今日はパイナップルそのものが酢豚である
個人的には酢豚のパイナップルは、特別好きでも嫌いでもない。周りと調和しているとは思えないが、あるとおもしろいのでどちらかといえば好き、ぐらいの気持ちだった。
でもパイナップルしか入っていない酢豚のことを考えたら、むしろそれなら食べてみたいと思った。「今日はパイナップルそのものが酢豚なのだ」と言われた時、自分がどんな反応をするのか知りたい。
では作ろう
スーパーで豚肉とパイナップルを買ってきた。酢豚に入っているであろうタマネギやピーマン、パプリカの部分を全部パイナップルに担ってもらう。
鮮やかできれい。蒸気と一緒に甘い匂いが広がって不安が吹き飛んだ。
そしてここにケチャップ、酢、しょうゆなどを混ぜておいたタレを絡めて、片栗粉でとろみをつけたら完成です。
さっき吹き飛んだ不安が帰ってきた。おかえり。でも食べよう。これは「こういうもの」なのだから。
恐る恐るパイナップルを口に入れると、温かい果肉から甘い汁がジュワッとあふれて酢豚のタレと混ざり合った。
最初に「おもしろい!」と思った。
馴染みのない感覚が立て続けにやってくると、おいしいかどうかを判断する前に「おもしろい!」と思う。
そしてそのおもしろいパイナップルを立て続けに食べると、どんどん好きになっていった。突然アートの鑑賞方法が分かったような感覚。
あったかい果物はおいしいし、酸味の効いたタレとも合う。もちろん肉とも合う。飽きずに一息で食べられてしまった。
いつも一切れ食べて「なんかおもしろい」で終わっていたのだな。続けて食べたら味わい方のルールが分かって「おいしい」と思うところまでたどり着いた。
【パイナップルだけの酢豚】
果汁がジュワッとしておいしい。肉とも合う
好き度 ★★★★★
他の果物でもやってみよう
変わったものでも、それだけをじっくり食べると良さが分かってくる。これは他の果物にも応用できると思った。
4種類、やってみました。
淡い緑に赤いタレが絡んでゴールドキウイの色になった。
でも、でもである。食べるとおいしかった。キウイの柔らかい食感やキュッとした甘味と酸味が、酢豚のタレと合っている。肉とも合うしご飯が進みそうな感じさえした。
食べた時のメモには「キウイの種がゴマみたいで良い」「あったかい果物には高級感がある」とも書いていた。相当好意的じゃないと出てこない言葉である。
【キウイだけの酢豚】
程よい甘味と酸味。たくさん食べるのにぴったりの具材だと思った
好き度 ★★★★★