幼馴染なので「久しぶり!」で集合したい
唐沢さんとは会ったことも話したこともない。この撮影も2日前に急遽決まったため打合せも何もしておらず、企画の概要をざっくりと共有しただけだった。
怖いLINEをしてしまったが受け入れてくれた幼馴染(になる予定の方)
「地元」は唐沢さんも私もまったく縁がない町、足立区の扇大橋を選択した。どんな街かも何があるのかも知らない。
扇大橋駅に向かう日暮里舎人ライナーの車窓から、街並みを眺めて気持ちを作った。扇大橋に帰ってくるの、いつぶりかなぁ。あんなところにスーパーあったっけ。少しずつ街並みが変わってるな…
結果、無事「久しぶり!」と言い合うことができた。しかし緊張しすぎてその時の写真を全く撮っていなかった。
母校、扇小学校へ
まず母校を見に行こう!
えっと学校は…と言いながらGoogleMapで近くの小学校までの道を調べた。地元なのに…
駅から行くことがあんまりなかったもんね。いつも家からだったから、と唐沢さん。
それもそうか!だから景色が変わって見えるんだ。きっとそうだ。
んちゅ:いつから会ってないんだっけ?
唐沢:私が小学校4年生くらいのときに大阪から転校してきてまた大阪に戻ったから、高校生以来かなぁ?連絡は取ってたけどね…
んちゅ:ちゃんと地元に帰ってきて思い出を巡るのは初めてかもね
唐沢:低い建物が多くて帰ってきたって感じする~!
そうだったそうだった。雨の日に右側の駐輪場で遊んで、危ないし邪魔になるよって怒られたっけ。懐かしいなぁ…
門に立ってみて、塀の低さに驚いた。こんなに低かったっけ!うちらが大きくなったからじゃない?と盛り上がる。大人になったもんだ。
んちゅ:すぐそこのマンションに吉田住んでたじゃん?
唐沢:住んでた~!
んちゅ:一番家近いのにいつも遅刻してきてたよね
架空の同級生「吉田」の話になった。吉田はクラスの集合写真を撮る直前にジャングルジムから落ち、顔を擦りむいたのだ。
アルバムに残る写真の顔がしゅんとしててかわいそうだけど面白いんだよね、と唐沢さんと大いにうなずき合う。アイツはかなりやんちゃなやつで、いつも怒られてたっけ…
あと歯に挟まったニラを取ろうとしていたことからあだ名がついた同級生「ニラ」も誕生した。
んちゅ:あの花壇も懐かしい~!セミの幼虫出てきたな…
唐沢:セミの幼虫は嫌いな子と好きな子がいたね~
んちゅ:私は好きだったからみんなに見せて回ってた
唐沢:そうそう。だから「セミ」っていうあだ名ついてたよね
私のかつてのあだ名がたった今「セミ」になった。今決まったのに不思議と本当にそうだった気がしてきたぞ。
思い出の扇みしま公園
んちゅ:あだ名なんだったっけ?
唐沢:関西出身でゴリラを「ゴリラ(“リ”にアクセント)」って言ったから、そのアクセントで「ゴリラ」って呼ばれてた。
唐沢さんのかつてのあだ名がたった今「ゴリラ」になった。“リ”にアクセントをつける読み方は英語の“Gorilla”と同じだからむしろ正しいのだと熱く語っている。
確かにそう呼んでたような気がするな。「本当にいいの?」って何度か確認した気すらしてきた。
探し始めてすぐ、偶然四つ葉を見つけた。唐沢さんが「えっ!!すごいすごい!!」とはしゃいでいたので記念にあげたらたいそう喜び、いそいそと手持ちの本に挟んでくれた。
昔もよくこうしてはしゃいでいたな、変わってないな…と嬉しくなり、思い出に浸ってしまった。初対面なのに。
河川敷でお菓子を食べたあの日をもう一度
コンビニで駄菓子を買い込み、思い出の河川敷へ。
んちゅ:優美がさぁ、大樹に花火大会に誘われたって相談してきたことがあって…
唐沢:知らんかった!
んちゅ:意外すぎて、大樹が?!って思っちゃったんだよね。まぁ優美が嬉しそうだったから「行ってきなよ」って言ったの。
唐沢:恋愛相談とか全然受けんかったからな~、セミからちょっと話聞くくらいやった
んちゅ:……あっ、そうねそうね、そうだったね!
自分のあだ名がセミだったことを忘れ、セミの声に耳を傾ける唐沢さんを想像してしまった。そうだった、私がセミだった。
唐沢:中学の部活なんやったっけ…
んちゅ:吹奏楽!誘ったよね確か?入ろうよ~って
唐沢:そうそう、でも運動したくなくて結局美術部で…
んちゅ:そうだったそうだった、吹奏楽部も走ったりしてたからね
あのとき一緒に吹奏楽部に入ってたら、クラスだけでなく部活内でもたくさん思い出ができていただろうな。それはそれできっと楽しかったな…。