変わりゆく沖縄にて
数年ぶりに沖縄に行く機会があった。


しばらく来ないうちにモノレールが延伸していたり昔ながらの市場が様変わりしていたりと変化の速さに驚いた。
観光の中心である国際通りを歩いてみても、前に来た時から多くのお店が入れ替わっていて、なんだか知らない場所を歩いているみたいである。
花笠食堂
そんな中、まったく変わっていない場所もあった。
たとえば花笠食堂である。

花笠食堂はDEEokinawaにも登場しているので読んでみてほしい(沖縄の食堂にある「煮付け」とはどんなメニューなのか)。
僕が初めて沖縄に来たのは20年くらい前だと思うのだけれど、花笠食堂は当時もたしかこの場所で、いまと同じ佇まいで営業されていたような気がする。この場所でこのディスプレーを前に(沖縄すげえ)と言葉を失ったのが昨日のことのように思い出される。



沖縄で暮らすことを決め、家を探しに来た時、この近くのゲストハウスでしばらく暮らしていた。
そのゲストハウスはなぜか夜になると泡盛が飲み放題だったので、同じ宿に寝泊まりしていたお客が買ってきた総菜とか弁当なんかをつまみに、泡盛を飲みながら夜中までぐだぐだしたものである。滞在中には相撲大会もあった。
もう疲れるから若いころに戻りたいとかそういう気持ちはほとんどないのだが、あの期間に限ってならば、ちょっと戻りたいかもしれない。
その時に花笠食堂でゴーヤチャンプルーを食べたような気がするのだ。というか当時は沖縄料理といえばゴーヤチャンプルーか沖縄そばくらいしか知らなかったので、どこへ行ってもどちらかを食べていた。


お昼をすこし過ぎた時間帯だったのだけれど、テーブルは地元の人らしきお客でほぼ埋まっていた。
壁の向こうに厨房があり、小さな小窓を通してオーダーと出来上がった食事とをやり取りする。


20年前に戻った気分でゴーヤチャンプルーを注文した。
沖縄のゴーヤチャンプルーとは
ここで説明しておかないといけないが、たとえば東京の沖縄居酒屋なんかでゴーヤチャンプルーを注文するとゴーヤチャンプルーが出てくるだろう。
いまあたりまえのこと言ったように聞こえたかもしれないが、沖縄ではそれは間違いである。
ゴーヤチャンプルーを注文すると、たいていいろいろついてくるのだ。花笠食堂の場合、赤飯とそばと冷やしぜんざいが付いてくる。

そんなバカなと思うかもしれないが、実際にゴーヤチャンプルーを注文した僕の前に提供されたのがこちらである。

ひとつずつ説明しよう。




以上が花笠食堂におけるゴーヤチャンプルーである。850円。
どうだ住みたくなっただろう、当時の僕はなったし、なんなら今も住みたくなってる。


花笠食堂、最高だった。
僕が食事をしている途中でお店に電話がかかってきた。
「あい、あい、予約?それはできないから、みんなでお店に来てもらってね、あい、よろしくお願いします。」
電話を置いたお店のおばちゃんは、同僚に自分ちの息子の自慢話をしていた。花笠食堂はいつもここにあるので予約とかいらないのだ。

変わりゆく沖縄、変わらない沖縄
最初にも書いたが、沖縄はいますごい速度で変化しているように思う。愛知にある僕の実家のあたりなんて、30年くらい景色が不変なのに、沖縄は来るたびに新しくなっているのだ。
ただ、花笠食堂みたいにずっと変わらないものももちろんある。こういう「流れ」とそれにあらがう「石」みたいなものを毎回感じられるのも沖縄の好きなところかもしれない。







今回は時間の都合で近くをさっと歩くだけの沖縄滞在だったが、いつ来ても沖縄は懐かしいしエキサイティングだし美味しいし面白いのである。
次に花笠食堂に行ったらスペシャルランチを食べようと思います。