特集 2023年10月3日

中華食材店で見かける鹹蛋(アヒルの玉子の塩漬け)でアジアの各国料理がモリモリできる

ピータンが好きで中華食材屋でよく買うのだが、その横にピータンとは違う、ゆで卵みたいなものが売られているのが気になっていた。

パッケージを見る限りでは色はふつうのゆで卵と同じ。でも常温保存されており、なんだか様子が違う。

調べてみるとこれ、アヒルの玉子の塩漬けなのだという。なんなんだそれは。レシピをきいて使ってみたところ、かなり「使える」食材であることが分かった!

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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 アヒル…の玉子?…の塩漬け??

アヒルの玉子、そして玉子の塩漬け。二重になじみがない。僕は買ったことがないが、業務スーパーやドン・キホーテでも買えるという噂だ。

手元にあるのは中華食材屋で買ったもの。

上がよく買うピータン、下がアヒルの玉子の塩漬けで、鹹蛋(シエンタン)というらしい。以下、親しみやすいように塩玉子と呼びます。
左から生卵、塩玉子、ピータン。塩玉子ってちょっと青いんだな
殻ごと半分に切ったところ。ゆで卵みたいにプリッとしていなくて、水分が少ないのでモロモロしている。このまま食べるとめちゃくちゃしょっぱい

僕が初めて買ってみたのは去年の話。用途がよくわからないままなんとなく買って、スプーンですくってそのまま食べてみながら妻と「これなんなんだろうね…」と話していた。すると彼女が思い出したように言ったのだ。

「これ、昔タイ料理屋で食べたやつじゃない?」

10年前くらいによく行っていた有楽町のタイ料理店「あろいなたべた」での写真。右がその料理

完全に忘れていた記憶が一瞬でよみがえった!

ひき肉をゆで卵みたいな…いやそれにしては妙にしょっぱくてポロポロした具で炒めた料理に二人ともハマり、しょっちゅう食べていたのだ。ちなみにこの店は閉店してしまってもうない。二度と食べられないと思っていたあの味が、この塩玉子を使えば再現できるのでは…!?

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タイ料理はタイ人にきく

とはいえタイ語がわからないのでどうレシピ検索していいのかよくわからず、そのまま数カ月放置。(ちなみに玉子なのに賞味期限が一年あるので数カ月程度の放置は余裕である)

ある日Facebookを見ていたらタイの知人の投稿が流れてきて、ハッと思いついた。タイ人に聞けばわかるやんけ…!

質問したら翌日には英訳したレシピが送られてきた

この料理、ムー・サップ・カイケムというらしい。で、言われた通りり作ったところ……

おまえ、アヒルだったのか…。

完っ全に、あのタイ料理屋の味が再現できた。

豚肉のうまみと塩玉子のしょっぱさ、そしてナンプラーの香りが一体となり無限にビールが消えていく…!これ以来、月一くらいのペースで作っており、我が家の食卓の定番となった。

豚ひき肉の塩玉子炒め(ムー・サップ・カイケム)(タイ)

材料:豚ひき肉(250gくらい)、塩玉子(1個)、オイスターソース、塩少々、コショウ少々、ナンプラー、油、ニンニク少々、お好みで万能ねぎ

①フライパンに油を入れ、ニンニクと豚ひき肉を中火で炒める。ひき肉が白っぽく火が通ればOK。炒めすぎない。
②オイスターソース、塩、コショウ、ナンプラーで味付け。
③火を止め、フライパンが熱いうちに塩玉子を入れて、混ぜ合わせる。
④お好みでネギを散らす

一緒に野菜を炒めてもいいのだけど、レシピを教えてくれた知人は入れない方が好みだと言っていた。僕もそう思います。むしろ生野菜に合うので、これ自体には野菜を入れずに作ってレタス等に包んで食べるとおいしい。

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ここまで前置き

いやしかし、ずっと謎に思っていたあの食材が、実は自分の思い出の中にいたとは。

……というところまでが実は前置きである。

調べてみるとこの塩玉子、アジア一帯で幅広く食べられているものらしい。今回はこのエピソードに味を占めて、いろんな国の人に地元のレシピを聞いて、塩玉子料理を作ってみることにした。

⏩ フィリピンの塩玉子サラダ、台湾のゴーヤ塩玉子炒め

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