特集 2017年4月4日

特撮のロケ現場でババーン!と爆破結婚写真を撮ってきた

僕たち!結婚しましたッ!(ドカーン!)
僕たち!結婚しましたッ!(ドカーン!)
私事ながら、少女漫画家の栗原まもるさんと2015年10月に結婚しました。今さらもう1年半前の話だ。
互いにフリーランスということで、結婚式も何もそれらしいことをせぬままダラダラ仕事をしていたら、あっという間に1年半が経ってしまった。
僕も妻も、モチベーションが上がらない限り、大抵のことは放置して気にしないタイプだ。このままでは何も進まない。
じゃあ、かっこいい結婚写真を撮るって、どうだろう。「爆破結婚写真」とかモチベーション上がりそうじゃないか。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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爆破で結婚写真はかっこよさそうだ

戦隊ヒーローものなんかでドカンドカン爆発しているの、かっこいいじゃないか。あれを背景に結婚写真が撮れたら超かっこいいに違いない。
で、そういう爆発をバックにコスプレ写真が撮れるイベントがある…というのを聞いて、イベントを運営している団体『コスナビ』さんに予約をいれてみた。
朝7時前に渋谷駅近くに集合。今から結婚写真撮りに栃木県までバスで移動します。
朝7時前に渋谷駅近くに集合。今から結婚写真撮りに栃木県までバスで移動します。
念のために「コスプレじゃなくて結婚写真でもいいですか?」と問い合わせを入れたところ、「そういうのは初めてだけど、いいですよ」と気楽な回答をいただいた。
まぁ、結婚写真もほぼコスプレみたいなもんだし、大差ないんだろう。
着いたらまずは着替えます。
着いたらまずは着替えます。
さて、渋谷からチャーターバスで1時間半ほどで、到着したのは栃木県岩舟町。まずは町営の健康福祉センターの大きい部屋を借りて、着替えタイム。
基本、コスプレは衣装が大変にボリューミーだったり着る手間がかかったりするので、なにより着替えスペースをちゃんと確保するのがコスプレイベント運営の基本らしい。
着替えたら再びバスで移動。10分ほどで現場入りです。
着替えたら再びバスで移動。10分ほどで現場入りです。
バスから見える岩舟山方面。矢印のあたりは3.11の地震でばっきりV字に山が欠けたらしい。
バスから見える岩舟山方面。矢印のあたりは3.11の地震でばっきりV字に山が欠けたらしい。
で、着替え終わった人からどんどんピストン輸送のバスに乗って、ついに爆破撮影の聖地、岩船山に行くのである。
戦隊ヒーローもので何度も見た、あの岩場の山である。

特撮の聖地、岩船山

江戸時代から採石場として採掘されていた岩船山だが、もう石を掘り終わった中腹部は、首都圏でも数少ない「爆破シーンが撮影できるロケ現場」として使われている。
特に、戦隊ヒーローもののアクションシーンではお馴染み過ぎる場所なのだ。
ほら、見たことあるだろう、この山。この岩肌。
ほら、見たことあるだろう、この山。この岩肌。
あちこちで撮影を始めてるコスプレーヤーの皆さん。非日常すぎてクラクラする。
あちこちで撮影を始めてるコスプレーヤーの皆さん。非日常すぎてクラクラする。
アニメ『甲鉄城のカバネリ』から、カバネ(襲ってくるゾンビ的なやつ)のお二人。クオリティ高すぎないか。
アニメ『甲鉄城のカバネリ』から、カバネ(襲ってくるゾンビ的なやつ)のお二人。クオリティ高すぎないか。
到着すると、もう先のバスで来ていたコスプレーヤーさんたちが早くも撮影を始めている。そして皆さん異様にコスプレ衣装のクオリティが高い。
現在放送中の戦隊ヒーロー『キュウレンジャー』のコスプレーヤーさんたちが並んで写真撮ってて、「えっ、これ本物の撮影じゃないよな」と一瞬ギョッとしたほどだ。
なんか普通に結婚写真で本当にごめん、と謝りたくなる。誰にかはわからないけど。
なんか普通に結婚写真で本当にごめん、と謝りたくなる。誰にかはわからないけど。
対して、我々二人は普通の結婚衣装なのが恥ずかしいぐらいである。
しかも、爆破撮影に使うからレンタルは不可。結局は「ウェディングドレス 激安」みたいな弱々しい検索ワードで探して購入したドレスとタキシードだ。

ちなみにドレス1万2千円、タキシードは3ピース+シャツ揃いで1万5千円。ネットで一番安かったタキシード(揃いで1万円)は「布地が薄すぎて透ける」とコメントしてる人がいたので、もう一段階高いのを買ってみた。
しかしそれでも、水鉄砲で水かけたら溶けるんじゃないか、というぐらいのペラペラぶり。
一番安かった1万円のタキシード、どんなのだったか今さらだが気になるな。

ただ、妻が手にしてるブーケだけはちょっとすごい特注品だ。
「これね、消しゴムメーカーの特注品なんですよ」という自慢に、「へー」と驚くレベルで無反応な編集部安藤さん。
「これね、消しゴムメーカーの特注品なんですよ」という自慢に、「へー」と驚くレベルで無反応な編集部安藤さん。
花の中からのぞくケーキや動物はすべて消しゴム。さらにトップの新郎新婦コアラは、このブーケのためのオリジナル。
花の中からのぞくケーキや動物はすべて消しゴム。さらにトップの新郎新婦コアラは、このブーケのためのオリジナル。
これは、妻の友人が「新郎が文房具ライターである」という情報を元に、キャラクター消しゴムメーカーのイワコーさんへお願いして特別に作ってもらった、世界で一つの消しゴム内蔵ブーケなのである。

とは言え伝わりづらい自慢なのは自覚しているので、ひとまず、消しゴムコレクターの人にとっては垂涎の逸品だぜ?というとこだけ理解して流してもらって大丈夫だ。
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まずはかっこいいところで結婚写真を撮ろう

さて、イベントスケジュールを確認すると、爆破撮影は14時から開始とのこと。
今はまだ11時なので、2時間ある。爆破までの時間は、とにかく岩船山のロケーションを活かしたカタチで結婚写真を撮っておきたい。
コスナビさんから配布された地図とスケジュール。山の中のあちこちに撮影スポットあるっぽい。
コスナビさんから配布された地図とスケジュール。山の中のあちこちに撮影スポットあるっぽい。
岩船山、地図上には「最大危険エリア!2m以上はなれて」といった注意喚起ワードがあちこちに書き込まれている。いくら撮影スポットだからって、つまるところ単に岩場だし。本格的に危ない場所なのだ。

あと、地図上の池に「入水可能」の文字を見つけた安藤さんから、爆破→背中に火が付く→池に飛び込む、という一連のコント的な結婚写真の流れを打診されたが、そもそも結婚写真にコント的要素はいらないので無視した。
じゃあ撮影始めようか、という写真がすでにRPGのオープニングっぽい。岩船山のロケーションかっこよすぎ。
じゃあ撮影始めようか、という写真がすでにRPGのオープニングっぽい。岩船山のロケーションかっこよすぎ。
道は重機で均されてるけど、でもウェディングドレスで登るとこじゃないな。
道は重機で均されてるけど、でもウェディングドレスで登るとこじゃないな。
もともと採石場なので、重機やダンプが通れる道はある。
でも、ドレス姿で歩くことまでは想定できていまい。地図の注意喚起にあるとおり、足元が見えないと本当に崖から落ちるなーという場所がそこかしこに点在しているので、こちらとしてはとにかく注意を払うしかない。

岩船山、どこで何を撮ってもかっこよくなる説

さて、そこまで気を遣い、細心の注意を払ってまで写真撮りにいく価値が岩船山にあるのか?と言われたら、ありまくりだ、と言うしかない。
結婚写真にはあまり例がないだろうが、良い構図だ。
結婚写真にはあまり例がないだろうが、良い構図だ。
断崖結婚写真。
断崖結婚写真。
もう、どこでどう撮っても写真が格好良くなってしまうのだ。
さらに、今回は編集安藤さんとライター地主くんがカメラマンとして同行してくれたのだが、デイリー読者ならご存知の通り、二人ともやたらと写真が上手い。ロケーションとカメラマンが良ければ、何が写ってたってだいたい間違いないだろう。
ちなみに上記写真2点は、こんな感じで撮ってた。言うほどすごい崖じゃないけど、かっこよく写るのだ。
ちなみに上記写真2点は、こんな感じで撮ってた。言うほどすごい崖じゃないけど、かっこよく写るのだ。
特に安藤さんは、沖縄在住時に結婚式のカメラマンをしていたこともあるという、れっきとした結婚写真のプロである。
たかだか2mちょっとの崖でも、アングルを工夫して「落ちたら死ぬ的な断崖絶壁」での結婚写真っぽく撮ってもらえたのが、とても楽しい。
たぶんこの崖を格好良く写す技能、結婚写真には関係ないだろうけど。
断崖結婚写真2。
断崖結婚写真2。
さきほどよりさらに低い。でもかっこいい写真になる不思議。
さきほどよりさらに低い。でもかっこいい写真になる不思議。
ちなみに安藤さんに、今まで結婚式写真で大きい失敗ってありました?と聞いたら、式が終わって親族一同の集合写真を撮る時に、うっかりカメラからフィルムを落として感光させちゃったことがあります、とのことだった。
それは、撮影された親族の皆さんもさぞかし「マジかよ!」と思っただろう。
楽しんでるな、というのは伝わる安藤さん。
楽しんでるな、というのは伝わる安藤さん。
ポーズを決める地主くん。ヒーローとしてはヒラの戦闘員に負けるタイプっぽい。
ポーズを決める地主くん。ヒーローとしてはヒラの戦闘員に負けるタイプっぽい。
あと、僕と妻が写真を撮ってもらった後、崖の上から平地まで回り込んで降りているあいだに、安藤さんと地主くんがキャッキャしながらお互いを撮り合っていたのが、なんか良かった。
かっこいいポーズと、突風になびくベール。(次ページの伏線です)
かっこいいポーズと、突風になびくベール。(次ページの伏線です)
先ほど地図に「最大危険エリア」とされていた場所。実は僕らの背後2m先は切り立ったガチの崖で、すごく怖い。そして遙か向こうにはそれぞれ撮影中の皆さん。
先ほど地図に「最大危険エリア」とされていた場所。実は僕らの背後2m先は切り立ったガチの崖で、すごく怖い。そして遙か向こうにはそれぞれ撮影中の皆さん。
このイベント、実は100人以上のコスプレーヤー+カメラマンが参加しており、空いてる場所探しもなかなか一苦労である。

といっても皆さん非情にマナーが良いので、巨大なライフルを抱えたアニメヒロインと剣を抱えたゲームキャラと新郎新婦が「すいません、ここ大丈夫ですか?写り込まないですか?」「あっ、じゃあこっち、ちょっと避けますねー」など譲り合いながら撮影する、というほのぼのした感じだったが。
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緊急トラブル発生!どうなる爆発

さて、爆発撮影開始時刻の14時になったのだが、いまこんな感じ。
ビュウビュウと吹く風にふるえてます。さむい。
ビュウビュウと吹く風にふるえてます。さむい。
なんと、正午過ぎから突如として激しい風が吹き荒れはじめたため、爆破写真撮影がスタートできないというのである。
そりゃそうだ。さっきは休憩用に設営されたテントが吹き飛びかけたため、スタッフさんとコスプレーヤーの皆さんで慌ててテントのポールにしがみついて押さえてたぐらいだ。
この写真の直前、本当にテントが風で浮いた。
この写真の直前、本当にテントが風で浮いた。
ドレスの裾とベールが風で暴れるのを固定するため、こんなこともあろうかと持ってきていた巨大ダブルクリップを使用する。文房具、便利。
ドレスの裾とベールが風で暴れるのを固定するため、こんなこともあろうかと持ってきていた巨大ダブルクリップを使用する。文房具、便利。
このイベントは昨日と今日の2デイズ開催なのだが、昨日は風も気温も良い感じで、まったくトラブル無しに爆破撮影を行ったらしい。
というか、そもそもこの爆破写真イベントが雨天以外でここまで荒れたのは初めてのことだとか。
スタッフさんからの差し入れの豚汁をいただく。暖かくて超美味い。染みる。
スタッフさんからの差し入れの豚汁をいただく。暖かくて超美味い。染みる。
しかも、問題は突風だけではなかった。
なんと数時間前に岩船山の隣の山で山火事が発生。消防ヘリなどが出動する騒ぎとなっていたのだ。
確かに、撮影の合間に写り込んでいたヘリ。
確かに、撮影の合間に写り込んでいたヘリ。
「隣は山火事、外は突風、これなーんだ」というなぞなぞがあったとしたら、答えは我々である。
困ったことになった。

ナパームはムリだけど、セメントなら!

結局、風が収まるかもという一縷の望みにかけて一時間ほど待機したものの、やはり吹き止む気配はない。
これもしかしたら今日はムリかも…というムードが砂埃に吹き曝しとなったコスプレ集団に漂い始める。

その時、主催者さんから「ちょっと集まってください」と声がかかった。
どうなる、爆破!
どうなる、爆破!
「今から風のタイミングを見て爆破撮影やります!ただし、ナパームではなくセメント爆破です。ご了承ください!」

撮影決行である。
ところで、ナパームとかセメントって言われてもピンとこない人のために説明しておくと、どちらも特撮で使われる爆発のタイプのことだ。
ナパームいうのは巨大な赤い火球がぼわっと出る派手な爆発で、セメントというのが地面から煙がどわっと四方に上がる爆発。今回の撮影はナパームの予定だったのだが、風が強いのと隣山の山火事に懸念して、火が出ないセメントに切り替えますよ、という話である。

ナパーム爆破も撮りたかったが、セメント爆破だってかっこいい。というか、これだけトラブルが重なっていて中止にならなかったってだけで充分だろう。
こんな感じで爆破待機します。
こんな感じで爆破待機します。
さて、ところで今回の爆破写真だが、イベント参加費とは別で「爆破一発/一人につき1500円」を支払うことになっている。
えっ、爆破ってそんな低コストでできるのか?と思っていたのだが、なるほど、状況を見て納得した。
隣にいっぱい並んでる、爆破待機の人たち。
隣にいっぱい並んでる、爆破待機の人たち。
要するに、中央で爆破がどかーんと行くので、その円周上にずらっとコスプレーヤーが並んで撮影するのである。爆破をシェアするかたちでコストを下げているわけだ。
爆破をイイ感じに写そうと思ったら望遠レンズを使うことになるので、よっぽど近付かない限り、隣り合っている人が写り込むこともあまりない。
これが中央に配置された爆薬。セメントで固めてあり、爆発すると勢いよく粉塵があがる。
これが中央に配置された爆薬。セメントで固めてあり、爆発すると勢いよく粉塵があがる。
セッティングも完了し、あとは風が収まるのを待つばかりである。

いよいよ爆破!

とはいえ、我々、紙みたいに薄いタキシードと肩出しドレスという二人組だ。
爆破の待機中も、風が激しくなるたびにギャッと悲鳴が出る始末である。
(近くにビキニみたいなコスプレ衣装の女性もいたが、平気な顔でずっとポーズチェックやってた。覚悟が違う)
西部劇か!みたいな砂埃と突風が新郎新婦を襲う。つらい。
西部劇か!みたいな砂埃と突風が新郎新婦を襲う。つらい。
待つことおよそ5分。いい加減、砂埃で口の中がジャリジャリしてきたなー、と思い始めたころ、スッと風が止まった。
よっしゃ、爆破いくぞ!カウントダウン!
セメント爆破、粉塵きた!
破片らしきものが飛んでるのが分かる結婚写真。
破片らしきものが飛んでるのが分かる結婚写真。
爆発した瞬間の、いい粉塵をバックに。シビれるかっこよさである。
爆発した瞬間の、いい粉塵をバックに。シビれるかっこよさである。
動画でも分かるとおり、音はそんなに大きくない。思っていたより軽めの音だ。
しかし、音と同時に背中から揺さぶられたようなドムン!という衝撃が来る。音よりはどちらかというとこの衝撃の方が怖い。
あと、パラパラとセメントの破片だか砂利だかわからないものがパラパラと落ちてくるのも意外と怖い。「わー、爆発したんだ」という実感につながるからだ。
爆破にもう一回チャレンジ。直後、完全に粉塵に包まれて全身ジャリジャリだ。あと、隣の人の手足も写り込んでた。
爆破にもう一回チャレンジ。直後、完全に粉塵に包まれて全身ジャリジャリだ。あと、隣の人の手足も写り込んでた。
ともあれ、爆破結婚写真は大満足の出来となった。
ビビって目をつぶってしまった安藤さん。あとで「音ヤバい。音ヤバい」と何遍も繰り返していた。
ビビって目をつぶってしまった安藤さん。あとで「音ヤバい。音ヤバい」と何遍も繰り返していた。
あまりのかっこよさに「自分たちも爆破写真撮りたい」と言い出した安藤さんと地主くん。
なんで直立不動で撮ってんのか良く分からないけど、それでもなんとなくかっこいい写真になってるから面白い。

今後結婚式を挙げるカップルの人たちは、自動的にかっこよくなる爆破結婚写真、オススメである。

今回取材させていただいたコスナビさんでは、爆破以外にも廃墟や炭鉱跡などイイ感じで撮れる撮影イベントを定期的に開催している。もちろん爆破も年に数回ペースでやっているそうなので、興味のある方はサイトをぜひチェックしてみてください。(イベントは全て完全予約制)
6月にも爆破イベントがあるそうなのだが、こちらはすでに予約で定員に達したそう。実は僕らも再度ナパーム爆破にチャレンジするため、予約してるのだ。
取材協力:コスナビ
爆破スタッフさんの職人っぽさが、ちょっとシブすぎないか。
爆破スタッフさんの職人っぽさが、ちょっとシブすぎないか。
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