今回使った材料
・ジオラマ用カラーパウダー(砂浜として使う)
・スーパーフィックス 固着材(砂に混ぜて固める)
・モデリングウォーター(水になる)
・水泡表現素材(白い粉。波の飛沫になる)
・メディウム(水泡表現素材を固める)
浜辺に打ち上げられた漂着物を見ると興奮する。あの気分を気軽に味わえるお皿を作った。
浜辺の漂着物。大半はゴミや流木などであるが、深海に棲む珍しい生き物が漂着することもある。そんなロマン溢れる漂着物の雰囲気を手軽に味わう方法はないだろうか。あります。
見たままで恐縮だが、皿の上に浜辺のジオラマを作った。食材を皿に並べると、まるで浜辺に漂着したように見える……というわけである。試しにこちらの食材を置いてみよう。
浜辺に「巨大なナニカが漂着する……」という絵は、すべからくグッとくる。今にも何かしらの物語がはじまりそうだ。古今東西いろんな物語が浜辺で幕を閉じるのも偶然ではないだろう。
この記事で伝えたいことは以上である
しかし、ここで終わることは法律で禁止されているので、ここからは「水景ジオラマの作り方」をお届けします。よろしくお願いいたします。
私は今回、初めて水景ジオラマを作った。私と同じようにプラモデルやジオラマは作ったことあるけれど、水景は手を出したことないという人、意外と多いのではないだろうか。地面や木、岩なら何となく作り方も材料も想像できる。でも、水の作り方は「?」である。調合とかどうやるのだろう。尻込みする。しかし、しかし、調べてみると、先人たちの知恵の結晶が商品化されて売られていた。川辺を再現するキットから、浜辺や遠洋を再現するキットまで。水辺の環境によって、細分化されいくつもの水景ジオラマ関連商品が売られている。安定して人気のあるジャンルであることが伺える。さっそく材料を揃える。
・ジオラマ用カラーパウダー(砂浜として使う)
・スーパーフィックス 固着材(砂に混ぜて固める)
・モデリングウォーター(水になる)
・水泡表現素材(白い粉。波の飛沫になる)
・メディウム(水泡表現素材を固める)
全部で3000円くらい。そこそこ高い。そこそこ高いのだが、価格に見合うくらい楽しいので安心してほしい。安く仕上げたい場合は、100均のレジンを使ったり、そのへんの砂をボンドで固めたりする方法もある。今回、土台として使うのはこちらのお皿を使った。
準備ができたら砂浜を作る。砂浜の材料のカラーパウダーはそのままでは接着しないので、つなぎとして固着材を入れてかき混ぜる。
専用の材料が揃わない場合は、木工ボンドに洗剤を加えたもの(木工ボンドそのままでは混ざりにくい)でもいいようだ。準備ができたので木皿に塗りつける。
カラーパウダーは1日くらいで固まる。乾燥すると収縮してひび割れが出てくるので、隙間を埋めつつ乾きを待つ。続いて色を塗ろう。今回はトロピカルな白い砂浜ではなく、日本の浜辺を再現したかったので、砂浜の色は暗めにした。今回は皿の上に食材を置くので、砂や塗料が剥がれないように、さらに固着材で表面をしっかりコーティングする。
砂浜の次は、海の色をつけよう。モデリングウォーターは透明なので、先に皿自体にアクリルガッシュで海の色を塗っておく。
不安が波のように押し寄せてくるが、失敗しても色を重ねて少しずつ近づけていけばなんとかなった。日本海の設定にしたので、海の色味はくすんでるかな?浅瀬は藻が生えてるかな?などなど想像しながら塗ると楽しかった。色が塗れたらいよいよ「海」を作っていこう。と、その前に、モデリングウォーターは最初、トロトロとした液体なので、溢れ出さないように「枠」を作っておく必要がある。
10分程度で硬化が始まるので気長に待つ。波の加工は、40分〜120分くらいのあいだ可能だ。固まりはじめるとグニグニとした質感になり、次第に波の造形ができるようになる。
荒々しい冬の日本海にするもよし、常夏のハワイにするもよし。ピンセットをぐいっと押しつけての自由に波を作ろう。
海を自在に割ったモーゼもこんな気持ちだったに違いない。モデリングウォーターは、まる1日乾燥させたら硬化完了。次は仕上げ。波の飛沫を再現するための「水泡表現素材」を用意する。「なにそれ?」という感じなのだが、要は白い粉である。この白い粉をグロスポリマーメディウム(絵の具の質感を変えるための添加剤)で溶いて、飛沫をあげたいところに塗りつけていく。
陸地や他の波とぶつかるところに飛沫が上がるはずだから・・・と頭の中で物理エンジンを作動させ、トントントンと波に飛沫を重ねていく。すると……
技術がなくてもトントンするだけで、キャンバス上に波間が現れる。魔法みたい。楽しすぎてどうしても飛沫が多くなる。気づいたら東映のオープニングみたいな白波になるので注意が必要だ。こちらもまる1日ほど乾燥させたらしっかり固まった。ちょっと水泡の粉が露出しすぎかな?というところには、先ほどのモデリングウォーターを再度塗り重ねたりして最終調整する。出来上がったのが先ほどのこちらである。
技術がなくても専用の材料があれば、特にミスることもなく、ススーッと海が形になっていくのがとにかく心地よい。しっかりとした達成感もある。
水景ジオラマは簡単なわりに達成感がある。専用の材料を買い、ねるねるねるね的なことをすると、特に技術がなくとも浜辺ができてしまう。でも、これで気を良くしてこの趣味に踏み込むと、沼どころか光の届かない深海が待っていそうで恐ろしい。今は母方の田舎にある港とかジオラマで作ったら楽しかろうな〜という想いが溢れ出して怖い(皿に乗せた食材は晩御飯としていただきました)
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