おぼろげなテーマの本を探す楽しみ
古書街・神保町にやってきた。恥ずかしながら、資料集めでここにやってきたのは初めてだ。
5~6件回ってみるが、お目当てのものは「なんかの学習誌っぽいもの」という薄いイメージしかない。あてがあるようなないような感じでフラフラと見ていくうち、なんとなく目的のものに近い分野が集まっている本屋さんを見つけた。別件で1冊買い求め、会計のときに「“未来の世界はこうなっている!”という本に心当たりありませんか」と問うと、数分熟考ののち、「少年クラブ」という雑誌を教えてくださり、それを扱っていそうな本屋さんまで教わった。さすが神保町!ありがとうございます。
少年クラブ、発行は何と「大日本雄弁会講談社」である。何人もの大男が大声で談話しているような社名だったのだ、講談社。
この号は昭和26年12月の発行。終戦から6年しか経ってない。テレビ放送もまだ始まってない、そんな時代に夢見る未来とはどんなものなのか。
その前に、こういう古い雑誌はえてして広告表現や言い回しが気になるものだ。その例にもれず、ここでも特にひっかかったものをお見せしたい。
ここまでもったいぶって脇道ばかり通ってきたのは、目当てのページがこの見開きだけだったからだ。1見開き、3150円の贅沢を見てごらんなさい!
鉄筋コンクリートの建物、全戸に降り注ぐ日光、舗装道路、スポーツグラウンド、通学バス・・・「夢みたいな話」と書いてあるが、当時からしたらまさにこれが未来の街だったのだろう。ここに描いてあるもの全てが、夢の生活。これを描いた人、読む子らの気持ちを想像したら、少し何か胸に迫るような気持ちがする。