会場はオープンキャンパス中の早稲田大学
展覧会はここ数年、早稲田大学のオープンキャンパスに合わせて開催されている。学内は高校生や親たちでいっぱいだ。
階段を降りたところの右側が会場になっている。
展覧会のタイトルは『、』展(とうてん)。生活のある部分を切り取って句切って形にする、などいろいろな意味があるそうだ。
https://tou-ten-2023.site/
ではさっそく見ていこう。
「持ち運べる建築」
最初は「持ち運べる建築」という課題だ。出題は山﨑健太郎先生。この授業では全部で4人の教授が出題をする。
そしてそういった課題に対する学生たちの回答が、この展覧会の作品になっている。
建築は地面とつながっているものだが、その制限を外したらどうなるか、といったことのようだ。
その回答の1つがこちら。
一見、移動図書館みたいなものかなと思ってしまったのだが、そうではなく、客が本を読んだ感想として絵を描き、それを別の客が買うという循環を目指したもののようだ。
実演しているところの写真が分かりやすい。作者の遠藤さん、モデルみたいでかっこいい。右下の写真なんか雑誌で見たことあるような気がする。
と思っていたところ・・
ちょうど本人が来ていて、しかも他のスタッフに「遠藤、来てる?」と聞いていた。え、あなたが遠藤さんじゃないの?
他の方に聞いたところ、この方(栗原さん)が写真映えするので、作品のモデルを頼まれがちなのだという。なるほど。
「見えない東京」
つづいて矢口哲也先生による「見えない東京」という課題。
マルコ・ポーロの視点で現在の東京を語り、次にそれを聞いた人の視点で「東京」を立体に表現する、というもの。
この訪問記によると、天王洲アイルから内陸に進んだところには「幾百もの硝子の塔が並び集まって」いるという。
これを読んだとき、天王洲アイルにそんなガラスでできたパブリックアートみたいなものがあったかな、と思ってしまった。そうじゃなくて、ふつうに高層ビルのことを言っているんだ、と後から気づいた。たしかにガラスの塔だ。
この課題では、それを聞いた人(フビライ・カン)のつもりになってその都市のようすを立体に表現する。
すてきだ。ガラスの塔が百もある街はきっとこんなだろう。住んでみたい。きっと森ビルあたりがなんとかしてくれるかもしれない。
「建築みやげ」
中谷礼仁先生による「建築みやげ」という課題。
有名建築をモチーフにしておみやげを作るというものだ。それに対する回答の一つはたとえばこう。
これは東京の八王子にある大学セミナーハウスという建築をおみやげにしたものだ。なぜコーヒーミルかは上から見るとよく分かる。
土台の部分に歯車が埋まっていて、取っ手をまわすと「ゴロゴロ」と重い音で回るのだ。本物のコーヒーミルからとってきた金具かもしれない。
いい音なのでぜひ聞いてみてほしい。
つづいてはこちら。
イタリアのアルベロベッロという集落の家々をチェスに見立てたものだそうだ。
家の屋根にはそれぞれ特徴的な模様が描かれているそうで、それも再現されている。
チェスの局面が進むと、街並みのようになってかわいい。
紙粘土でつくったそうで、一つ一つの造形がみごとだ。この展覧会では、実際に売り出したら売れるんじゃないか(自分が欲しい)と思う作品がいくつかあった。これもその1つだ。