特集 2023年8月11日

人間もウィンカーを持ち歩けばぶつからないのか 〜早稲田建築『、』展〜

『けんちく知育』

子供から大人まで、建築力を養う教材を考えてください、という小阪淳先生による課題。

最初の作品はこれだ。

『CASE BY CUBE』村松拓海

 決められた建築資材を使って、お題に沿った建築をつくるゲーム。

マインクラフトのブロックみたいで楽しい

資材は、ガラスや木、レンガのブロックなど。お題としては「自然を生かした」「重厚感のある」などが与えられるそうだ。

プレイヤーはサイコロをふって資材を獲得し、建築を組み立て、プレゼンする。

  

これはぼくが何も考えずに置いたもので、本来の魅力を伝えられておらず申し訳ない。 台の下にはスマホを差し込めるようになっていて、下からライトアップすることもできるらしい。

説明書によると「建築が思うような形にならなくてもプレゼンで結果は変わることがあります」とのこと。ありそう。

つづいてこちら。

『名建築神経衰弱』星野真歩

これは実は説明を聞き忘れてしまったのだが、おそらくこういうことだろう。 

建築の写真とその設計図がペアになった札たちを、伏せて広げて置く。最初に1枚をめくり、それが設計図なら対応する写真を、写真なら対応する設計図を探し、みごとめくればその2枚を得る、ということじゃないだろうか。

これは何か

仮想的にやってみよう。一枚めくったら上の札が出たとする。これは何だろうか。丸い建物のなかに四角い区画がある。とても特徴的なので建築好きの人ならわりあい分かるかもしれない。

答えは金沢21世紀美術館だ。実際はクイズじゃなくて神経衰弱なので、だれかが偶然めくった21世紀美術館の場所を覚えておいて、それを開けなければいけない。

これも面白そうだ。まず何が何なのかを覚える必要があるが、遊んでいるうちに覚えそうでもある。まさにけんちく知育だ。

つづいてこれ。

『小さな黒い箱 ーカメラオブスキュラー』藤井結

ただの箱に見えるがそれはぼくの撮り方が悪くて、実際は手前に可動式のスクリーンがあり、奥にはレンズがある。

なので、遠くの建物がぼんやりと映っている場合、スクリーンの位置を前後させてピントを合わせると・・

ほら、くっきり。

展覧会のインスタグラムにはもっときれいに映っている写真もあるので、それをお借りして紹介したい。

https://www.instagram.com/p/CuRuMFoS4QV/ より

すごいきれいだ。

機械の脇には作者による資料も置いてあった。


ピントを合わせるという行為により、自分と対象物のあいだに距離・空間があることが体感できる。空間についての身体的な感覚を持つことが建築力を養うことにつながる、ということのようだ。

実際にやってみるとすごく楽しいし、きれいだ。スマホで見たほうがきれいだし、もっと言えば直接遠くの景色を見たほうがきれいだけど、ピントを合わせてスクリーンに映ることの不思議さ、楽しさ、きれいさがあるなと思った。

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『都市の採集』

つぎは中谷先生の「都市の採集」という課題。

街にある同じ種類のものをたくさんスケッチする。言葉ではなくスケッチ自体によってその対象の本質を語らせるということのようだ。

たとえばこれ。

『電柱のアレ』中西祥子

電柱についているアレである。「足場ボルト」という。

ぼくはこれを見て反省した。むかし調べたので名前だけは知っているのだが、名前を知ってわかった気になり、滑り止めのデザインとかが細かく違うということが見えていなかった。

たくさん見ないとだめだよ、ということをこの展覧会ではいつも教えられる。

『違法絵画展』YUKI TAKEI

街の落書きを、額縁に入れて「絵画展」と名付けたところが面白い。それぞれが作品に見えてくる。

実際はグループ名のサインのようなものが多く、そういうのはつまらないのだが、有名な作家が描いたようなものも違法絵画には違いない。ひっくるめて同じ額縁に入っているのがいい。

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『あなたの街の聖なる場所』

最後は、矢口先生の「あなたまちの『聖なる場所』」 という課題。人々に大切にされている場所を探してください、ということのようだ。

『自分だけの世界に入り込める場所』松岡玉子

作者によると、神保町のアットワンダーという古本屋の前がそうだという。どんな本があるかを探したり手にとって読んだりするうちに、自分だけの世界に入る。

地図で確認したら、大通り沿いじゃなくて脇の路地に入ったところだった。なるほど。路地で人通りも少ないから気兼ねなく本を選べる。

本を選んでいるときは、他のことを考えなくなる。たしかに自分だけの世界に入り込める場所だ。

手前左側が代表の松岡玉子さん。ご協力ありがとうございました。

取材協力:
早稲田大学創造理工学部建築学科
『、』展(会期は8月6日までで終了)
https://tou-ten-2023.site/
サイトにはメンバーの受験記なども書かれているので、気になる受験生がいたらぜひ読んでみてください

まとめ

本当に欲しい(売れそう)というものが多かった。チェスもみごとだったし、神経衰弱も面白そうだ。

神経衰弱は建築じゃなくても同じような趣向で応用できそうだ。たとえば数学だったら問題が書かれた札と答えが書かれた札に分かれててもいい。めくられてる間だけで解いて覚えないといけないから大変だ。この展覧会に来るとこういうふうにヒントももらえるし、展示はおもしろいしでありがたい。

設計演習A展を見逃した、という方へ。2年生むけの授業として設計演習B/C というものがあり、そちらの展覧会は来月末に開かれるそうです。興味あればぜひ。

設計演習B/C『☒展(バッテン)』
2023年9月22日-9月24日
早稲田大学西早稲田キャンパス 55号館アトリウムhttps://twitter.com/bcten_batten_23

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