筆者も一応酒関連の仕事をしているため、「タイ産ジャパニーズウイスキー」が「インド産神戸牛」くらい意味の通らないものだということをわかっている。その上で、どうだろう。このウイスキーのパッケージだ。
発売しているのは、バンコクから188km北にあるというTAWANDANG社。天道の他にもユニークな蒸留酒を何種か生産しているようだ。
SUNTORYの公式HPより、これが白州。天道のラベルと見比べてみてほしい。
ジャスミンライスでできた酒なんて飲んだことがない。一体どんな味がするのだろう。
よく熟成された上質なウイスキーが「重厚な、エレガントな」だとしたら、天童は「明るい、オープンマインドな」感じ。ふんわりとお花のような香りがするが、これがジャスミンライス由来なのだろうか?
自宅にあるウイスキーを片っ端から開けて香りを嗅ぎ比べてみたが、どれとも似ていなかった。天道の半分はジャスミンライスの樽熟成米焼酎だと考えると新進気鋭の酒としての面白さはある。
ストレートで飲んでみたが、想像していたほどの荒々しい刺激はない。白州のような柑橘香と燻製香は筆者には感じられないが、代わりにそこはかとないエキゾチックさがある。
ただ、これはGODIVAのチョコレートとポッキーを比べるようなものだ。白州は現在NAS(熟成年数表記のないもの)でも1万円オーバーで取引される(メーカー希望小売価格は4,500円)。贈答品や特別な日に開けるならそりゃあ高価な方がいいが、毎日飲むなら気軽な味わいの方が嬉しい。きっと比べることそのものがナンセンスだ。
「ジャスミンライスの蒸留酒」というだけでも珍しく、飲んでみる甲斐があるだろう。
タイに旅行される方、ぜひ「天道」を探してみてほしい(ちなみにタイは酒類の販売時間が決められているため、意外と入手に手間取ったと友人の談であった)。
▶︎天道の蒸留所、公式サイトはこちら