無理して食べすぎない
ビリヤニの重さに気づくと、エスニックな味の料理というイメージの上に、やたらコスパのいい料理という印象が加わる。なにせ重いだけではない。うまいのだ。
すごい量の外国料理はきっとビリヤニだけでない。持ち帰りが当たり前となった今、食べ過ぎず、最初に持ち帰り用のケースをもらい、食べない部分を最初から持ち帰って食べて、「一オーダーで二度おいしい」を実践したい。
インドカレー屋でビリヤニが売られている。
ビリヤニはインド料理屋にもあるが、ネパール人がやっているインド料理屋にもあるし、パキスタン料理屋やバングラデシュ料理屋やスリランカ料理屋にもある。
そしてビリヤニは量が多い。ガチな店になるほど多い。
実際どれだけの量があるのか気になった。
まずビリヤニはインドで気軽に食べられる料理だといいたい。
なぜこんなことを言うかというと、ナン・カレーセットに出てくるふかふかのナンはインドで見ることはあまりないからである。
対してビリヤニはどうかというと、インドでビリヤニを出す店どころかビリヤニ専門店も多くあり、このビリヤニがどこに行っても量がすごく多いのである。
一店を例に挙げたが、インドでビリヤニを頼むと量がすごい店が多い。
日本も同じようにビリヤニの量が多いガチな店がある。中でも神奈川県川崎市、タワマンで知られる武蔵小杉に量が多すぎるインド系料理があると人づてで聞いたことがある。
「Punjabi Dhaba(パンジャビダバ)」という店だ。
なんでもインドとパキスタンの北部にまたがったエリア「パンジャーブ」の料理を提供していて、パンジャーブ料理は油を使ったとろみのあるカレーがメニューに多いのだそう。
行ってみたらパキスタン人がオーナーの店だった。オーナーはサミールさん。
パキスタン人がオーナーでネパール人スタッフやインド人スタッフも働いている。さらに日本人スタッフも働いている。
日本人男性スタッフのにしいさんは土日だけバイトをしていて、なんでも神奈川いちうまいとツイッターで見て行ってみたらバイト募集をしていたので働き始めたのだという。
日本人女性スタッフもいて、店内にインド系料理の紹介を印刷して貼っている。「マサラチャイの話しをさせてくだチャイ」と書かれた紹介もある。それくらい本格的だけど日本語対応もばっちりだ。
それにしてもサミールさんの下で働くバイトというのは、いろいろ非日常があって面白そうだ。
ビリヤニのほか、サラダと薄いせんべいのようなパパド、それにライタと呼ばれるヨーグルトサラダがついてくる。
ビリヤニを食べながらライタを食べることで味がマイルドになる。
ちなみにビリヤニはこのライタの皿でよそう。ビリヤニ量を重さで決めてるわけではないが、この皿でよそうとこの店的にはちょうどいいサイズになるそうなのだ。
次にサラダだけ食べて、頼んだビリヤニを全て容器に入れて持ち帰る。
重さは容器と包むビニール袋込みで745g。ビニール袋が2gで容器は16g。差し引き729gだ。
iPad Proの最重量モデルや最軽量ノートパソコンより重い。
にしいさんに重さを報告した。にしいさんは「あれ、そんなにあったのか…」と驚愕していた。「確かに出前でビリヤニ3つとか頼まれたときには無茶苦茶重かったです」
茶碗一杯で150gと言われるので5杯分だ。結局1食で食べきるのは僕の体には負担だし、毎食食べてのは飽きるので、飽きないように時々食べたところ、3日ももってしまった。
ところでビリヤニをどう作るのだろうか。店での作り方を教えていただいた。
サミールさんは巨大な鍋を取り出した。ビリヤニの鍋だ。
サミールさんが見せてくれた釜はひたすら大きい。
「1回炊いて80人は食べれるよ!」
そういわれて納得の大きさだ。地方のモスクの近くに開いた店だと客も礼拝の時に集中するのでそのときにあわせてビリヤニを準備するが、ここは常にニーズがあるのでよくビリヤニを作るのだそうだ。
ところで炊くためには蓋をしなければならない。しかし鍋が大きすぎてきちんと密閉できる蓋がないため、アルミホイルと濡らした新聞紙をうまく使ってふさぐと蒸気が漏れずに美味しく炊けるのだという。
見えない努力で美味しいビリヤニが日々できているのだ。
ビリヤニマサラとバスマティライスを重ねていく。バスマティライスは平坦にならす。ローズウォーターで香りをつける。
ビリヤニの重さに気づくと、エスニックな味の料理というイメージの上に、やたらコスパのいい料理という印象が加わる。なにせ重いだけではない。うまいのだ。
すごい量の外国料理はきっとビリヤニだけでない。持ち帰りが当たり前となった今、食べ過ぎず、最初に持ち帰り用のケースをもらい、食べない部分を最初から持ち帰って食べて、「一オーダーで二度おいしい」を実践したい。
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