特集 2023年12月4日

アスファルトは生キャラメルみたい〜アスファルト入門〜

道路のアスファルトにも、夏でも熱くならないやつとかいろんな種類があるときいた。それは見て分かるのだろうか。というか分かるようになりたい。専門家に聞いた。


密粒度アスファルトってなんだ

以前、「この写真の景色の中で名前を知っているものがあれば教えてください」と呼びかけたところ、景色がたちまち名前で埋まったという経験をしたことがある。

namae1.jpg

この景色が・・


こうなった(一部を拡大)。 

ただの「車」に見えていたものはじつは「トヨタシエンタ2代目」であり、「植栽」だと思っていたものは「アベリア」だと教えてもらった。街の解像度が上がるような体験だった。

それは道路についてもそうだった。今まで「アスファルト」だと思っていたものは、実は「密粒度アスファルト混合物(ポリマー改質Ⅱ型)」だと教えてもらったのだ。まじで。アスファルトにも種類があるのか。

それなら見た目で分かるようになりたい、とつねづね思っていた。

現地の道路のようす。これが密粒度アスファルト・・。どう密なんだ?

そういう気持ちで見てみると、たしかにアスファルトにも違いがあるような気がしてくる。

例えばこれは歩道と車道の違い。手前の歩道は灰色で滑らかだが、奥の車道は黒くてごつごつしている。 

歩道の中でも、工事をしたと思われる点字ブロックの周りだけは明らかに黒っぽかったりする。何が違うのか? 

これは、車道の左側と右側で色が全然違う。左側は灰色だ。きまぐれじゃないなら、アスファルトそのものが何か違うはずだ。

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道路の専門家に教えてもらう

そんなふうに思っていたところ、アスファルトについて、道路の専門家に教えて頂けることになった。道路舗装会社の最大手、株式会社NIPPOのみなさんだ。

左から、技術本部の今野さんと金澤さん。

さいたま市にある、NIPPOの総合技術センターにおじゃました。

取材の場にはすでに材料らしきものが準備されている。こ、これは何ですか!?

と思ったのだが、まずは基本から教えてもらおう。そもそも「アスファルトってなんですか?」というところからだ。

アスファルトって何か

今野さん:一般的にはアスファルト舗装のことを「アスファルト」と言うと思いますが、 正式には「アスファルトコンクリート舗装」といって、石や砂などをアスファルトという接着剤で固めたものなんです。

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これが(ストレート)アスファルトの実物。
中はこんなだ。これがアスファルトそのもの!

アスファルトそのもの、初めて見た!

なんかどろどろでベタベタのものというイメージがあったが、ふつうに固まっていた。

大きさが少しづつ違う、砕いた石や、
砂や石粉(石灰岩の粉)をアスファルトと混ぜていろいろすると・・、
ふだん見ているアスファルト舗装になる

金澤さん:これは密粒度舗装といって車道で使われるタイプです。(ここにある)一番大きい石が13mmで・・。こういった材料をバランスよく組み合わせます。

ちなみにこれはいわゆる「コンクリート」だが・・

ーーこれはコンクリートですよね?

金澤さん:これもコンクリートなんですが、セメントを接着剤として使っているので「セメントコンクリート」です。コンクリートは二つのもの(骨材と結合剤)をあわせて作るという形になるので・・。

「どちらもコンクリートなんです」と金澤さん(左)

金澤さん:接着剤にアスファルトを使っているものが「アスファルトコンクリート」、セメントを使っているのが「セメントコンクリート」で、どちらもコンクリートなんです。

石や砂など(骨材)を接着剤(結合剤)で結びつけたものをコンクリートといい、そのうち接着剤としてアスファルトを使ったものが「アスファルトコンクリート」なのだ。

なるほど。道路の表面のことをアスファルトと呼ぶのは、バニラアイスのことをバニラと呼ぶようなものかもしれない。

⏩ そもそもアスファルトはどんなものか

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