庚申待というイベントをやってみている
庚申待(こうしんまち)は、60日に一度ある庚申の日にみんなで徹夜をするという江戸時代に流行したイベントだ。
それが楽しそうだということで、みんなでJOYSOUNDのVIPルームを借りて、庚申待と称して一人ずつ話をしようということになったというのが前回の記事だ。
ここまでの話の内容はこんなふうだった。
・庚申待ちってそもそも何?
・民俗学者によるお酒の話
・珍しい庚申塔コレクション
今回は、土地家屋調査士の話、そして東京にある仙川という街の話だ。会場は引き続きJOYSOUND 品川港南口店のVIPルームである。
小金井さんによる土地家屋調査士の話
つぎは土地家屋調査士である小金井美和子さんによるのお話。
小金井さんは、もともとマンホールの蓋や地面に埋まっている基準点などが好きで「マツコの知らない世界」でマンホール蓋の話をしたりもしていた。
基準点は測量をする際の基準となるものだが、小金井さんは趣味が高じて測量士の勉強をして資格を取った。さらにそこから土地家屋調査士(測量と法律の知識が必要)の資格をとり、実際に仕事をしているというすごい経歴の持ち主だ。
境界標は土地の境界を示すもので、土地家屋調査士が測量をした上で埋める。小金井さんの話は、そんな土地家屋調査士のお仕事についてだ。
土地家屋調査士は何をするのか
小金井:わたし土地家屋調査士っていう仕事をしてまして、どんな仕事かというとこれがまず土地の登記簿なんですね。
会場では実際に小金井さんが関わった登記簿を見せてもらったが、ここではサンプルを示した。(※登記簿謄本そのものは誰もが法務局で入手できる公的なものです)
小金井:所在と地番が書かれていて、畑を宅地に地目変更しましたよみたいな土地の履歴と、誰が権利を持っているか、どんな抵当権がついているか、みたいなことが書かれています。
会場:よくドラマに出てくるやつだ。
確かにNETFLIXの「地面師たち」というドラマにも登記の話がしょっちゅう出てくる。
小金井:この一つの登記簿に二つの専門職が関わってます。私がやってる土地家屋調査士はこの「表題部」という部分を登記する役目です。
小金井:その土地がどんな形でどんな面積で、宅地なのか畑なのかといったことを判断します。いっぽうで・・
小金井:この権利部って書いてあるところは権利関係なので司法書士が埋めるんですよ。
会場:ほー
小金井:よくあるのがこんな例です。親御さんが土地を持っていて、二人の兄弟が相続する。じゃあ土地を二つに割ってお互い持ちましょう。そういう場合、まず全体の土地を測って、半分に切って二つの土地にして、それぞれに相続登記と所有権移転登記をしたりします。
会場:ありそう
小金井:そういうときに、土地を測って半分に割るまでが土地家屋調査士の仕事で、相続登記とか所有権移転登記を司法書士がやります。必要な知識が違いすぎるので、二つの専門職が一枚の書類に関わっています。
会場:なるほど!大変なんですね・・
測量した結果を地積測量図にする
小金井:それで実際に測った図面が地積測量図っていうものです。
会場では実際に小金井さんが関わった図面を見せてもらったが、ここではサンプルを示した。(※地積測量図そのものは法務局で誰もが入手できる公的な図面です)
小金井:(境界を表す点に)こんなふうに一点一点に座標が付与されています。
会場:これって測るための道具は専門のものがあるんですか?
小金井:トータルステーションっていう、よく三脚に乗ってるやつですね。
(Harri Blomberg - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0)
会場:二人がいて、覗いてるやつですね
小金井:そうです!街には基準点というものがあって、それが一個一個座標を持っているので・・
会場:一番近い基準点から引っ張ってくる?
小金井:そうです、そういうことをやってます