岩は高いので石にします
岩絵具(いわえのぐ)というのは色々な鉱石を砕いて作った絵の具のこと。日本画の材料として使われていて、天然の素材を使ったものはとても高価なのだとか。
この絵の具を使って元の鉱石の絵を描いたら写真みたいなことになるんじゃないだろうか。いや、もともと本物なんだから写真以上かもしれない。すごいぞ。
というわけで岩絵具を使いたいのだが、前述の通りとても高いので無理。僕はデイリーのライターなのでそのへんの石を使ってそのへんの石の絵を描きたいと思う。卑屈になっているんじゃない、身近なところで面白いことを、の精神を貫くのだ(あと節約)。
まずは原料となる石を探すために近所の海岸へとやってきた。
たとえば海の絵を描くとする。
水の部分はたぶん青で描けば大丈夫だろう、それでだいたい海に見えると思う。しかし問題は砂浜部分だ。何色で描けばいいか、あなたはわかるか。
では実物を見てもらいたい。
すごくいろいろな色が混じっているのがわかる。この砂浜を本当に正確に描くには、やはりいろいろな色を駆使する必要があるのだろう。
しかし全部の石について絵の具を作るのは現実的にはつらい。今回はこの中からいくつかの石をピックアップして、その石から作った絵の具で超うまい石の絵を描きたいと思う。伝統的な岩絵具の製法を超身近なところに応用しようというもくろみだ。うまくいったら安藤メソッドと名づけたい。
ではどの石を選ぼうか。
めぼしい石をいくつか拾ってきた。本物の岩絵具は高価だというが、今回作る石絵具(勝手に命名)は原価タダだ。暇な大人の趣味にはもってこいといえる。
さっそく石絵具作りに取り掛かろう。せめてものリスペクトとして方法は岩絵具の作り方を踏襲することにする。
砕くところから始まります
まずは石をビニール袋に入れてハンマーで出来るだけ細かく砕くところからはじまる。
このとき、狙いの色以外の部分を取り除いていくと色にまじりっけがなくなってよいらしい。
ある程度砕いたら今度は乳鉢に入れてさらに細かくしていく。
ここもなるべく身近なもので済まそうと、家にあったすり鉢で試みたがまったくだめだった。乳鉢は急遽ホームセンターをはしごして探したものだ。一般的ではないかもしれないが、まあ普通に手に入る範囲なので許してもらいたい。