北海道の形が描いてあるとおいしい
北海道チーズ蒸しケーキがなぜおいしいのか考えてみた。
味、香り、食感が良いのはもちろんのこととして『北海道の形が描いてある』という点も大きいのではないか。
北海道の形がある → 北海道のチーズを使っている → おいしい
こういう理屈になるわけだが、北海道産というブランドの間違いのなさにより、
もはやこういう脳の回路が僕たちにはできあがっていると思う。
魚介、肉、乳製品、野菜、果物、なんでもおいしい北海道を、体験したり伝え聞いてきた結果なのだろう。パブロフの犬状態である。「北海道産!」「おいしい!」「北海道産!」「おいしい!」を繰り返した結果、「北海道の形!」「おいしい!」にまで到達したのだ。
ちょっとおいしそうになる
だから北海道の焼印を作って色んな食べ物に押してみた。
材料が北海道産だから、とかそういう関連はない。ちょっとおいしくなる工夫として、北海道の形を焼き入れるのだ。
ここに時間がかかったのだがその様子はあとで紹介するとして、まずはこれを押すとおいしそうになるかを確かめていただきたい。
コンロの火で真鍮を熱して押す。
なった! ちょっとおいしそうになった!
バターとハチミツで食べた。気持ちが盛り上がりおいしく感じる。そしてこの焼印の部分が香ばしく、生地の他の部分とのアクセントになっていて実際ちょっとおいしい。そう、2割増しくらいだ。
北海道には旅行で一度行ったことがある程度だが、この形を見て漠然と北海道のことを思い「そりゃあおいしいよなあ…」としみじみしながら食べた。「そりゃあ」の部分に何も中身はないのだが、それでもやはり、なんか良いのだ。北海道のこの形があるというのは。
北海道チーズ蒸しケーキになれるだろうか。
どれも手に取る際に「お…!」と少し気持ちが盛り上がる瞬間があり、食べるとその気持ちを裏切らないおいしさがあった。パンもハムもはんぺんも、どの食べ物もちゃんと少しおいしくなるのだ。これが北海道の包容力だと思った。
焼印の作り方
このように色々な食べ物を少しおいしくする北海道の焼印だが、真鍮の塊を彫って作った。
先ほど紹介します、と書いたが工程としてはこれだけである。YouTubeに作り方を紹介している動画もたくさんあってとても心強かった。
ただこれがスイスイ彫れるというものでもなく、食品など柔らかいものに押す際はより深く彫っておかないといけない(まな板などに焼印を押すなら1mm程度でいいけど、柔らかい食品だったら2mm程度)という事情もあってとても時間がかかった。
リューターと自分の手を休ませながら3時間半。初めてやる作業だったのだが、やるうちに自分なりのコツが分かってきてすごく楽しかった。ちょっとした力のかけ方でバンバン彫れちゃったり全然彫れなかったりするのだ。
僕の場合、彫りづらいなと思ったら無理にそのビットで進めず、感性にまかせてバンバン取り換えちゃう、という方針がやりやすかった。
そんなことをやっていると、こう彫りたい時はこのビット、というのが分かってきてストレスなく彫れるようになってくる。
「俊太郎にはその作業は向いてないな」とか「邦生、そんな彫り方もできるのか!」とかブツブツ言いながらやると楽しかった。
時間さえあればずっとやっていたい作業で、完成してちょっと寂しいくらいだった。
手作りの焼印はよりおいしい
焼印自体は、データを送って作ってもらうサービスもたくさんあるわけだが、自分で調べて手作りした北海道の焼印は一層おいしそうに感じられた。手作りの料理っておいしいが、手作りの焼印もそれに倣ってちゃんとおいしくなるのだ。
しばらく、平らな食べ物を見ては「北海道の焼印を押せるぞ…!」と武者震いする日々が続きそうである。
失敗のコーナー
失敗のコーナーである。失敗をたくさんしており、本文で紹介していたら話が進まなくなりそうなので最後にまとめて紹介します。
輪郭がぼんやりしてしまう。左右も反転しちゃってる。
ここで覚悟を決めて焼印を作り出した。
このあと厚さ10mmの真鍮を急いで用意し、なんとか北海道ができる。焼印ができて色々押してみるが、うまく押せない食べ物もたくさんあった。
印を押す力加減と時間が大事なのだけど、正解が押す素材によって全然違う。
こうなっちゃうのが一番悲しかった。焦げ付いた部分が取れなかったのでリューターで削った。
以上が失敗のコーナーでした。最後にもう一度、うまくいったやつを見て終わろう。