ところで、生き物を飼育する楽しみや喜びというのは人によって、あるいはその生物によっていろいろである。
たとえば犬や猫は意思の疎通やコミュニケーションをはかれるのが最大の魅力だろう。
錦鯉や金魚、あるいはカブトムシやクワガタの飼育はその外見の美しさやかっこよさの鑑賞を主な目的とするものだ。
僕は子供の頃から様々な生き物を捕まえては飼うということを繰り返してきたので、それぞれに特有の面白さがあるのはよく理解できる。
だが、ここへきて一つの境地に至った。ある意味での「究極のペット」に巡り逢ったのである。それは……!!
ワラジムシとダンゴムシ、総じて通称「ワラダン」だ。
ワラダンにハマるきっかけ
ダンゴムシとはみなさんご存知、あの石の下とかにいて触ると丸く縮こまるアレだ。
ワラジムシはアレの丸くならない版(ちょっと平べったくてちょっとすばしっこい)である。
ちなみに、飼ってみるとどっちもたいして変わらんことに気づくよ。
読者の多くは「あんな小さく地味なものを飼ってなにが面白いのか?」と思っていることだろう。
いやいや、あの楽しさを知らないなんてみなさん……遅れているというか……人生ちょっと損してるというか……。
ワラダン(界隈ではワラジムシとダンゴムシをまとめてこう呼ぶ)飼育者としてはその無知蒙昧さ、無教養さに正直ちょっと…引く、かな……?
まあ、それは大袈裟であるにしても本当に楽しいんだってば。
そもそも僕がワラダン飼育にハマったのは、野外でたまたま「オレンジ色のワラジムシ」を見つけたことがきっかけだった。
ある公園で昆虫(ゴキブリ)観察をしていたところ、コンクリート壁に何十何百というワラジムシ(クマワラジムシという種類)が群がっていた。
最初はふーん、そうかそうかと気にもとめていなかったのだが、その中に紅一点、前述のオレンジワラジムシがいたのである。
おお、アルビノ?的な?突然変異?発見!と興奮して捕獲し、美しさに見惚れて「飼ってみよう」となるまでに要した時間はまさに秒速。
これは生物飼育を嗜む者としてあるまじき「衝動飼い」であるが、「ワラジムシなんて楽勝で飼えるだろ…」という舐めきった勝算があったのだ。
そして、その読みは当たった。
オレンジ色のワラジムシは落ち葉や野菜クズ、たまに干しエビなんかをモリモリ食べ、元気に育つばかりかジャンジャン子どもを産んだのだ。
いつしか飼育容器のタッパー(ダイソー製)はオレンジ色のワラジムシたちで埋め尽くされた。
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