デジタルリマスター 2024年4月27日

昔の雑誌の『未来予想図』を鑑賞する(デジタルリマスター)

現代の我々を取り巻く環境は、年々厳しさを増している。地球温暖化、不況、そしてこのたびの震災、それに続く原発問題・・・。たまに心躍る技術や科学的発見のニュースも散見されるが、どうも世間の総体的気分としては、下降気味な感じだ。そうではないという方もおられるだろうが、そういうことにしないと記事が始まらない。まあ聞きなさい。

そんな折、実家へ帰省し、恒例の納戸あさりを行った。昔の雑誌や漫画、おもちゃなど掘り起こして、少しでもネタになるものでも見つかればと思ってやっているわけだが、最近こんなものを発掘したのだ。

輝く未来を信じることができた時代の、学習雑誌である。

2011年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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30年探し続けたら突然見つかった本

「発掘した」と書いたが、実はこれを長年探していたのだ。小さい頃よくパラ見していた「科学クラブ」という、これは学習誌だろうか。「株式会社東雲堂発行」とあるが、現在この社名で検索しても博多のにわかせんぺい本舗は出てくるが、出版社の名前としてはどうももう存在しないようである。

奥付には「昭和34年12月発行」とある。西暦に直せば1959年。終戦後14年、私はあの頃まだ中学生だった―わけはない。

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今なら「週刊そーなんだ!」のような、定期購読モノ。表紙付きで、こんなのに再会できたらそりゃうれしい。
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1年とちょっとの蓄積。

 

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「うけもちの先生におねがい」するか、98円分の切手を郵送、あるいは振替貯金で送金すればゲットできたらしい。

これはどうも、母親が中学生の頃にとっていた雑誌のようだ。母にはまったく記憶にないらしい。オツハタ少女はたまにこの古い雑誌をパラパラめくっては、その古めかしい絵や写真のテイストに、子供心にしびれるものを感じていた。

さて今日はその各号の中から、特にこの号を取り上げて観察してみよう。科学クラブ・臨時特別号「わたしたちの21世紀」と来た。おなじみ、この表紙にもあるような「車輪のない自動車がドーム型の街をビュンビュン飛ぶ」イメージそのままの世界がそこにはあった。昔感じたワクワク感とともに、ページをめくってみよう。

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21世紀になってから11年経ったが、どこまで実現しているか。
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高度経済成長期における未来図

それにしても昭和34年ごろの世相は、どんなものだったか。

東海道新幹線起工。
東京オリンピック開催が決定。
そして皇太子(上皇)の御成婚に合わせテレビが普及、翌年にはカラー放送スタート。
そのまた翌年には月へ人類初の一歩を印すべくアポロ計画もスタート。

まさに輝くような未来を予感させる時代だったはずだ。例えばこんな未来を。

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ザ・21世紀。運転しなくても目的地まで連れてってくれる、高周波自動車だそうだ。アメ車のまま超進化。(P.6-P.7)
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バスも当然飛ぶ。
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あっ。(日本の原子力研究はこの頃盛んに行われるようになってきたという)
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しかし列車は国鉄スタイルだ。
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よく見たらあの小松崎茂氏によるイラストだった。豪華。

 次のページ、まさに「丸ビル」の出現だ。

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こういうのを「丸ビル」という。まだ群馬に住んでいた頃、銀座4丁目交差点角の三愛ドリームセンターを「丸ビル」と思い込んでいた。丸いから。「本当の丸ビルって丸くないんだ!」と上京してから知った。
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動く道路は実現した。「音速滑走体」、名前の響きがたまらん。
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「ドームのホテルのセンター」には、休けい・ごらく室、食堂、ブック・センター。子供をとらえて離さないラインナップ。

リニア実験線でも581km/hで、音速の1225km/hには遠く及ばず。しかもリニア開業はまだまだ先の話だ。という重箱の隅は置いといて、上のキャプションにも書いたが「音速滑走体」という名前の響きがいい。

よくよく考えれば「しんかんせん」だって「新しい幹線」という事務的な名前だ。なら「音速滑走体」という名称のままでいい気がする。「音滑体」とか略してもいいかもしれない。読みはお好みで。

ところでページ下の本文に、すごいことが書いてあった。

「建物や道路に けい光塗料がぬってあるので、おとぎの国に来たようです」

夜光じゃなくて、蛍光でいいのか。
昔、群馬県高崎市で起こった、某カメラ量販店の「蛍光ピンク壁」騒動を思い出す。店全体を蛍光ピンクに塗ったら、近隣オフィスから「目がチカチカして耐えられない」と訴えられ、壁は塗り替えられたのだった。なので実現は不可能なのではないか。

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