体験談をもとに一般的なところを交えてお送りします
今回は今年の4月6日にうっかりやってしまった私の骨折の顛末をもとに、たんすの角に足をぶつけて骨折するとどういったことになるのかの一例をご紹介していきたい。
流れとしては以下の通りだ。
1.たんすの角に足の小指をぶつける
2.おさまらない痛みと腫れ
3.迷いつつも一応病院へ
4.骨折判明、処置
5. そして現在へ…
症状や治癒には様々なパターンがあると思われ、そのほんの一端でしかないエピソードのご紹介記事ではあるが、もしものときのために参考にご覧いただけるとこれ幸いであります。
足の写真が続きますがどうかご了承ください
きっかけは「おしっこ」
さて、事件が起こったのは先日4月6日午後のことであった。3歳の娘と部屋で遊んでいたのだが、急にその娘が「おしっこ!」といったのだ。
幼い子供に急に「おしっこ!」といわれる。私が最も俊敏に動くトリガーとなる言葉である。
急ぎ娘に駆け寄ったとき、ズガン、とたんすの角に足の小指ぶつけた。
再現(ふざけた柄の靴下も正確に再現しています)
なんとわるいことにこのとき私は普通の靴下の下に足の指がガバッと離れるタイプの靴下をはいていたのだ。
こういったリラックス時にはくための靴下。はいて遊ぶのはもってのほかであった
これ、本来リラックスしてテレビでも見るときに足をスッキリさせるためにはくものである。大変にきもちいいので好きでよくはいていたが、そもそも子どもと遊ぶようなアクティブなシーンではいていいものではない。
ちょうど広がっていた足の小指にたんすの角が直撃したのである。
大したことだとは気付かず
しかしこのときは派手にぶつけたなとは思ったくらいだった。結局娘がもらしたのでそれどころではなかった。
たんすで骨折豆知識
いつものたんすに足の小指をぶつけたのと
変わらないくらいの衝撃でも骨折していることがある
明らかなる腫れからの検索
ひと段落したところでなお足の小指に痛みがあることに気付いた。
靴下を脱ぐと左足の小指を中心にあたりが真っ赤になっており、かつ右足と比べると明らかに腫れている。おおっ?!
とはいえ、激痛があるわけではない。ぶつかった部分を押したり、グーパーすると痛むが、そうでなければほんのうっすらと鈍痛があるくらいだ(ちなみに、後に医師に「無理なグーパーは悪化につながるから絶対だめ、といわれて焦った)。
おそらく翌日予定がなければ放っておいたと思う。
しかしこの日は次の日にパンプスをはくつもりの用事があった。腫れっぱなしで足が靴に入らないのは困るぞと、腫れをどうすべきかスマホで検索してみることにした。
あとから考えると、ここで放っておかなかったのはラッキーだったと思う。
たんすで骨折豆知識
腫れて患部を押すと痛み、さらにグーパーすると痛いときは骨折していることがある。
1番上の「かゆみ」はしもやけだろうか。「骨折」案も早速出てきている
ずらずら出てきたサジェストに足の小指が腫れている仲間の存在を感じる。
今や何かあった時にまず最初に人を励ますのは家族でも友人でもなく検索窓ののサジェストなのではないか。
骨への影響を軽く自覚
検索して、たんすの角にぶつけた小指の腫れが引かない場合の実際として仕入れた情報は以下の通りだ。
・それ骨折れてるかも
・少なくともヒビくらいは入ってる
・打撲かもしれないけど、骨折の場合が多い
私は応急処置について知りたかったのだが、ここで初めて「骨折」もしくは「ヒビ」と骨への影響の可能性を知った。まじか。いやまさか。
たんすで骨折豆知識
ネットではたんすに小指の足をぶつけて検索までするほどの症状が出ている人は打撲よりも骨折している人が多いっぽい。
とりあえず、氷水で冷やすのが一番という情報があったのでとにかく冷やしつづけた(再現)
結局、この日は徹底的に冷やしたあと自宅にあった湿布を貼りきつめの靴下をはいて(固定のつもり)寝た。
痛みはひどくならず、腫れも若干は引いたように感じた。
記念としての受診
そして翌日。引き続き腫れて痛みもあるが悪化は感じなかった。
歩くと左足をかばうような歩き方にはなってしまうが立つのも苦ではなかったし、何しろ湿布を貼ったままストッキングをはいた足で予定のパンプスがはけたのだ。
はけている。この日は息子の小学校の入学式であった
・いまだ腫れている
・歩くと痛い
この2点で病院に行く理由は十分だと今になってみれば思うのだが、この時点で実は「通院、どうしようかな~」と思っていた。
いっちょう行くか! という気持ちになったのは、病院に行って症状にちゃんと名前がつけば息子の入学の日の良い思い出になるかなと思ったのだ。
のんきすぎて怖い。ちゃんと病院は行こうというのが今回の骨折での最も大きな学びであり、本稿の唯一の情報ともいえる。
たんすで骨折豆知識
痛みがそれほどでもないので我慢できちゃうけど専門知識のない場合は腫れと痛みが続いたら病院へ行ったほうがいい。
そして受診(以下、病院での写真は2回目、3回目の受診のとき撮らせてもらったもの)
流れるようにレントゲン撮影
整形外科は混んでいた。お年寄りや、スポーツをする方がたくさん来ているようだった。
待合室の隣にリハビリ室もあって、私が座ったところからは頭をワイヤーで上から引っ張るようなリハビリ機器で次から次へとみんな頭をひぱっていた(頸椎の牽引装置というものらしい)。
しばらく待って診察室へ。事情を説明するとほとんど流れるようにレントゲン撮影しましょうということになったのだった。
レントゲン撮影、そして
完全に折れてます
笑顔がおだやかで会話の調子も楽しいおじさん先生によると
・折れてますね
・完全に折れてます
・見事に立て割れですね
・たんすの角に足をぶつけて骨折する人、多いんですよ
・今朝も1人、たんすじゃなくて椅子だけどぶつけたって人が来ましたよ。60代の女性かな。その人は小指の上のところを骨折してたけど、あなたのは指の付け根だね
ということで、なにしろ「てきめんに折れてる」、「足の小指の骨は折れがち」ということが分かった。
明るい先生だったのでこちらも骨折れてるのになにか楽しくなってしまい「(レントゲンではわかるけど、実際の足だと)骨折の部分はどのへんなんでしょうかね」と調子にのって聞いたら「ん? この辺」と押されて超痛かった。
見事な立て割れ
全治5週間
先生の見立てでは全治5週間。
治療は3週間にわたってきちんとした固定でまずは骨をくっつけ、残りの2週間も念のため固定しましょうということであった。治癒の確認でできれば1週間に一度は通院をとも。
体育系の部活に属すことなく体を動かすことには無縁の人生の私にとって、初めてのザ・骨折となった。たんすの角に足の小指ぶつけて。
たんすで骨折豆知識
ひとつの整形外科に1日に2人も家具に足の小指をぶつけて診察にくる。
いてもたってもいられずFacebookに書き込むと続々と経験ありとの手があがった。「すぐ治る」とも!
実は病院へ行く前も家族が2人たんすの角で骨折したという友人から強く受診を勧められていた。本当に多いのだ。たんすの角に小指ぶつけて骨折する人は
とにかく固定、動かさない
処置としては、小指と薬指の間にガーゼをはさんでテープで両指を固定、その下にアルミの板にスポンジがついたような副木を当ててまたテープで固定、包帯で巻くというもの。この状態で3週間をすごす。
経過がよければ残りの2週間は隣の薬指は解放して小指1本を固定するだけでよし、ということだった。
これがアルミの副木
不器用すぎて自宅での再現に難儀したので2回目の診察のとき、最初から最後まで包帯のまき方を写真で撮らせてもらった
先生には「しばらく外出はつっかけサンダルだね!」といわれさすがにぎょっとしたのだが、病院にはいてきた大き目のスニーカーがはけた。
これで良いか聞いてみると、しめつけがなければOKということだった。
しかし確かに一番楽なのはつっかけサンダルだった
またお風呂も包帯巻きっぱなしで入るように、足の洗浄は包帯を取り替えるときに優しく行うべしということ。
私の場合、副木のおかげもあって歩行も日常生活もほとんど支障がないので、怪我をしているらしいところはスニーカーしかはけないほかは「風呂に入るときゴミ袋をはいている」という点くらいであった。
たんすで骨折豆知識
治るまではとにかく動かしてはいけない。
副木をあて包帯を巻き続ける日々を送ることになる。
細い靴がはけず、シャワーは足をカバーして入る。
シャワー時はこのようにゴミ袋を2重ではいております
1週間目に起きたこと
そうして足の小指の固定生活が始まった。
2日目にはまだ歩くとやや痛みがあり、このころから足の中指の下から包帯の中にかけて青紫の痣がひろがってきた。
3日目の夕方、会社から帰ろうというときに急に劇的に歩くときの痛みが解消されているのに気付いた。骨になにかあったのだろうか。
不思議だったのは、骨折後の1週間ずっと「前屈」が明らかにつらかったことだ。
床に落としたものを拾おうとするときなど、硬い体を無理に押されているような感じの痛さがあった。どちらかというと体は軟らかい方なのでおやと思った。
骨折で足全体が緊張したのか。
たんすで骨折豆知識
痣が到来するのは骨折から2日後。
劇的に治りを感じる瞬間がある
骨折すると体が硬くなる?
靴下をはいてしまうとけっこう見た目には分からない
6日後に2度目の診察
6日後に再診。包帯を取り替えてもらってレントゲン撮影をすると素人目には様子が分からないのだが、治ってきてはいるということだった。
今回掲載しているのはこの2回目の診察のときのレントゲン写真。1回目のときはびびって写真を撮らせてもらうようお願いするどころではなかった
ここで油断して大胆に動かすと折れた場所で骨がずれてくっつくから注意するようにということであった。
私がまた調子にのって「ちょっとずれてもくっついてくれればいいかなあ」というと「そういうの、ぜったいだめ!」とたしなめられた次第である。
たんすで骨折豆知識
油断して動かすと骨がずれてくっつく。
10日後以降の怪
あとは私が固定を保ちさえすれば骨はくっついて完治へと向かうのだと思うのだが、2回目の診察を終えた10日目以降、なぜか生活していて固定している足の小指をたんすやら家具の角にぶつけることが妙に増えたのだ。
油断か、副木のずれが体を動かす感覚に影響をおよぼしているのかよくわからないが、骨折10日目前後はもしかしたら油断が入る頃なのかもしれない。
13日目にまた変化
事故から3日目に劇的に良くなる瞬間があったとは書いたが、その後13日目にも変化があった。あざが消え、それまで押したり窮屈な靴を試すと激痛があったのがまったくなくなったのだ。
3のつく日に何かあるのか。巣鴨の縁日か(それは4日だ)。
とりあえず、かなり骨はくっついてきているらしい。
なにしろ骨折は初めてなので先生のいうことをよく聞いて油断せず完治まで過ごそうと思って気を引き締めております。
14日目、腫れてはいるがあざは消えて痛みもほぼなくなりました
バンド名が決まった
思えば私は短大生のころ同級生ら5人と「圧迫骨折」というバンドを組んでいた。
当時5人中で骨折経験者は1名だけであり、その1名の骨折も圧迫骨折ではなかった。「これでこのバンド名を名乗っていいのか」と武蔵境の養老乃瀧でメンバーで話し合ったこともあった。
解散してもう15年以上が経つ。今回の骨折で次のバンド名は「足趾骨折」ということが決定したわけで、早速ギターでも買おうか。
みなさまもどうか怪我にはお気を付けください。