人気企画・地元もてなしツアーとは
案内する場所:多治見
逆パターンの3yk(みゆき)さんが成田を案内する記事はこちら。
「実家から縄文土器・ハンバーガー自販機・ようかんをハーレーで運ぶ ~地元もてなしツアー in 成田」
たのむ、わたしの地元よりも田舎であってくれ
当日、わたしはせっかく地元案内をしてもらえるというのに、3日後は自分が案内する番だというプレッシャーでいっぱいになっていた。自分の地元が本当に田舎だという自覚がある。撮れ高がないと嘆く高瀬さんを見るのが怖い。
たのむ、多治見市よ、わたしの地元よりも田舎であってくれ…
岐阜の築地、多治見美濃焼卸センターへ
気を取り直し、多治見といえば、兎にも角にも陶器だろう。これくらいはわたしも聞いたことがある。隣の土岐市などをひっくるめてこの地域の陶器は美濃焼と呼ばれ、日本の食器類の生産のうち半分以上を占めるのだそうだ。
というわけで、高瀬さんに最初に案内してもらったのは、美濃焼の卸問屋が集まる多治見美濃焼卸センターだ。
ただの広い食器やさんと思いきや、力強いメッセージと創造性と圧倒的物量に揉みくちゃにされて、バチバチにテンションが上がってきた。
ホッカホカに仕上がったわたしたちは、さらなる発見をした。
どこにでもある’あの’れんこん柄はここが仕掛け人だった
読者のみなさまも、おそらくどこかで目にしたことがあるだろう。
ねえ、これわたしずっと気になってたんですよ!と思わず大きな声が出た。浅草の合羽橋、埼玉のホームセンター、名古屋のスーパーの催事コーナー……いわゆる食器売場ではないところでまで、日本中どこにでも出没する、このれんこん柄の食器。
言っちゃなんだけどさ、れんこんって、とりたてておしゃれなわけでも、なじみのある柄でもないだろう。なのになんでこれほどまでに全国で目にするのか。
「ああ、れんこんね」あれはバカ売れだったと、スタッフさんがニヤリ笑う。
「関東だったら、うちが卸してるやつだろうね。なんでれんこん柄なのかって?それは、うちらもわからんけどね」
「もうでもあれは、終わりになってきたかもしれんね」
ーえっ、もう見られなくなるんですか?!
「ホームセンターみたいなとこでも売るようになったでしょ、どこでも手に入るから、また次のを考えんといかん」
直売所として製造、仕入れ、保管、それから販売と全部やってるから、ここまで織部は大きくなったんだとスタッフさんが話す。
「うちらが先へ先へといかんとね」バカ売れれんこんに甘んじない力強い言葉に、次のビッグウェーブがたのしみだ。
すっかり多治見が大好きになったところで、いよいよ高瀬さんの青春スポットへ向かう。
高瀬さんの小ネタ①不憫なアメダス
次の場所が少し遠いので、と高瀬さんが小ネタを用意してくれていた。取材相手がライターだとこういう気遣いがある。
2007年、多治見市は74年ぶりに日本の最高気温を更新し、日本一暑い街という称号は、多治見市のアイデンティティとなった。
そして多治見市の気温を計測しているのが、駐車場の片隅に佇むこのアメダスなのだ。
こんな地味な場所に…と、これだけでもおもしろいが、さらにここにはある疑惑があったのだという。
実は気温日本一を観測する前から、この場所はちょっとズルなんじゃないかという声があったのだそうだ。そして多治見市の広報課が動いた。そして、検証の結果、本当にこの場所だけ若干気温が高いことがわかったという。
すごい、多治見市としてはあんまり知られたくないかもしれないが、絶妙などうでもよさだ。気の抜けた感じと市までを動かす住民の疑惑というセンセーショナルさのギャップがたまらなくいい。
高瀬さんの小ネタ②多治見で一番背の高い建物の秘密
それからもうひとつ、高瀬さんが車を停めて見せてくれたものがある。
「社会科の先生が当時多治見で一番背の高い建物ってことで教えてくれたんですよ。」と高瀬さんが指差したのは、なるほど大きなホテルだ。
「そう、TATSUOをひっくり返してOUSTAT。有名な会社でブリジストンてあるじゃないですか、ブリッジストーンで石橋さん(が創業者)。僕はタツオさんを先に知っちゃったから、ブリジストンをみると『あ、タツオホテルと同じやり口ね』って思っちゃうんですよね!!」
思わず力が抜けるが、地元の人にしか通じないしょうもなさに再び興奮してしまう。OUSTATホテルを見るたびタツオビル…って内心読むだろうし、お前の名前だったら…って友達と盛り上がったりするんだろう、いいなあ!
うっかり子ども時代の夢が叶う
さあ、そんなこんなで到着だ。
小中高と多治見市内の学校に通っていた高瀬さん、休日に友達と遊ぶとなったら、この体育館に集合して、バドミントンか卓球をするのが定番コースだったそうだ。なんと高校生までは1時間50円!駄菓子みたいな価格設定である。
体育館に入るとなんと貸し切り状態だ!
〜ラリーが続くこと10分後〜
「もう終わりですか?!」30分も経たずしてラケットを返却しにきた我々を見て、受付のひとが笑っていた。
商店街の路地裏で大人の階段を登ろう
一気に青春時代にまで心が巻き戻り、最後に駅前の商店街へと向かう。
とあるマンションの前で高瀬さんが立ち止まった。
「高校生になるくらいまで、結構みんな言ってましたね。キムタクの娘さんが心臓の病気で、多治見の大きな病院に名医がいるって評判を聞いて、家族で移住してきたって。」
おお、都市伝説にもなるキムタクのカリスマ性の高さよ…。おそらく全国の地方都市にキムタクが住んでいたマンションがあるんだろうな。
商店街の歴史は明治時代にまで遡るそうだ。古い建物も残りつつ、若い人のお店も多くてとてもいい雰囲気
メニューは置かず、カウンターに並べられた旬の食材から選んで食べるという玄人スタイル。こういうお店でソツなく頼むの、大人って感じで憧れだったなあ。
一生楽しめる街、多治見
案内のはじめに、高瀬さんが多治見市内にある高校に自転車で通っていたと聞いて驚いた。わたしは一刻も早く地元の外に出てみたくて、学区の一番端にある高校まで電車を乗り継ぎ通っていたからだ。
半日過ごしてみて、今なら高瀬さんの気持ちもよく分かる。多治見、どの年齢でもワクワクがある、居心地のいい街でした。
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