特集 2025年3月5日

どうしてそうなった?ふしぎ昆虫大集合「珍奇の世界展」

どうしてこの形になったのか

横浜で開催されている「珍奇の世界展」という展示を見に行った。

その名の通りというか、予想以上に珍奇な生き物を集めた展示だったのでごらんください。

人間から見ると「どうしてそうなったの?」と思わざるを得ません。

※きもちわるい写真は載せていませんが、昆虫がメインですので虫が苦手な人は薄目でごらんください。

行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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「珍奇の世界展」とは

横浜の商業ビルの一角がパーティションで区切られていた。なにやらただならぬ雰囲気である。

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不思議な生き物。中でなにが行われているのだろうか
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映画館の前のスペースです

パーティションには「珍奇の世界展」というポスターが貼られていた。つまりここが展示会場なのだろうか。

入口を探して入ってみた。

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ちゃんとしたイベントでした

入口にはちゃんとスタッフさんがいてチケットも売られていた。よかった。となりが映画館なので映画の宣伝が遠慮なく聞こえてくるが、パーティションの中は標本箱と解説とが整然と並べられていて、急に研究室っぽさが漂う空間だった。

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大量の標本が整然と展示されています

入口に貼られた概要によると「珍奇の世界展」は世界中の変わった生き物たちを集めた展示なのだとか。

・18世紀以降、新種の生き物に名前(学名)が付けられるようになった
・これにより未知の存在だった生き物たちが知識体系に組み込まれることになる
・中でも昆虫は種類が多く、現在名前がついているものだけでも100万種以上
・これは全動物の約半分にあたる
・今回はおもしろい昆虫を中心に世界中から集めました
・世界ではじめての標本展示もあるよ

これを聞いただけで胸がときめくだろう。勇気を出して入ってよかった。

会場内には大量の標本がテーマ別に展示されており、ひとつひとつが驚くべき珍奇さだった。

とはいえ昆虫なので人によっては好き嫌いがあるだろう。この記事ではあきらかにやばいのは取り上げずにおいたので、興味ある人はぜひ現地に見に行ってもらいたい。

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光ったりアリをだましたりするコガネムシ

それでは展示内容をいくつか紹介しよう。まずはピカピカのプラチナコガネから。

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ピッカピカである
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なに食ってるとそうなるのか

ピッカピカである。どう見ても金属なんだけど、これで野生のコガネムシなのだという。外だと目立つだろう、大丈夫なのか。

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ピカピカの背中は光が反射するのでとくに雨の多い場所では風景に溶け込みやすいのだとか。本当に?

「珍奇」の意味がわかってもらえただろうか。その生き様が想像できないほど変わった生き物たちが集まっていると思ってもらうといいかもしれない。

次はアリをだましてエサをかすめとるというマンマルコガネの登場だ。

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マンマルコガネはアリと一緒に行動して、アリの見つけたエサをかすめとるのだとか。万が一ばれてアリに襲われた時のために丸くなることができるらしい。努力の仕方がむちゃくちゃである
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ほんとに「まんまる」になっていた。サイズはアリと同じくらい

そういう技を苦労して身につける前に自分でエサ見つけろよ、とも思うが、そんな単純な話ではないのだろう。

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ゾウムシの尋常ならざる多様性

今回の展示の中で、もっとも個体数が多かったのがゾウムシだ。世界中にはゾウムシと名付けられている虫が8万種を超えるらしく、ここにあるのはその中のほんの一部にすぎないのだとか。

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ゾウムシは昆虫の中で最も種類が多いらしい。それだけいると見たことないゾウムシ見つけた時に新種かどうか判断するのが難しいだろう。神経衰弱を8万回繰り返すことになる
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このへんぜんぶゾウムシですから

標本は非常に丁寧に整然と展示されていて、しかもどれもこれもおもしろかったり綺麗だったりするので、一つずつ見ていくとすぐに腰が痛くなってくる。僕はゾウムシコーナーだけで30分くらい眺めていてドライアイになりました。

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色も形もぜんぶ違う。おなじゾウムシという名前でくくっていいのか不安になるほどの多様性だ
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で、君はなぜその模様に
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宝石まぶしてますよね

こんなに綺麗だったり毒々しかったりド派手だったりする生き物が、よく野生で生きているなと思う。

見つからないことが目的ならば石とか土に似た地味な色の方が有利なはずだろう。いったい何が起きているのか。我々人間にはド派手に見えても、天敵からは見えにくいのだろうか。

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なんのためなのかわからないツノ

ミカヅキゾウムシはニューカレドニアにだけ生息しており、ツノが立派だがなんのために生えているのかわかっていないのだとか。

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なんのために生えているのかわからないにしては立派すぎるツノ

なんのためなのかわからない機能というのはだいたい目立たないものだと思うのだが、ミカヅキゾウムシのツノはなんと自分の体よりもでかい。

それがまるごとなんのためなのかわからないとか言われると、理解できないのは人間の側に非があるような気がして申し訳なくなる。きっと彼らにとってはすごく大切な意味を持つのだろう。でなけりゃこうはならない。

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まさにブローチ、ブローチハムシ

ブローチハムシという虫のなかまも面白かった。名前のとおり、そのままブローチにしたくなる形と模様である。

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これは「ブローチハムシ」のなかま。すごい形と色をしている
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ぜったい宇宙から来たと思うんだ
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だってそこに棒ないもん普通
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世界三大奇蟲

世界三大奇蟲のコーナーは、もうしわけないけどきもちわるかったので遠目に紹介するだけにする。

興味のある人は現地で見てください。生きてました。

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トホノサソリモドキ(サソリに似た外見。興奮させると尻尾から酢酸を出す)、ヒヨケムシ(夜行性で攻撃的。イモムシとクモとサソリを足したような姿)、ウデムシ(こう見えて毒はありません)。すべてやばい見た目をしているので、よほど大丈夫な人だけ検索してみてください。
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僕はだめでした

あこがれのツノゼミも

僕も子どもの頃はセミとかカブトムシなんかを追いかけていた。昆虫図鑑が大好きで、日本にいない昆虫のページなんかを見ては憧れを募らせていたものだ。

なかでもツノゼミは一度見たいと思っていた。

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今回まとめて見られました。夢はかなうのだ
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これがツノゼミ

ツノゼミは全体的にすごい形をしている。

これまで見てきた昆虫すべてすごい形をしていたが、ツノゼミはとくにすごいと思う。その形を見ると素直に「なんで?」と思う。ちなみにセミという名前だがセミの仲間ではなくカメムシの仲間。

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本当になんで?と思う

進化は適者生存である。つまり環境に合った個体が生き残り、子孫を残していく仕組みだ。

となるとツノゼミがこういう形になったのにもわけがあるはずなのだ。見た目がかっこいい方がモテるから、くらいの理由だったらいいなと思うがそうじゃないんだろう。

なんでかわからんけど体の一部が伸びたパターン

次は理由はあったりなかったりだけど、体の一部が伸びてるパターン。

ロクロクビオトシブミはろくろ首みたいに首が伸びることがある昆虫らしい。

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メスをめぐってオス同士がケンカするため、首が長い方が有利?なのだとか。何言ってんのかわからない
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だってみてよこれ
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首、伸びすぎでしょう

ここまで首が長いといっそ弱そうだなと思っちゃう。だってぜったい首が弱点だろう。

アフリカのアシナガコガネは後ろ足だけが伸びている。これもオス同士がケンカする際に有利なのではとのことだった。

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相手を蹴るために伸びたとみられる足

「なんで?」が通用しない世界

昆虫たちは僕たちにはわからない理屈で進化しているのだろう。だから「なんで?」と思うし、わからないから面白くてずっと見ていられる。

しかし冷静に考えてみると、ヒトだって二本足で歩き回るの不自然だし、頭の一部にだけ毛が生えていたりもするだろう。他の生き物から見るときっと珍奇なのである。

そんな生き物の多様性というものをまざまざと感じられる良い展示でした。

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世界最小のネズミ「ピグミーマウス」もいます

「珍奇の世界展」

MARK IS みなとみらい 5Fイベントスペースにて(HP

2月15日(土)~3月30日(日)

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
僕も幼少期は昆虫図鑑を隅々まで読みまくっていたクチですが、それでも知らない虫がたくさんいました。首が伸びるってどういうことだ。
そんな虫の数々を前にして、「なに食ってるとそうなるのか」「理解できないのは人間の側に非があるような気がして申し訳なくなる」などなど、終始、虫と同じ視点で紹介する安藤さんが印象的です。(石川)

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