深海生物が陸から釣れる?
ある年の8月、ネットで神奈川の魚について調べていると妙な情報に行き当たった。
八景島周辺の港や水路で、やたらヌタウナギが釣れているというのだ。
夜の八景島へ
てっきりヌタウナギというのは深海の生き物だと思っていたので、とても驚いた。
本当ならぜひ僕も釣り上げて、岸辺でのたうつ姿を見てみたいと思った。
釣り具店員さんの情報に従って、アナゴ釣りの要領でトライ。
とりあえず情報収集のために八景島近くの釣具店へと向かった。
店員さんに訊ねると、確かにヌタウナギは周辺の漁港などで釣れるという。
ただし、わざわざ狙って釣っている人がいるわけではなく、アナゴ釣りをしているとたまに「招かれざる客」として釣れてくるのだそうだ。
なぜ招かれざるのかというと、ヌタウナギは針に掛かると大量の粘液を出しながら仕掛けをぐちゃぐちゃに絡めて台無しにしてしまうためらしい。
…要はアナゴを釣るつもりで挑めばそのうち釣れるのだな!さっそくエサのゴカイと小魚を買って海へ向かう。
開始直後に釣れたのはメバル。リリース!
良さげなポイントで仕掛けを放り込むと、さっそく何かが掛かった。プルプルという感触が竿に伝わる。が、釣具店の方が言うには「ヌタウナギは釣れても仕掛けが重たくなるだけで、ほとんど暴れたり泳いだりはしない」らしい。
ということはこれは残念ながらハズレということか。仕掛けを引き上げると、水面からかわいらしいメバルが飛び出した。うーん、普段の釣りならうれしいんだろうけど…。
カサゴかー…。リリース!
「魚が掛かるとガッカリする」という奇妙な夜釣りが始まってしまった。
その後もメバルとカサゴが次々に釣れて、プルプル、ビクビクと小気味の良い引き味で楽しませてくれる。
しかし、違うのだ。今日に限っては、雑巾でも引っ掛けたような、普段なら「あーあ、これ絶対魚じゃないわ」と落胆するタイプの重みを竿に感じたいのだ。
だが、釣りを始めて二時間が経った頃、ついに竿がもたれるように曲がった。リールを巻いてもどんより重いだけ。これは!間違いなくヌタウナギだろう!暗闇の中、獲物を岸へ引っこ抜く。ライトに照らし出された生物は、確かに魚ではなかった!
ああ…。タイワンガザミかー…。リリース!
…おいしそうなカニ、タイワンガザミだった。
おお、ものすごくドキドキしたのに!別にキミが悪いわけじゃないけどね!
結局この夜、ヌタウナギが姿を見せることはなかった。
キミじゃない!でも釣れてくれてありがとうね!でもキミじゃないんだよね!
まあ、一晩やって釣れなかったくらいどうということはない。どんな生物を狙っていてもよくあることだ。しかし、その後も二回三回と現場へ通うがヌタウナギは現れない。
これはまずいと地元の釣り人に話を聞いて回ると、重要な情報が手に入った。
・その日によって釣れる場所と時間が違う。いいポイントで時合を迎えてしまうとヌタウナギばかりが何匹も釣れてしまうほど。
・ヌタウナギが八景島周辺で釣れ始めたのはここ数年以内の話で、年によって釣れる数にかなりの差がある。そして、この年は前代未聞の豊漁だった。
・しかし、ヌタウナギが釣れるのは初夏が主で、本格的に暑くなるとほとんど姿を見せなくなる。
ということだった。あれ、今もう8月なんだけど…。ということは、来年出直すしかないのか。
一年後越しのリベンジ!
というわけで翌年の5月。僕はまた神奈川のとある漁港へとやってきた。
今回は行き当たりばったりの去年とはわけが違う。ポイントも時期もちゃんと調べなおしてきたのだ。
さっそく反応があるが、引き上げてみるとアナゴ…。リリース!でも、この魚が釣れたということはヌタウナギに近づいている証拠かもしれない。
ヌタウナギが初夏限定で岸に近寄ってくるのは、どうやら繁殖のための行動らしい。ヌタウナギの多産する隠岐における研究では、ちょうど5月が接岸のピークを迎えることがわかっているそうだ。
隠岐と神奈川ではずいぶん距離があるが、まあそこまで差は無いだろうと考え、この時期を選んだのだ。
だが、そう甘くはない。釣りを始めて6時間以上が経つが釣れるのはアナゴばかり。空がわずかに白んできた。ああ、ヌタウナギは夜行性だから、きっと朝になったらチャンスは無い。
今年もまたダメなのか…?むしろ、今年は接岸していないのか…?絶望しかけたその時だった。
うわ!なんかすごい物体が!きっとコレこそが求めていたアレだ!
エサを交換しようと釣り竿に手をかけると、なんだか重い。ゴミか木の枝でも引っ掛けたような感じである。
だが、このつまらない感触こそ、僕が一年越しで求めているものだった。
心臓が高鳴る。またカニではあるまいな!期待と不安で、リールを巻く手が速くなる。
やがて、水面に謎の塊が浮かんだ。
大量のゼリー状物質に極太のアナゴのような生物が包まれている。間違いない!ヌタウナギだ!
泥だらけのクラゲのような半透明の塊から薄茶色の帯がはみ出ている。
その帯状の物体はヌロヌロとゆっくり、ウナギのように身をくねらせている。
ヌタにまみれたウナギ…。そう、こいつだ!!こいつはヌタウナギだ!
ヌタウナギの名前の由来となった分泌物。意外としっかりしていて、粘液というよりはもはや葛餅のような感触。きな粉まぶしたらおいしそう。…それにしても、体のサイズに対してボリューム多すぎない?その理由は後述。
泥をたっぷり巻き込んだ部分は草餅のようにもったりした固さ。
顎が無いから小顔です
思った以上に固い手触りのヌタをかき分けると、本体の全貌が明らかになった。
体色は、背側は白みがかった薄茶色で、脳天から尾にかけて白いラインが一本走っている。そして腹側は真っ白。
カラーリングはウナギというより、むしろアナゴに近い。
ついに姿を現したヌタウナギの本体。頭部はほっそりしていて、尾にかけて緩やかに太くなっていくシルエット。ウナギやアナゴとは一線を画するテーパードデザイン。ヒレは尾ビレのみ。
だが、そのシルエットは、魚類にはあまり見られない独特なものである。
やたら小顔で、尾にかけてなめらかに太くなっていく感じだ。
背中に走る一本の白いラインがおしゃれ。
一方で、一見するとよく似ているように感じられるウナギやアナゴ、ウツボの類は真上から見ると頬のあたりが膨らんでおり、首がくびれているように見える。この頬のふくらみはいわゆる「ほほ肉」、つまり顎を動かして物を噛む筋肉なのだ。大きなエサに食いつき、噛みちぎるタイプの摂餌様式をとるこの手の魚はとくにこの筋肉が強く発達しているため、こうした下膨れ気味な顔立ちになるのだ。
ヌタウナギが細面なのも同様の理屈で説明できる。ヌタウナギにはほほ肉が無いのだ。なぜなら、そもそもヌタウナギは「顎自体を持っていない」からである。
眼は皮下に埋もれている。このことから、かつては「メクラウナギ」という和名で呼ばれていたこともある。…馬面というかキツネ面というか、なんだか特徴的な顔立ちだ。だんだんかわいく見えてきたぞ。
ヌタウナギは厳密に言うと魚類ではない(ただし、図鑑などでは広義の魚類として扱われることも多い)。
一般的に「魚類」として分類されるのは、タイやウナギ、フナなどのいわゆる「普通の魚」である硬骨魚類とサメやエイの類である軟骨魚類の2タイプである。
そして、ヌタウナギはそのどちらでもない「無顎類(むがくるい)」というグループに属すのだ。他の無顎類にはヤツメウナギなどがある。
超ざっくり言うと、無顎類は魚類をはじめとする我々脊椎動物の始祖的なポジションである。これまたスーパー大雑把に説明すると、大昔に無顎類の仲間が効率よくエサを食べるために進化しまくって、ついに顎をゲットしたのがいわゆる「魚類」。で、それがまためっちゃ進化して脚を生やして両生類になって、爬虫類になって、鳥類や哺乳類になって…という具合に脊椎動物は進化してきたのである。
つまり、ヌタウナギ類は生物の歴史を研究する上で、実はなかなか重要な存在なのだ。
ヌタはほぼ海水
さて、見た目もたしかに奇妙な生物ではあるが、もっと注目すべきはやはりその分泌物、ヌタについてであろう。
それより今注目すべきはこのヌタだ!
素手で触ってみると、体表はそれほどぬるぬるしているわけではない。むしろ、普段はウナギやアナゴよりもはるかに掴みやすい。
しかし、次第に粘り気の強いヌタが分泌され、手にまとわりつき始める。
そしてこれを洗い落とそうと海水に浸すと、一気にその量が膨れ上がる。これは体表から分泌された「ヌタの素」が水を吸って膨張したためである。このヌタの素はいわゆる吸水ポリマーの一種なのだ。
海水に入れると、一気にヌタの量が増えた!無限に出てきそうな勢い。泥を巻き込んでいないヌタは無色透明で綺麗。
だが、くずきりのような感触と見た目は、見ようによってはおいしそうでもある。
もし食べられるなら「海わらび餅」とか適当なネーミングで売れるかもしれん!
これはビッグビジネスの匂いがしますよ!
ヌタを啜る。…あっ!これは無いわ!
…匂いこそビッグビジネスのそれであったが、肝心の味はただの海水でしかしない。まあ、うすうす気づいてはいたが、これは食べられない。
とんでもなく汚い表現で申し訳ないが、やたらしょっぱい鼻水を啜っているような感じで、ただただ気持ちが悪い。
と言って、特に生臭いわけでもない。本当にただ海水を固めましたといった印象だ。
日が昇ると、地面にこぼれ落ちたヌタが乾いた。
伸びたガムか、こびりついたパルプのよう。これに水をかけると、また透明なヌタが復活する。
一時間足らずで四匹も釣れた!
記念すべき出会いにひとしきり興奮した後、二匹目のヌタウナギを狙って再びエサを放り込む。複数の料理を試すなら、夜が明けきる前に最低でももう一匹釣っておきたいところだ。
また釣れた!しかも大きい。
するとすぐに、風も無いのに釣り糸がフワフワと動いたように見えた。
おや?と思って引き上げると、また泥まみれヌタまみれのヌタウナギが!
また!怒涛の展開だが、これ以上は食べきれない気が…。
結局、瞬く間に四匹のヌタウナギが釣れてしまった。これまでの苦労は何だったのか。そして今、目の前の海底はどんなことになっているのだろうか。おそらく、ヌタウナギの群れが大挙して餌を漁っているのだろう。
だが、四匹もいれば一人で食べるにはもう十分すぎる。そそくさと竿を片付け、日の出とともに帰路へ着いた。
結局、夜明け前の数十分で四匹のヌタウナギを確保。大逆転劇だ。
歯がすごい! 排水口が詰まる!
さあ、持ち帰ったヌタウナギを観察しながらさばいて、食べてみよう。
ギョッとする見た目だが、味は良いと聞いている。
韓国では「コムジャンオ」の名で呼ばれ、高級食材として親しまれているらしい。
神奈川の釣り人はみなさん「気持ち悪いから釣れたら逃がす」と言っていたが、それは韓国の人からしてみれば考えられないことなのかもしれない。
まな板の上のヌタウナギ。改めて見ると、全然魚じゃないな。やはりヒレの有無は大きな要素らしい。
まずは流しで、体表のぬめりをよく洗い流…してはいけない!
大量のヌタが排水口で膨張し、水詰まりを引き起こすからだ。できることなら、下処理は屋外で行いたいところだ。
ヌタウナギを調理すると、大量のヌタで排水溝が詰まってしまうこともしばしば。気を付けよう。というか、下処理はできる限り屋外で済ませよう。
ヌタウナギの顔。正面の、おちょぼ口に見える穴は実は鼻孔。
本当の口は腹側にあります。
ヌタウナギの口は腹側に開いており、その奥に歯が生えているのだが、この歯の見た目がひどく凶悪だ。
口の両脇を押さえると、こんなえげつない歯が出てくる。
うおお、おっかないけどちょっとカッコイイ…。
上下の顎が無いとなると、どんな歯並びなのだろうとワクワクしていたが、まさかの左右に開閉するだった。しかも、サメのように鋭い歯が二列にびっしりと…。
これで魚の死骸など大きな餌もゴリゴリと削り取って食べているのだろう。
横っ腹に小さな穴がいくつも空いている。
実はこれが鰓穴。普通の魚と比べるとずいぶん後ろの方にあるな。
なんでウナギと違ってヌタウナギは尾までこんなに太くなってるんだろうと不思議に思っていたが、捌いてみて謎は解けた。
肛門がこんなに後ろに!尾の根元まで内臓が詰まっているのだ。
ところで、ヌタウナギの皮は韓国では財布などの革細工に使用されるほど厚く頑丈である。
皮ごと調理する方法もあるにはあるようだが、今回は初体験なのでオーソドックスに皮を剥いて扱うことにする。その方がいろいろ観察できるしね。
皮を剥いていこう。
スルスルと簡単に剥けるのだが、ほんのちょっと妙な引っ掛かりを感じる。皮と身はスナップボタンめいたものでつながっているのだ。実はこれがヌタを分泌する粘液腺なのだとか。
綺麗に剥けました。
腹を割くと、魚とはずいぶん異なる構造にあらためて驚かされる。
鰓の構造はどちらかというと軟骨魚類に似ている。
歯を動かすための管状の筋肉(その内側にも別の筋肉が入っていたりして、素人にはわけが分からない)が喉から鰓のあたりにかけて詰まっている。
体の造りがところどころサメに似ている
大型の個体はサイズも形もちょうどお米の「ポン菓子」によく似た卵をたくさん抱えていた。一粒食べてみたが、中身はドロッとしていて、ちょっと生臭くてしょっぱい、滋味の薄い卵黄のようだった。深海鮫の卵の味と食感にも似ている。
さらに内臓を取り去った後のヌタウナギ。UMAか幻獣のような神秘性すら感じる。
皮を剥いてみて抱いた感想は「ウナギというよりも、身やヒレの造りがサメっぽいな」というものだった。
ヌタウナギもサメ類も、どちらもメインの骨格が軟骨だし、鰾も持っていない。そしてたくさんの鰓穴が並ぶ点など、共通している部分が多い。
進化の歴史をものすごく雑に紐解くと、それぞれが分岐してからの時間的な距離は硬骨魚よりもずっと近くて、それが身体的特徴にも表れているのではないだろうか。
筋節の走り方や身の色はサメのそれに近い。やはり、骨格が軟骨でできているもの同志の共通点は多いのだろう。外見はずいぶん違うが。
尾ビレを支持するのは無数の細い軟骨。ここも食感含めちょっとフカヒレっぽい。
魚じゃなくてタコかホルモンに近い
さて、まずはできるだけ手を加えず、生で食べてみよう。
ぶつ切りにして刺身に。ヌタウナギは背骨(正確には脊索という部位)まで軟骨で、歯以外に硬い骨が無い。そのため、細かい下ごしらえ無しでもそのままバリバリ食べられるのだ。
本当に美味いんだろうか…。
おお、いける!旨味が強い!…でも魚ではないな。ホルモンとかタコ・イカに近い。
刺身(と言っても皮を剥いてぶつ切りにしただけだが)はジャキジャキ、コリコリとした歯ごたえ。ホルモンやタコに近い。
そして旨味がとても強い。溢れるアミノ酸をビシバシ感じられる。味も…タコや干しイカに通じるものがある。あと、やっぱりほんの少しだがサメ要素があるようにも思えた。…これは身の見た目から来る思い込みだろうか。
薬味をたくさん加えて包丁で叩く。
そして、これまた理由はわからないのだが、やたらと塩味が強い。塩分の排出システムが魚類と違うのだろうか?…あるいは、単に海水氷に長く浸しすぎたか。よくわからんが、醤油をつけなくてもいいくらいにしょぱいのだ。
なので、生姜やネギなどの薬味での香り付けを重視したタタキの方がマッチするように思えた。これだと、一かけが小さくなるので、強い歯ごたえに顎が疲れることも無い。
ヌタウナギのタタキ
ヌタウナギ料理の本場である韓国流に料理してみよう。まずはぶつ切りにして…。
素材の味はよくわかった!やっぱこれ魚じゃないわ!学生時代に受けた生物分類学の講義を、舌を通じて復習できるとは感慨深い。
ならば、ここからは他のおいしい食べ方を模索していきたい。
まずは、ヌタウナギ料理の本場である韓国に倣ってコチュジャン炒めを作ってみよう。あちらではこの料理がもっとも一般的らしい。
ニンニク、玉ねぎと炒める。味付けはコチュジャンがメイン。
…炒めているときの香りが、これまたタコのそれに似ている。何か同じような成分が含まれているんだろうか。
韓国流・ヌタウナギのコチュジャン炒め
ニンニクとコチュジャンの香りが食欲をそそる。我慢できず、熱いうちに頬張る。
…美味い!加熱することによって食感もより締まっている。焼いたホルモンと鶏軟骨と茹でたタコを合わせたような歯ごたえである。
そして、強い旨味にコチュジャンがよく合う。やはり、どんな食材も本場の食べ方に合わせると安定したおいしさを発揮してくれるものだ。
やっぱり本場に倣えば間違いないね!
歯ごたえがやや粗く鋭いが、味のタコっぽさがまた増した気がする。
これは海産物としてちゃんと美味いなー。釣り人さんたちも持って帰って酒のアテにすればいいのに。
ヌタウナギのネギ塩炒め。お酒だけでなくご飯にも合うと思う。
というわけで、酒に合いそうで簡単なメニューをもう二つ考えてみた。
ネギ塩炒めと唐揚げだ。
ヌタウナギのから揚げ。見た目は蛇のぶつ切り、味はタコ系、食感もタコ+軟骨。魚っぽさはほぼゼロ。
実際、いずれも美味しく仕上がった。
きっとビール等によく合うだろう。…なぜ断言しないのかというと、僕は下戸なので自分自身では確かめられなかったのだ。
ビールにすごく合う!…はず。僕は下戸なので上手く確かめられず(飲んでいるのはお水です)。
基本的に深海の生物だが浅場を好む種類も
というわけで、ヌタウナギは本当に漁港で釣れたし、本当においしかった。
…しかし、結局どうして深海生物として有名なヌタウナギが岸際で釣れたのか。
種を明かすと、たしかに日本産ヌタウナギ類のほとんどは筋金入りの深海性なのだが、僕が今回釣った「ヌタウナギ」という種だけは、水深わずか数十メートルの浅海にも生息できる異端な連中だったのだ。つまり、その生態を知ってさえいれば何も不思議なことではないのである。
しかし、それでもこんなに不思議な見た目と修正を持つ生物が身近な場所で見られるというのはとても素敵なことだと思う。
ヌタウナギが出没する場所は各地に点在しているので、気になる人は釣りに行ってみてほしい。もし釣れたら、ぜひヌタで遊んで、食べてみよう。きっと忘れられない思い出になるはずだ。
深海で漁獲される種は体色が濃いもの(ムラサキヌタウナギ、クロヌタウナギなど)が多い。今回捕まえたような淡い色合いで浅場に暮らすヌタウナギはかなりイレギュラーな存在なのだ。