そんなことあるんだ
こんな原稿を担当編集の橋田さんに送ったら「家にあったのでやってみました」と返事をいただいた。そんなことあるんだ。
こちらがもらった写真。
太いもやしで4mmぐらいだったらしい。左から2本目、異様にまっすぐなもやしがあって羨ましい。
痩せた様子を例える時に「もやし」という言葉が使われる。もやしはひょろっとしていて細長いのでよく分かる。
でも、もやしはもやしで色々ある。ざっくり細身の象徴みたいに言われても、素直に受け入れられない個体もあるだろう。太ったもやしのことだ。そんな矛盾した存在を探そう。
太ったもやしに出会うためにもやしを5袋買ってきた。
冷凍して無理なく食べきれる最大の量を買ってみた。
ここからは延々と単純作業である。
自分が他の生物から細身の例えとして使われるのってどんな気分なんだろう。
ゾウが、別の痩せたゾウを見て「ヒトみたいに細いな」と言っているところを想像してみた。いい気分にはならないが、悪い気にもならなかった。例えにピンと来ない宙ぶらりんな感覚だけがあった。
もやしも、人が例えに使っているのを聞いてそんな気分なのかもしれない。
そんなことを考えていたら1袋空いた。見たもやしは300本ほど。
そんな風に始めて1時間半、5袋全てのもやしを見終わった。
では、5袋の中で一番太っているもやしを決めよう。
場所によって微妙に太さが異なるはずなので、厳密に直径を測っても意味がない。
大事なのは佇まいである。太ったもやしとしての佇まい。ずっしりと、そして頼もしそうであってほしい。
重心を感じる立ち姿。折れ曲がった先端から愛嬌を感じさせるギャップもある。これが太ったもやしだ。
包容力があって周りから頼られるタイプだろう。舞台映えするので、会社でイベントがあったら司会を頼まれがち。歌もうまい。もちろん気持ちよくたくさん食べる。一口がでかい。
一番細い方は測ったら3mm弱と割と普通だったのだが、見た目の印象で決めた。
太ったもやしは食感の印象が強い。ボリボリ食べられて瑞々しくておいしい。すごい満足感だ。さすが太ったもやし。
ということは、痩せたもやしは味で劣るかと思いきやそんなこともなかった。こちらは麺みたいな食感と喉越しがあって食べやすくておいしい。
見た目も味も、もやしにも色々あるのだ。太ったもやし、出会えてよかった。ありがとう。
こんな原稿を担当編集の橋田さんに送ったら「家にあったのでやってみました」と返事をいただいた。そんなことあるんだ。
こちらがもらった写真。
太いもやしで4mmぐらいだったらしい。左から2本目、異様にまっすぐなもやしがあって羨ましい。
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