場所は種子島の南のほう
まずはこのGoogleストリートビューを見てほしい。
犬が元気よくGoogleストリートビューの撮影車を追いかけている。2014年に撮影されたものだ。
話題になったのは、撮影から4年が経った2018年のこと。
現場はだいたい下の地図のあたり。砂坂漁港という場所だ。
その当時「犬がかわいい」「とてもかわいい」とTwitterがわき、いくつかのメディアが記事としても取りあげた。
聞くところによれば、Googleストリートビューの撮影車を犬が追いかけること自体はけっして珍しいことではないらしい。だけどこの犬のことが、初めて見たとき以来頭から離れなかった。
とにもかくにも、かわいかったのだ。
液晶ごしに伝わってくる躍動感。心のままにぴょんぴょん走って跳ねている感じがなんとも愛らしい。
ときどき眺めるようになって、いつからか「現場に行ってみたい」と思うようになっていた。
鹿児島空港から種子島空港までは1時間足らず。離陸したなぁと思ったら、あっという間に着陸である。
空港からは島の南方に向かう。
島の構造は下の図のような感じで、上の方に港、真んなからへんに空港、南に犬が出没した砂坂漁港があるのだ。
同じ飛行機に乗っていた人らはほぼ、レンタカーの受付窓口に向かっていた。とても賢明な選択だと思う。だが、私はバスに乗ると決めていた。ドライビングスキルに自信がなかったのだ。
運転免許証を手に入れてからは1年が経つ。免許証は、身分証明として活躍しているけど本来の役割を果たす機会がないままだ。こうして人は着々とペーパードライバーになっていくのだろうか。いや、そう思うなら、その負のループをどうにか断ち切ってくれよとも思う。
バスの乗客は私ひとりだった。
バスの運転手さんに宿の名前を伝えたら、じゃあ宿のすぐそばでバスを停めますよ!と言ってくれた。ありがとうございます。
宿に着くまでに見た対向車は数える程度。信号がほとんどないことにも驚く。道の左右にはのびのびと草が生えていた。この島に生えている草は、なんだか気持ちよさそうだ。
運転手さんは、草の合間に生えている白い花がテッポウユリであることや、宇宙センターの見学方法、最近保護した子猫のことなどをいろいろ話してくれた。
そしてハリのある声で「島をまわるなら、やっぱりレンタカーが便利ですよ!」とアドバイスをくれた。
やっぱりそうですよね。
降りようとして財布を開いた瞬間、しまったとなった。1万円とちょっとの小銭しか入っていなくて950円のバス代がキリよく払えない。
そんな私に運転手さんは軽快に「もう一度バスを乗ったときに、その運転手に払ってもらうか、宿から数分歩いた先にあるバスの営業所で支払ってもらえば大丈夫ですよ」と言う。
そして出向いたバスの営業所で、新しい事実を知ることになった。島のバスは日祝日は運休しており、バスによっては土曜日も走っていないのだという。
ちなみに私がバスに乗ったこの日は金曜である。明日とあさっての移動手段をぜんぶ、一体これからどうしていこうか。