シンガポールの三種玉子とほうれん草のスープ
今回いちばんスッゲと思ったのがこのシンガポールのスープ。
ほうれん草のスープなのだが、塩玉子、ピータン、そして生卵の3種類の玉子をすべて使うのだという。もりだくさん。
レシピはこんな感じ。
三種玉子とほうれん草のスープ
材料:ほうれん草2束、油、ニンニク4片薄切り、豚ひき肉50g、塩玉子1個(ダイスに切る)、ピータン1/2個(ダイスに切る)、生卵1個、塩、鶏がらスープ
①ボウルにお湯300mlを沸かして鶏がらスープと塩少々を溶かす
②別の鍋にお湯を沸かしてほうれん草を3分ゆでる
③中火で油を熱し、ニンニクが茶色くなり始めるまで炒めていったん取り出す
④ひき肉と塩玉子の黄身を1分炒める。①で作ったチキンスープと溶き卵、ピータン、③のにんにくを加える。15秒だけ加熱しすぐ盛り付ける。
ゴールドに色づいたスープをスプーンですくって食べてみると、強めのにんにくと卵モリモリでめちゃめちゃ栄養ありそう。
ガツンと存在感はあるメニューだけど、思ったほどものすごくエキゾチックな味ではない。普通に美味しい中華スープの延長線上にある。でも塩玉子が具として入ってるおかげで一口ごとに塩気にむらがあり、和食にない感覚で面白いと思った。
とにかく具沢山なので、付け合わせじゃなくてこれだけで定食ができそうなスープである。
……こんな感じで連日にわたり塩玉子料理を作っていたら、妻が「この玉子は何に入れてもおいしいね」と言うようになった。オールマイティ認定、出ました。
香港は月餅!
さて最後に、香港の知人に聞いた。
ところがだ。アジア中で大人気かと思われた塩玉子、ここへきてちょっと様子がおかしい…。
おや…?
友人たち曰く、
- 変だからあんまり好きじゃない
- 今どきはそんなに人気ないんじゃない?
- 慣用句に使うよ。亡くなった人のことを「塩玉子を売った」という。なぜかは知らない。
- ちまきや月餅、ミートローフには入ってる
- 香港人の事実:月餅は食べるには重すぎるので何年も冷蔵庫に眠らせがち
文化的に近いイメージだった台湾の人と全然違うリアクションでびっくりした。ここまでで「みんなが笑顔になる超人気フード」みたいなイメージでいたのが、もしかしたら香港ではちょっと古臭い食べ物のポジションなのかもしれない。(たまたま僕の友人たちがそうだっただけかもしれないが)
で、後日、そのうちの一人が日本旅行のついでに月餅を運んでくれた。
さて、味の方は…。
不思議だ。
あんの甘味に塩気を足してくれるという意味ではいいアクセントなんだけど、思ったほど尖ったしょっぱさはない。
あんの甘みも玉子の塩気も思ったより強くなくて、しかし密度だけはずっしり重くて、これは…??何なのかな…??という戸惑いに包まれた。
そもそも塩玉子以前に月餅自体に不慣れだったせいもあるが、今まで作ってきた料理に比べると「なぜここに卵を…?」という戸惑いは正直ちょっとあった。
ただ思ったより歯ごたえのある卵黄は、栗の食感に似ていると思った。和菓子に甘い栗をいれるかわりに、しょっぱい卵を入れて塩スイーツ化している……という解釈をすると、なるほどこういうのもアリかもしれない、と腑に落ちた。
日本人だけが知らないアジアの人気者
これだけアジアで広く知られている食材が、日本人にだけ全然なじみがないというのはすごく興味深いと思った。それでいて口に合わないかというと全然そんなことはなくて、レシピさえ知ってしまえば普通においしい食材である。日持ちもするので使い勝手もいい。
ちなみに今回レシピを教えてもらった外国人たち(唐沢さんの台湾の知人を除く)は、全員ヘボコン(技術力の低い人限定ロボコン)の有志主催者として知り合った友人たちだ。せっかくなんで今年のヘボコンのレポートも見ていってください。→勘で作ったロボットたちが繰り広げる拙き戦い!ヘボコン2023レポート
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