アスファルトは生キャラメルだった
まさかアスファルトの実物をさわらせてもらえるとは思わなかった。実物はしっとりしていて、生キャラメルみたいだった。そしていい匂いがした。
いろいろ教えていただいて、色が違うやつ(遮熱性と半たわみ性)は見分けられるようになったと思う。ただ、石の大きさが違うやつ(密粒度と透水性)は怪しい。実物をよく見て復習したい。
資料だけでなく、実物を用意していただいて、しかも実物にも触らせてもらえて本当に嬉しかった。ありがとうございました。
今野さん:これはひび割れに対して強い舗装です。曲がるの分かりますか?
舗装を切り出したものを持って、ぐぐっと力を入れる。
確かに曲がってる!
今野さん:曲がるから弱いかというとそうじゃなくて、ねばりがあって轍(わだち)が出来にくいようになっています。
こんなふうにアスファルトの性質自体を改良することも行われているそうだ。
アスファルトの違いがどう影響するか、ぼくに1つ実験をさせてくれるという。
今野さん:2種類のアスファルトを用意しました。まずは左側の包みを開けてみてください。
左側を開けると・・。
今野さん:これがストレートアスファルトといって標準的なアスファルトです。手にとってゆっくり引っ張ってみてください。
ーーしっとりしてる。生キャラメルみたいですね!
今野さん:力を入れてもっと引っ張ると伸びると思います。
ーーこんなに伸びるんですね!
今野さん:はい、これが標準的なアスファルトです。うまく引っ張ると髪の毛くらいまで細くなりますよ。
ーーそんなに!
今野:もう一つは別なやつです。改質材という特殊な成分が入っています。同じように引っ張ってみてください。
みよーんと引っ張る。
伸びたけど、さっきほどじゃない。
今野さん:そしたら少し手を離してみてください。
おお、縮んでいく!(写真だと地味だけど、現場ではびっくりした)
今野さん:それがちょうど、さっきの水を通した舗装に使われてます。こういうアスファルトができたんで、こういったもの(透水性舗装や排水性舗装)ができるようになったんです。元のままではできなかった。
流れと関係なく突然アスファルトの匂いを嗅いだら、いい匂いがした。生のアスファルトを触る機会なんてこの先もないだろうから、いろいろしたかったのだ。
子供のころ、もっと地面の近くにいたころを思い出す匂いだった。
今野さん:これは今ある舗装を壊して、もういちど舗装として作り直すための再生骨材と言われているものです。黒いアスファルトが少しついています。
金澤さん:いまはこれと新しい材料を混ぜて舗装を作っていることが多いです。
壊した道路の破片は、そのための置き場に溜めておくのだそうだ。
今野さん:現場から舗装を壊して持ってきて、それをまた再利用する。もう99.5%ほど再利用されてます。リサイクルの優等生です。
99.5% も!
ーー道路工事をする会社っていっぱいあると思うんですが、会社ごとに置き場を持ってる?
今野さん:そういう設備をもってるところに、引き取ってくださいといって持ってくるんです。
金澤さん:道路を剥ぎ取ったものは産業廃棄物になっているので、中間処理場の許可をとっているところに持って行って、有価物(価値があるもの)の材料に加工するんですね。そして製品になったものを、材料のうちの3割、5割、7割とかを(再生骨材を)使って舗装を作り直します。
ーー7割も含まれてるんですか
金澤さん:そうですね、多くてそれくらいです。統計で見ると全国での平均は5割くらいです。半分くらい、こういうものを入れて使っている。
今野さん:古いのが混ざってるから壊れやすいということはないです。工夫して、新しいものと遜色ないように作ってます。
今野さん:これは温度を下げる舗装です。
2種類の舗装がライトの熱で温められている。温度計がついていて、左側の灰色のほうが52℃、右側の黒いほうは64℃。12℃の差がある。
金澤さん:日本だと夏場には路面の温度が60℃くらいにまで熱くなるんですが、それを太陽の代わりにランプで再現してます。
金澤さん:左側は遮熱性といって光を反射する塗料を塗ってまして、その分熱くならない。
金澤さん:原理は簡単にいうとコタツの反対です。コタツは赤外線があたって熱に変わりますが、赤外線が当たらないように、赤外線を反射する塗料を塗って宇宙へ返しています。
横から見ると、白いのは表面だけで、中の骨材は黒い。表面だけ塗料を塗っているのが分かる。
今野さん:同じようなことは工場の屋根とかでやってることもあります。むしろ道路は後からだったんですよね。ただ道路だと車が通るので、耐久性とかをクリアしなきゃいけない。
ーー温度が下がるならぜんぶこれにしたいところですけど、お金がかかるということですか
金澤さん:そうなんです。表層5cmの1平米あたりの費用でいうと、塗装だけで通常の舗装の3倍くらいします。
なるほど。分かった。この道路で左側だけ灰色なのは、まさに遮熱性舗装なんだろう。
というわけで、いろいろ教えてもらったことをもとに振り返ろう。
冒頭の写真の車道の部分は排水性舗装だ。歩道のほうは細粒度と呼ばれるものが多いらしい。これは冒頭にみた大きさの違う砕石の割合が違っていて、細粒度のほうが細かい石が多い。
バス停にあるようなやつは「半たわみ性アスファルトコンクリート舗装」だ。アスファルトコンクリートとのことをアスコンともいうらしい。かっこいいので使っていきたい。
とつぜん色が変わっていたところは遮熱性舗装だし、
大きめの石を使ってすきまがありそうなやつは透水性舗装だ。排水性舗装、ポーラスアスファルト舗装ともいうらしい。
ちなみに、工事して舗装しなおしたようなところだけが黒いことについては、種類が違うということではなく、そもそも新しい舗装は黒いのだそうだ。使っていくうちに表面のアスファルトが削れて砕石の部分が現れてくるので、灰色っぽくなる。なるほどー。
株式会社NIPPO
総合技術センター
https://www.nippo-c.co.jp/
左から、企画部の山本さん、技術本部の今野さん、金澤さん。ありがとうございました・・!
まさかアスファルトの実物をさわらせてもらえるとは思わなかった。実物はしっとりしていて、生キャラメルみたいだった。そしていい匂いがした。
いろいろ教えていただいて、色が違うやつ(遮熱性と半たわみ性)は見分けられるようになったと思う。ただ、石の大きさが違うやつ(密粒度と透水性)は怪しい。実物をよく見て復習したい。
資料だけでなく、実物を用意していただいて、しかも実物にも触らせてもらえて本当に嬉しかった。ありがとうございました。
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