ってコーヒーを買って、ちょっとぼーっとしたら30分である。サービスエリアにあるレストランに入ってしまうと、注文してから料理が出てくるまで待つことになるので30分だとちょっと心もとないだろう。

とはいえだいたい毎回大きなサービスエリアを選んで休憩してくれるので、その気になれば林の中を軽く走ったりもできる。僕は出張に行くときには現地で走るため、だいたいジョギングシューズを持って行くのだけれど、これがたいへん役に立った。紅葉の中を5分くらい走る。実際走っていたのは僕と犬くらいだったけれど、これはかなり気持ちがよかった。

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ちょうど紅葉の時期でした。

バスにはみんなだいたい時間通りに戻ってきくるのだけれど、このサービスエリアでは2名ほどが遅れて時間通り出発できなかった。

チケットを買うときに電話番号を登録してあるので、運転手さんが集合時間に来ないお客に直接電話する。ちょうど聞こえてしまったのだけれど、この言い方がぜんぜん嫌味ではないのだ。

「失礼します!もしかしてバスを間違えちゃってないかなと思って!」

こういう配慮は日本ならではだと思った。

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置いて行かれない安心感あります。かといって遅れちゃダメですけどね。
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なんと前半戦ですでに持ってきた本を読んでしまった。

持ってきた本も読んでしまったので会社のメールをチェックしたりメルカリでいらないものを物色したりして時間を過ごした。さっきの休憩所で余分に時間をとってしまったからだろうか、次の国見SAでは休憩が20分だった。

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国見SAで食べた「しみ天」という食べ物。いま考えてもあれが何だったのか思い出せない。揚げてあって美味しかった気はする。
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そろそろ腰もひざも痛くなってきています。

僕はドライブが好きだと思っていたのだけれど、実はサービスエリアが好きなだけなのかもしれない。つまりバスに乗ってたまにサービスエリアに寄ってくれたらもうそれで満足なのだ。車売ろうかな。

というわけで前半戦終了である。はっきりいって楽しかった。

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何もしなくても日は暮れるのだ。

後半戦に突入

しかしここからの後半戦が長かった。徐々に日は傾き、夜に向かってバスは走る。サービスエリアで本でも買えばいいやと思っていたけれど、売っていなかった。考えてみたらみんな運転して来ているのだ、本読まない。

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耐えられなくなって車内で電子書籍を買いました。

本を読んで眠くなったら目を閉じてみるんだけれど、昼行バスってなんだか眠れないのだ。理由は昼間だからだと思う。

でもバスには運転手さんが2名乗車していて休憩の旅に運転を替わるのだけれど、控えの選手は後ろの方で寝ているようだった。これは仕事としての睡眠である。さすがプロだ。

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会社だとすぐに眠くなるのにな。

朝の新しい光を浴びて出発したバスが、いまでは青から赤、赤から黒へと重さを増していく空の下を走っている。こういう時間の移り変わりを感じることができるのは昼行便ならではなのかもしれない。旅とは点ではなく土地土地を線でつなぐことなのだ、そういう基本的なことを思い出させられる。

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いよいよ最後の休憩所を通過。

バスは最後の休憩所である紫波SAを過ぎ、青森県内へと入っていく。このバスは終点の青森駅前の前に弘前でも降車できる。弘前での降車で10分くらい止まるので実質休憩は5回である。ここでトイレにいったりもできるぞ。

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隣のおじさんが青森駅の前の弘前で降りたので、少しだけ領土を広げることに成功しました。

弘前から先はほぼウイニングランである。1時間ほど走ってバスは時間通りに青森駅前に到着した。この感動ったらない。ただ乗っていただけなのにこの感動である、運転手さんたちはきっと抱き合って涙していることだろう。

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着いた!

この日は遅かったので青森で一泊して、翌日の朝の新幹線で帰りました。あー楽しかった。

次はヨーロッパの昼行長距離バスに乗ります。

次のバスはオランダ出発!
 

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