特集 2023年10月6日

今日は1日おかゆですごす

スーパーで、冗談みたいなサイズのおかゆを発見し、思わず買ってしまいました。これもきっと運命。今日は1日、おかゆですごしてみようと思います。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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「特盛」というワードがもっとも似合わない料理

スーパーで、冗談みたいな商品を発見したんです。

なにはともあれ、まずは見てみてください。

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「特盛 白がゆ」

ね? もう、なんとも言えないでしょう。

そりゃあもちろん、体が弱っていて、おかゆくらいしか食べられないんだけど、食欲自体は異常にあるという人もいるかもしれない。もしくは、3人家族で一気に風邪をひいてしまい、この商品がちょうどいいというタイミングだってあるかもしれない。

けれどもやっぱり、「白がゆ」と「特盛」というワードを同居させることの違和感。さらになんというか、「情報さえ伝わればいいだろう」という感じの、若干なげやりなパッケージデザインが、たまらなく愛おしくないですか?

買うでしょうこれは。値段は200円ほどでした。

で、買ったはいいけど、自分の人生において、上記のようなタイミングはなかなかやってこない。つまり、積極的に消費しにいかなければ、なんだかんだ食べずに持てあましてしまう可能性が大いにあるわけです。

そこで一念発起。ふだん暴飲暴食をしがちな僕。今日は1日、おかゆだけですごしてみるのはどうだろう。ちょうど3食ぶんあるわけですし、朝昼晩と分けたらちょうどいいじゃないですか。

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スマホと比較するとこのくらい

では。

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まずは朝ごはん

パッケージを見ると、封を切らずに湯せんで温めることが推奨されていますが、それってどんだけでかい鍋が必要なのよと。

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このイラストのサイズ感じゃないだろうと

いうわけで、目分量で1/3ほどを鍋にあけ、直接温めてしまいましょう。

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ぐつぐつぐつ
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おかゆ!

この時点で味見をしてみますと、まず、塩気などの味つけは一切なしですね。完全なる無味がゆ。

たとえば風邪をひいたときに、家族におじやを作ってもらって食べる、なんてことは近年もあったものの、こう本格的なおかゆを食べたのっていつ以来だろうか。あらためて食べてみると、おかゆってもう、個体と液体の中間くらいの存在ですね。米の原型は3割くらいしか残っていなくて、ぺたぺたっとした、とろとろっとした、「飲むごはん」って感じの食感です。

ただ、それだけに味がダイレクトに伝わってきて、お米の甘味がはっきりと感じられて美味しい。

よし、朝食はシンプルにいこう。

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「梅がゆ」

ちょうど家に、買ったばかりのちょっといい梅干しがあったので、それを中央にのせて梅がゆに。

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美しい

うんうん、ものすごくシンプルなおかゆの味で、梅干しの酸味や甘みや香りが最大限に引き立てられ、体が喜ぶわぁ〜っていう味わいです。朝食には、最高ですねこれ。

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昼がゆは大好物の……

さてお昼。

また梅がゆっていうのも味気ないですし、さてどうやって食べよう。僕はカレーライスが大好物。そこで、カレーライスならぬ「カレーがゆ」なんてどうでしょう。どんな味や食感になるのか、想像つかなくて楽しそう!

というわけで、またまたおかゆを温めて、そこにレトルトカレーと福神漬けをよそって、

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カレーがゆ

ちなみに、レトルトカレーは最近ハマっている、S&B「濃厚好きのごちそう 120時間熟成デミグラスの牛ほぐし肉カレー 中辛」を使用しております。

でまぁ、もちろんこれだけでもいいんだけど、もうちょっとパンチを加えちゃいましょうか。午前中にスーパーに買いものに行った時、買っておいたんです。なにを? って、メンチカツを。つまり、こういうこと。

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「メンチカツカレーがゆ」

よし、未知の食べものだ。当初の「ふだん暴飲暴食しがちな胃を休める」というテーマは早々にどっかいってしまいましたが、いいんです。僕は、とにかく未知の食体験が好きなので。

メンチカツカレーの土台が、白メシじゃなくておかゆ。こんなの、誰だって人生で一度くらいは食べてみたいメニューじゃないですか。

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いただきます

おぉ、おかゆ×カレーは、不思議なカレーリゾットのような、なんとも形容しがたい味わいではありますが、当然美味しいです。味の組み合わせ的には間違いないもんね。

さて、メンチはどうか。と、スプーンを差し込んでみると……。

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沈む

そう、ごはんと違って、簡単に沈んでしまうんですよね。それでもなんとかひとかけ削りとり、カレーがゆとともに食べてみると、あ、ぜんぜんちゃんと美味しい。ハードなザクザク衣と、究極に食べやすいとろとろがゆの食感のハーモニーが笑える。

ただし、

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ふた口目からは完全に埋没

ここからは、メンチを食べたければ手探りで、というゾーンに突入します。そして最終的には全体が混ざり、どんどん薄ぼんやりとした味に変化していってしまいました。

みなさま、やっぱりカレーを食べるときは、おかゆじゃなくて炊いたお米がおすすめです!

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ディナーは豪快に

さて、早いものでもう夕食の時間。おかゆだからと言って妥協はしたくない。夜は豪快に、肉料理と一緒におかゆをほおばりたい!

そこで思いついたメニューがあるんですが、まずは作っていっちゃいましょう。

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フライパンでにんにくを炒めて

ガーリックバターライスならぬ

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ガーリックバターがゆ

を作ります。

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そしたらお皿に盛っておいて

牛のこま切れ肉を、これまたにんにくをたっぷり加えて焼いていく。

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味つけは醤油などでてきとうに

そしたらそれを、

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ガリバタがゆにのせ
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コーン缶も醤油味に炒めて

先ほどの丼にのせ、

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「ペッパーランチ風がゆ」

なんてどうでしょうか?

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ビールを用意して、いただきます

さてどうだ!

まずはガリバタがゆ。あ〜、これはいい違和感ですね。流動食状で究極に食べやすいのに、ニンニクやバター、さらに牛肉の風味もガツンと加わっていて、優しいんだか優しくないんだかよくわからない味。パンチを売りにしてる病院食というか。

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頭が混乱する

さらに食べすすめてゆくと、もはやおかゆというか、米の存在感が消え失せてしまい、よくわからないけど「次に流行る韓国グルメ」みたいな味わいになってきましたよ。

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「飲める焼肉」的な

この料理のどこに、ふだんの暴飲暴食を労わる要素があるのか、自分でもまったくわからないのですが、ただ、なんとなく癒された気がすることは確かでした。


おかゆデー完走

以上、大容量のおかゆを買ったのでそれを食べつつおだやかに1日を過ごそうとしていたけれど、いろいろ試したくなってしまったある日の記録でした。

おかゆってけっきょく、我々人類にとって、どんな存在なんでしょうね? よけいにわからなくなったけど、確実に楽しく、なんだか癒された1日でありました。

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