特集 2024年8月23日

青森の激甘とうもろこし「嶽きみ」を生で食べたい

とうもろこしのとっても甘いやつは、生でもいける。とか、生で食べてもおいしい。という話をよく聞く。

青森県の弘前に「嶽きみ」とか「嶽のきみ」と呼ばれるブランドとうもろこしがあり、今まさにシーズンらしいので、生のとうもろこしを求めて現地に向かった。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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今まさに旬のとうもろこし「嶽きみ」

津軽平野の南側にある岩木山は他のどの山脈ともつながっていないので、山の周りにはゆるやかな高原が四方に広がっている。

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弘前あたりからみた岩木山。超広角なので小さく見えるが、道路の先にある雲を頂いた山が岩木山

岩木山の南側の高原、嶽高原(だけこうげん)で作られるとうもろこしは、8月の中旬から9月下旬にかけてがシーズンで、今がまさに旬だ。

このとうもろこしは嶽のきみとか、嶽きみと呼ばれている。きみとは唐黍(とうきび)のことで、とうもろこしをさす津軽弁だ。
嶽とは岩木山のことを指すので、嶽きみはさしずめ「岩木山のとうもろこし」といったところだろうか。

インターネットで嶽きみを検索すると、糖度がめちゃくちゃ高くメロンより甘いみたいなことが書かれている。そして「生でも甘い」とある。

とうもろこし、メロンより甘いというのはわかる。確かに甘いから。でも、あの甘さって茹でたり焼いたりしてあれだけ甘くなるものなんじゃないのか? 生でも甘いというのは本当だろうか。ぜひ、生のとうもろこしを食べてみたい……。

というわけで、嶽のきみの本場である、弘前市の百沢にやってきた。

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弘前市百沢地区の中心地

この季節、百沢では岩木山神社から嶽温泉にかけての青森県道3号線沿いにとうもろこしの販売所が軒を連ねており、さながら「嶽きみロード」のようになっているらしい。

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青森県の左下の方の拡大図です
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確かに、生でも甘い。らしい

百沢には岩木山神社という大きな神社があるので、まずは立ち寄ってお参りしておきたい。

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奈良時代から続く由緒ある神社

岩木山神社の御神体は岩木山で、本来なら参道の先に岩木山のてっぺんが見えるはずだけど、この日はあいにく雲がかかっており見られなかった。

とうもろこし販売所に行く前に郵便局で現金を引き出しておかなければいけないので、お参りが済むと今度は近くの百沢郵便局に向かう。

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百沢郵便局

現金をおろしたついでに、風景印を押して貰う。その時、局員の人に話を聞いてみたところ、偶然にも家がとうもろこし農家の方で色々教えてくれた。

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百沢郵便局の風景印。岩木山、神社の鳥居、りんご。幟旗の後ろはとうもろこし?

局員の人曰く、とうもろこしは夜の暗いうちに実の粒に養分が行くのだが、日が昇ると光合成をはじめるため、実の養分が葉っぱに行ってしまう。そのため、とうもろこしの収穫は基本的に朝の暗いうちにしてしまい、店に並べるのだという。どこの販売所も「朝採れ」を大々的に謳っているのはそのせいらしい。

とうもろこしを生で食べることはあるか聞いてみたところ、もちろんあって、生でも甘くておいしいです……という話ではあったが、普通に茹でたり焼いたりして食べることが多いという。

とうもろこし、生でも甘くておいしいのに、わざわざ茹でて食べる人が多い。なぜなのか。

これはますます生のとうもろこしを実際に食べてみたくなってきた。

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とうもろこし販売所で生のとうもろこしを食べる

岩木山神社からさらに西に少し行くと、とうもろこしの販売所がいくつか並んでいる場所に出る。

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うもろこし販売所のテントが並ぶ
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最初に目についたお店で話をきいてみた

夏の間だけとうもろこしを販売するテントが岩木山の周回道路沿いに並んでおり、どの販売所でも茹でたとうもろこしや生のとうもろこしを売っている。

値段はおおむね一本200円〜400円ほど。その他に地方発送用の箱詰めした嶽きみも取り扱っており、その場で宅配便で発送できるようになっていて、ヤマトや佐川のトラックがひっきりなしに行き来している。

お店の人に生のとうもろこしはあるか聞いてみたところ、このお店では生とうもろこしは売り切れてしまったらしい。ただ、ちょっと虫がついていたため先端をすこしカットした、訳あり品であれば生のとうもろこしがあるという。

先端部がすこし切り落とされているだけで、普通に生でも食べられるし味も変わらないということなので、この訳あり品の生とうもろこしを購入。

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生とうもろこし

生のとうもろこしの皮をバリバリむき、中身をとりだす。

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竹ととうもろこしって、同じイネ科なんだよな……

ショート動画でパンダがひたすら筍の皮をむいて柔らかいところをバリバリ食べる動画を見たことあるけれど、とうもろこしの皮の質感がそれに似ているような気がする。とうもろこしも竹も、イネ科の植物だから似てるのだろうか。

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生のとうもろこし……

もう、これで食べていい……ということになる。意を決してがぶりと食らいつく。

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がぶり
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いろいろと言いたいことはあるが、まずはあまい

いろいろと言いたいことはあるが、まずは「甘い」のと「うまい」ということは宣言しておきたい。生のとうもろこし、たしかに甘くてうまい。なるほど、こんな味か……。

粒ひとつぶずつが、サクッとしており、とっても甘い。シャクシャク食べられて、本当にフルーツだと言われればそう信じてもおかしくない。(野菜とフルーツの定義の話はさておき)

生のとうもろこしは、ゆでとうもろこしに比べてなにが違うのか。
それは、若干の草臭さがあるということかと思われる。

生のとうもろこしは、キャベツの千切りをそのまま食べた時とか、きゅうりをそのまま食べた時のほのかなえぐみ。苦みを感じさせる草っぽさを、甘みの向こうに感じる。

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生でもこんなにうまいのか……

販売所の人は、生で食べるとどれぐらい甘いのかがよく分かるので、生食することはあるという。

「やはり、生でもよく食べるんですね?」

「いや、普通はゆでて食べますね」

……とうもろこしは、ゆでるなり蒸すなりの加熱処理を行えば、粒のプリプリ感が増して食べやすくなる上に、なにより青臭さが抜ける。
きゅうりもそのままでも食べられるけれど、塩漬けなりなんなりして調理したほうが食べやすくなる感覚に近いかもしれない。

⏩ 実はもう一つの未体験、焼きとうもろこし

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