旧北九州空港の思い出
福岡県にある政令指定都市「北九州」。本州から陸路で九州に入れば必ず北九州を通ることになる。空路で訪れるなら北九州空港を使う。現在の北九州空港は2006年に開港したものなので比較的新しい。
「現在の北九州空港」と書くからには、前の北九州空港もあったわけだ。それは1944年に大日本帝国陸軍の曽根飛行場として開港し、1961年より民間飛行場となり、2006年3月15日に閉鎖されたものだ。今とは異なる場所にあった。
旧北九州空港があった頃、私は北九州に住んでいた。その空港から飛行機に乗ったことはないのだけれど、行った記憶はある。たぶんそれは1991年のことで、日本エアシステムの東京便が就航された時だ。記念品として小さなバッグをもらった気がする。
今はもう新しい北九州空港を使うのが当たり前で、旧北九州空港のことなんてすっかり忘れていた。しかし、北九州に住む父が病院に行った、と言うのでどこにあるの? と聞くと「昔の空港のところ」と言うのでその存在を思い出したわけだ。今はどうなっているのだろうか。
空から感じる名残
現在の北九州空港の最寄駅は「朽網駅」なのだけれど、駅から歩いて行くにはかなりの時間がかかる。しかし、旧北九州空港は最寄駅の「下曽根駅」から歩いて10分ほどの距離にあった。駅から近いのだ。
空港までの道には、基本的には古い建物が並び、たまに高いマンションが建っている。とても懐かしく感じる。この近くに子供の頃の私は住んでいて、母と買い物に行くためによく歩いた。アライグマのいるスーパーもあった。今はもうアライグマはいない。
古い建物が並ぶエリアが突如として終わる。舞台の場面転換のように急に新しい建物が視界の全てを占める。このエリアが旧北九州空港のあった場所だ。低い建物が多いけれど、どれも比較的新しい。
上記は2009年の旧北九州空港だ。閉鎖された後のものだけれど、当時の北九州空港の様子を知ることができる。滑走路の左端に見えるターミナルビルが先の病院がある場所になる。この病院は2011年にできたものだ。
2013年の航空写真を見ると、滑走路があった場所に建物ができていた。ただ一直線に伸びた道路などに名残を感じる。その道を実際に歩く。
滑走路のいま
一直線に伸びる道を海の方へ向かって歩いた。海の方ということは着陸する飛行機が入ってくる場所だ。飛行機は海から入ってきてターミナルビル(現病院)の方に着陸する。
滑走路は現在、産業団地になっていた。私がよくお世話になっているプリントパックもあった。
少し離れると北九州工業団地もある。北九州工業団地は空港が閉鎖してからできたものではなく、塩田があった場所に昭和30年代にできたものだ。
空港跡地は産業団地になり、その周りは昔から特に変わりなく工場があるというわけだ。それが今の旧北九州空港ということになる。産業団地の方(滑走路だった場所)にはまだ空き地もあるようなので、これからまた新しい建物ができるのかもしれない。