特集 2021年4月17日

お気持ち問題は優等生的な脳で解くのがコツ~北村ヂンさんインタビュー

月に1度、総集編として、先月人気だったライターへのインタビューと、人気記事のランキングをお送りしております。

この記事では、北村ヂンさんにインタビュー。
3月は「国語の読解問題、作者自身が解いたら満点取れるのか!? 」が大好評でした。

インタビュアーは編集部・橋田です。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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国語のテストあるあるに「作者じゃないのに意図がわかるわけないだろ」というのがあります。じゃあ逆に、作者だったら国語の読解問題をスラスラ解けるのでは?入試や模試の問題に多数の作品が採用されている作家・長嶋有さんと一緒に国語の読解問題を解いてみました。

小説家の長嶋有さんが撮影オファーを快諾

橋田:
作家・長嶋有さんと一緒に長嶋さんの作品の読解問題を解いてみた記事です。この記事は、学校セットの場所で学生服を着て実際に解いてみたところが良かったと思います。

北村:
当初はリモートでもいいかと思ってたんですが、制服着た方が明らかに良かったですね。

橋田:
長嶋さんにオファーしたら快諾してくださり、しかも現場撮影で学生服を着て撮影したいとも言ってくださって、本当に良かったですね。

北村:
そもそも長嶋さんありきの企画だったので、助かりました!

橋田:
コンパスは本当に持ってきたんですか?笑いました…

北村:
そうです。誰よりも気合いを入れてきてくれてました。

橋田:
『わざわざ小説家に来てもらって算数のテストはやらないですよ……』っていう北村さんのつっこみも冷静でよかったです。

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北村:
その他、学生は白ソックスだろうということでわざわざはいてきてくれていました。

橋田:
白いソックスまで!ディテールにこだわっていますね。
撮影をお願いする側としては、乗り気で参戦してくれるのめちゃくちゃありがたいですよね。

そもそもこの企画はずっと温めていたんでしょうか。入試シーズンのときに急に思いついたんですか?

北村:
わりと最近ですね。何かの記事で「入試に取り上げられることの多い作家」みたいなのを読んで、その中に長嶋さんがいたので、頼んでみようかと。

橋田:
そういえば誰もやってなかったし、ご本人を登場させよう!という発想が良かったです。長嶋さんなら引き受けてくださるかも…。みたいなところがあったんですね。

北村:
そうですね。

さすがにこんな企画、本職の作家さんにやらせるのは……ということで林さんもオファーするまで悩んだみたいですが

橋田:
そうですよね。ちょっと失礼かな?と思いますよね。

長嶋さんと北村さん、編集長林の3人で問題を解く

橋田:
問題用紙を北村さんが用意していったのですね。それを配って3人でやってみたんですね。解いてみてのそれぞれどうでしたか?
大人になってから入試問題を解く機会がないので…

北村:
こんなの小学生がやるのかーというくらい難しかったですね。

橋田:
そうか、中学入試なんですね。

北村:
意外と僕は受験テクニックを覚えてて成績良かったですが、林さんはわりとひどかったです(笑)

橋田:
北村さん、受験テクニック今でも覚えてるんですね。満点とってましたもんね。国語の読解問題は得意だったんですか?

北村:
国語は得意でしたね。ただ、独創的な発想で文章を読む人にはテストは向かないと思います。

橋田:
作った人がどういう回答を求めてるか、みたいな読み方をするんでしょうか。

北村:
代名詞が指すのは絶対にそれより前に出てきた言葉、とか色々テクがあるんでよ。
お気持ち問題は、優等生的な脳で解くのがコツです。

橋田:
あー。なんか聞いたことあるような気がしますね。
実際に作家の方がどう思って書いているかではなく…。

北村:
問題文の中にある情報だけで解くのがセオリーなんで、全文読んだことがあると逆に不利かもしれないですね

橋田:
なるほど。全体読んでると別のシーンの気持ちなんかもわかってるから、「回答」とズレが生じるんですかね。
そういえば、受験対策の授業って解き方を教えてくれましたね。しかし、北村さんよく覚えてましたね。

北村:
次は問題作っている人にも話聞きたいですね。すごく大変だと思います

橋田:問題作ってる人にインタビューいいですね。苦労があると思うので聞いてみたいですね。 

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橋田:
「夕子ちゃん」と書いてるのに「夕子」って呼びすてにした、って気にしてましたね。あと、『猛スピードで母は』のときも呼び名「慎」を(しん)じゃなくて(まこと)だって指摘されてましたね。
問題作る人!そこはちゃんと気遣ってよ~。って思いましたよ。
問題作る人は作家さんが実際解くとは夢にも思ってないでしょうけど…

北村:
名前の読み方間違えてるのはひどいですね……。「ちゃん」は仕方ないと思いますけど

橋田:
本一冊全部読んでれば読み方も覚えると思うんですがね。違う人がルビふったんですかね。
いや、でも後でちゃんと確認してほしいですよね。

北村:
読んだことがある受験生は「名前違う!」って余計なことが気になっちゃったんじゃないですかねー

橋田:
確かに気になりそう!

長嶋さんが間違えたのは意外でしたね。間違えたというか、問題をつくった人が作者の意図と違った。
実際には、そこは怒ってませんでしたか?

北村:
まあ、テスト問題なんで……と割り切っていたと思います

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本編撮影後、教室セットでの撮影会

橋田:
問題を解いた後のパートは撮影会になったんですか?
せっかく教室のセットで撮影するので何か撮れないかと、前日の企画会議のあとにネタ出しトークしましたよね。
(※編集部注:はげます会限定コンテンツとして公開中)
いろんなカットを撮影したんですか?撮ったけど本編で使わなかった写真があったら見せてください。

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橋田:
楽しそう!

北村:
楽しく撮影してました。女子生徒もいたら……とは話してたんですが、さすがにセーラー服着てとは誰にも頼めないので……

橋田:
大人が学生服着てるとドリフっぽいですね。
男性が学ラン着ても気にならないんですが、おばさんの私がセーラー服着るのはなんか違う気がしますね…。

北村:
さすがにお願い出来ないですね

橋田:
学生服で素の話をしてるだけなんですけど、それだけでおもしろいですね。免許取ったほうがいいとか…

北村:
普通に部室とか放課後感が出てきますね

橋田:
そうそう。この前の企画会議で「部室」を再現したいねという案が出てました。

北村:
コワーキングスペースじゃなくて、部室的なスペースがあったら雑談が盛り上がりそうです

橋田:
コワーキングスペースだと雑談できないですからね…。雑談できるスペースがいいですよね。
それ、渋谷ヒカリエで数年前やってましたよ。撮影しに来てくれたり、打合せしたりしてました。

北村:
もっと無目的なスペースだと理想的ですねー

橋田:
やっぱ「部室」ですかね。

北村:
今はなかなか無意味に集まれないんで……

橋田:
そうそう、そういう話をまさにしてました。大人は「用件」なしに集まらないよね、って。

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無言に耐えられずに話しながら問題を解く

橋田:
ちょっと戻りますが、もう少しテスト問題のはなしをいいですかね。

問題を解いてるときは、わりとおしゃべりしながらだったんですかね。
 

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北村:
そうですね。無言に耐えられなかったので。しゃべりながらやるとテストも楽しかったです

橋田:
あ、なるほど。確かに、そこ真面目にやる必要ないですね。しゃべりながら解くと、一気にレジャー感でますね。みんなでテスト問題解くんだったらやりたいですね。

北村:
無言だと不安なるんですよ。自分だけ分からないんじゃないかとか

橋田:
本番テストはそのプレッシャーの勝つのも必要ですよね。
6ページの問題は読むのに時間かかりそう。

北村:
あれは短編なんで全文載ってるんですよね。だから問題と関係ない部分も多いんです。

橋田:
短編読めてラッキーですね。でも、さっきの受験のTIPS用に読み解くと頭使うし、時間かかりますよね。

北村:
文章を楽しんで読んでたら答えられなそうですね。
問題を先に読んでから、本文を読んで問題と関係ないところは読み飛ばすという受験テクもありました

橋田:
楽しんで読んじゃってたら「あれ?なんの時間だったかな」ってなりますよね。新に思い出した受験テク。

北村:
たぶんじっくり読んでたら時間足りなくなります
作家さんとしてはちゃんと本を読んでほしいところでしょう。受験終わって買って読めってことですね。

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北村:
進研ゼミかなんかのサービスで、定額で受験によくでる小説が読み放題というサブスクがあるらしいですよ。長嶋さんの小説もそこで読めるみたいです

橋田:
いいサブスクリプションですね。「受験によくでる小説」ってカテゴリがあるんだ。

北村:
やっぱり芥川賞とか大江健三郎賞とか、賞を取ってる作品は採用されやすいんじゃないですかね。あと撮影の時に、子どもが主人公の作品は使われやすいんじゃないかという話も出ていました

橋田:
あ、なるほど!子供が出たほうが親近感があって解きやすい?とかあるんですかね。確かに。大人だけ登場する話だとピンとこないかもしれませんね。

北村:
大人の恋愛小説よりは分かりやすいんじゃないですかね

橋田:
小学生ですもんね…

北村:
猛スピードで母は』は、子どもが主人公とはいえ、わりと大人の恋愛が絡んでくる話ですが


橋田:
ですよね。私も読みましたよ

北村:
長嶋さんの文章は、変に難しい言い回しをしないで、でも緻密に書かれているんで、問題として使いたくなる気持ちは分かります

橋田:
問題作る側の気持ちもわかってきましたか。取材ぜひしたいですね。

北村:
出題者側になるとまったくツテがないですが。読んでる人の中で問題を作ってる人、もしくは知り合いにいる人がいたらご連絡を!

橋田:
ぜひ、ご連絡ください。お待ちしております。

 

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