来るたびに知らない場所が増える街、渋谷
日本のサグラダ・ファミリアといえば横浜駅だが、渋谷駅周辺も負けていない。常にどこかで工事が行われており、ちょっと目を離したすきにデカいビルが建っている。街全体が巨大モンスターのようだ。渋谷は生きているのである。
自己増殖を続ける渋谷だが、当然どこかにしわ寄せがいって、ビルとビルのつなぎめが不自然になっていることであろう。この記事は、そんなつなぎめを愛でるという趣旨だ。
せっかくなので、いまの渋谷がすごいことになっていることを示すためにも、渋谷を一筆書きで回ろう。
明日の神話からスタート
スタート地点は、渋谷マークシティにある岡本太郎作「明日の神話」だ。井の頭線の改札の近く。
ここから進む先は……
で、いきなりここが本日最初のつなぎめ。渋谷マークシティと他の建物をつなぐ連絡通路への入り口だ。
高さのズレを階段で強引に吸収している。無理やり感があって、いいつなぎめだ。最初に言っちゃうと、いいつなぎめには
・床の模様がちがう
・点字ブロックのデザインや色味が違う
このあたりの要素があるのではないか。要は、渋谷という街の成長の証が見られるのがいいつなぎめだ。つなぎめは成長痛が具現化された部分。「無理してがんばってつなげたんだね……」とグッとくる。
このつなぎめは段差があるのでいいつなぎめだ。ちなみにバリアフリーの観点では全くよくない。あくまでも愛でる対象としての話。
この構造物自体が巨大なつなぎめのような存在である。
この連絡通路、いつからあったんだろう。昔からあった気がするし、最近な気もする。そして、いつまであるんだろう。なんか仮設っぽさがあるんだよなぁ。
未来のことはあえて調べず、楽しみはとっておこう。ネタバレ回避だ。でも過去のことは調べてもいい。この通路がいつから存在したか。手っ取り早いのはGoogleのストリートビューで過去の日付を見る方法だ。
2020年1月のストリートビューで、連絡通路が建設されようとしている。出来たのはまあまあ最近だった。あまり記憶にないのは、当時コロナの自粛ムードで印象が薄かったからかもしれない。
通路を少し歩くと、分かれ道に来た。
そして、そこにあるのはつなぎめだ。
ここに段差がないのは、高さのズレをマークシティ側の段差に吸収させているからだ。でも、点字ブロックのデザインが違うのが面白い。色味も違う。たった4年でこんなにも色あせるのか。いいねぇ、つなぎめ。
トマソン
連絡通路を抜け出し、ここからは外気にあたる歩道だ。
そんなことある?罠じゃん。何の意味もない場所。トマソン?
いや、でもわかりますよ。そのうちつながるんでしょう。
渋谷はこういうあからさまな伏線をちりばめてくる。いったいこれがどうなるのか……来年また同じ場所で撮影したいという想いがある。記事タイトルに「2024」と入れているのは、定点観測したいという想いからだ。いまの渋谷はいましか見られない。写真におさめていこう。