たいま?おおぬさ?はらえぐし?
七五三や厄祓いなどの神事の様子を見たことがあるだろうか。
祝詞を奏上したり神様にお供物を捧げたりと、式中には規則によって定められた様々な動きがある。
それら行事のなかでも、はじめに行われる「修祓(しゅばつ)」は特に重要と考えられている。
修祓とは神事の執行にあたり神様に失礼のないよう、心身の穢れを祓い除くために行われるもので、その起源は黄泉国から命からがら逃げ帰ったイザナギノミコトが海でその身を清めた故事によるとされる。
明治以前は多様な祓い清めの方法が用いられていたようだが、現代の祭式における修祓では大麻(おおぬさ)と塩水による祓いを行うのが一般的である。
先にも書いたとおり、大麻とは祓い清めのためにばっさばっさと振る棒のことだ。
敢えて「ばっさばっさ」という言葉を使ったが、これは不浄を拭いとるための作法なので大麻は優しく動かすのが本義であると聞いたことがある。
しかしあまりに優しく振ると「頼りないな…」などと参拝の方から思われるかもしれず、かといってパフォーマンス的に音を立てるのは本来の作法と違うしな、うう、どうすればいいんだ!というジレンマがあるのだ。
また、神社まわりの品には「大麻」と表記されるものがいくつかある。
上に引用した3つの神具はすべて大麻(おおぬさ)と呼ぶ。
右ふたつは榊の枝に麻や紙垂をくくりつけたもので、左は白木の棒に紙垂を付けたものである。用途はどちらも同じで、先に説明したようにお祓いの際に用いられる。
モノとして見比べたときには生枝と棒なので結構違うが、どちらも呼び名はオオヌサである。榊の枝のほうを「榊大麻(さかきおおぬさ)」、白木棒のほうを「祓串(はらえぐし)」と表現すれば言いわけができる。
今回紹介するのは祓串のほうだ。
私のいる神社では日々の祈願の際などは祓串を使い、重要な祭典ごとや地鎮祭などでは榊大麻のほうを使っている。榊の方は木から切り取って生枝を用意する必要があるので、常備しておくのが大変なのだ。
また「大麻」と表記されるものがいくつかあると説明したが、全国の神社で頒布されている伊勢の神宮の御札は「神宮大麻(じんぐうたいま)」という。それにならい各社も御札をタイマと呼ぶことが多い。
このまま大麻の語源についても説明をしたいのだが記事が長くなってしまうので、各自ググってもらいたい。
ざっくり言うと「麻・幣(ヌサ)」は神様への供物のことで、「大」の字はヌサを修飾する美称だ。それが時代を経て祓いの道具やお札のことを示すようになったのである。
用意するもの(根性で揃えよう!)
ここからは具体的な祓串の作り方を説明していこう。
基本的にネットショップなど手に入るもので作ることができるのだが、amazonで完成版の祓串を買うこともできるので(!)、はじめはそちらを購入するといいかもしれない。
また、祓串の形状は神社や神職によって異なるものであり、今回紹介するものはその中でも少し特殊であることを先にお断りしておきたい。
それでは用意するものを以下に載せよう。
・大判の厚紙(今回は39cm×53cm) 1枚
・薄手かつ丈夫な和紙 (今回はB4版改良紙) 50枚
・こより紐 20本ほど
・麻苧(麻でできた紐)
※紙類は手に入るものでいいと思います。麻はハードル高そうに見えますが、意外とネットで簡単に手に入ります。
・カッター、ハサミ
・カッターマット
・定規
・目打ち
・クリップ
・柄にする白木の棒(90cmほど)
・上の棒を立てる台座
※上の画像のものは既製品ですが、ホームセンターなどで好きな材を買ってきても遜色なく作れると思います。
ちなみに完成したものがこちら。これを目指していきます。