特集 2024年4月10日

ご自由にお持ちくださいをご鑑賞ください

住宅街でふいに出くわす「ご自由にお持ちください」。

一期一会だからこそドラマがあるその風景たちを、ここ数年、出会うたび写真に記録しておりました。

せっかくなので、ぜひご鑑賞ください。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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ご自由にお持ちくださいが好きすぎて

住宅街を歩いていると、民家の前に段ボールが置いてあって、そこに不要になった日用品などが入っていて、誰でも自由に持って帰っていいというサービス? 風習? がありますよね。「ご自由にお持ちください」ってやつ。地域性やその街に住む人たちの空気感によっても、多い少ないの差はあるようですが、見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。

「ゴミに出してしまえば早く片付くんだけど、もしもらってくれる人がいるならば、そういう人に使ってほしい」という、小さな無償の愛。また、そこで出会える品々はまさに一期一会で、気になってダンボールを覗くと、想像もしていないものが入っていたりする。そういうあれこれが大好きで、僕はいつからか、ご自由にお持ちくださいを見つけると必ずチェックしないと気がすまない人間になっていました。

以前当サイトでも、スズキナオさんとのユニットで『「ご自由にお持ちください」を見つけるまで家に帰れない1日』という記事を書かせてもらい、それは後年発売された我々の共著のタイトルにもなりました。

ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日

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ところで数年前、ある印象的な出会いがありました。

街を歩いていると、遠目に「ご自由に〜」であろうダンボールを発見。わくわくしながら近づいてみたところ、なんとその中身、箱いっぱいの松ぼっくりだったんですよね。

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なんだかメルヘン

そうか、こういうパターンもあるのかと。大げさでなく、自分の小さな価値観がひっくり返るくらいの衝撃を受けまして、写真を撮ったんです。で、はっきりと、それ以来。それまでは見つければチェックするだけだったご自由にを、写真に撮って記録するようになりまして。

カメラロールを見返してみると、ずいぶんと写真がたまっている。一度整理してずら〜っと眺めてみると、なにか発見があるかもしれない。発見がなくても、楽しいことには違いないだろう。

そこで今回は、そんな僕のご自由にコレクションを、みなさんにも一緒にご鑑賞いただければというわけで。

ちなにみこういうのって、大量に見ているとやっぱり「分類」が生じてくるものですよね。記事を書くにあたり、たとえば「食器」「衣類」などと大別してご紹介するのがわかりやすいかな? とも思ったんですが、いやむしろ、完全に時系列のほうが、その混沌っぷり、一期一会っぷりがよく伝わる気がする。

というわでここからは、その方針に基づき、ずら〜っと、僕が出会った「ご自由に」をご鑑賞くださいませ。

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笹、万博グッズ、マコモダケ

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ていねいな人柄が伝わる

食器類はもっともオーソドックスなジャンルですが、きちんとタイプ&印刷された文字と、「よろしかったら」という言葉遣いに、ていねいな人柄が伝わってくるようなご自由にです。よく洗われた器にも清潔感あり。これでそうめん、食べたいですよね。

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いきなり大変化球で、笹! 地元のスーパー「まなマート」が提供してくれていたものですが、七夕シーズンの笹。この写真1枚でも、良いスーパーなことが伝わると思うのですが、最近駅前の再開発により閉店してしまって、とても悲しい……。今の僕、完全に「まなロス」です。

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普通の食器かと思いきや

グラス専用の箱に「EXPO'70」とあり、1970年に開催された大阪万博のグッズのよう。浮世絵のデザインされた縦長のグラスで、もしかしたら価値のあるものなのかもしれないなと思いつつ、家では使わなそうなのでスルーしました。万博ファンのもとに届いているといいな。

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子供用品

あっという間に成長してしまう子供用品も、ご自由にの定番。

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お、なんだ?
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マコモダケ?

イネ科の植物「マコモ」の若い茎が肥大化した、たけのこに似た植物で、油と相性が良く、炒めものや天ぷらにすると美味しいそう。こんな、スーパーでも見たことのないような食材が手に入ってしまうのも、ご自由にのおもしろさですよね。1kg500円で販売されている他に、2本まで無料で持ち帰れるボックスもあり、覗いてみると……

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やっぱり無料は無料の感じあり

その感じもなんだか愛おしいなと。

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オリジナルMD

季節を感じるご自由にというのもあって、たとえばこんなの。

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銀杏様の恵み
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しっかりと果肉がついていて

家で処理するハードルが高そうなので、持ち帰るのは遠慮しましたが、もうすっかり秋だなぁと。

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あ、ご自由にだ

とわくわく近寄っていくと

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ほぼ空

なんてこともありますね。無料なのに、心のなかで「なんだよ!」と叫んでしまって、自分の器の小ささを再認識させられたり。

逆に、飲食店の閉店に際してのご自由には、

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業務用の酒器や器が好きな僕にとって
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完全に宝の山

写真は地元のスナックが閉店してしまった時のものですが、すごく切なくもありつつ、いくつかのアイテムを、ありがたくもいただいて帰りました。

たまにあるのが、近々引っ越す家から連日ご自由にが日々放出されるパターン。その特徴として、

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日用品から

だんだん

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攻めたラインナップのアイテムへと

移行していきがちという点があります。写真は見てのとおり、どこかの誰かが描いた油絵の風景画。

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他にも数点

どれも素敵な絵だなとは思ったんですが、ちょっとそこに宿る想いが重そうすぎて持って帰るのは遠慮しました。地味に、横のかごの中身が枕と薪なところも味わい深いですね。

こちらのご自由にに大量に入っていたのは、

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わかりにくいかもしれませんが、CDではなく「MD」!

1990年代によく使われていた、「ミニディスク」というやつですね。で、そのラインナップが、

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自分の好みにドンピシャすぎる!

人生の方向性を思いっきり捻じ曲げられた電気グルーヴのなかでもいちばん好きなアルバム「VOXXX」に、イヤフォン付きの限定盤を買った思い出のコーネリアス「FANTASMA」に、確実に僕が人生でいちばん多く聴いたアルバムであろうアルバム「かせきさいだぁ≡」などなど。

当時って、こういう作品がMDでもリリースされてたんだ〜。と思ってよく見てみると、空手バカボンのベストまであって、さすがにそれはないんじゃないだろうか。

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よく見てみると

全部ジャケットをちょうどいいサイズにプリントし直して作ったオリジナル盤だったんですよね。ミニCDって感じでかわいすぎる! いくつか特に思い入れのある作品をいただいて帰りまして、今でも僕の宝物として、部屋にディスプレイさせてもらっています。

⏩ 閉店したお店のご自由にの切なさ

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