久々にお金を使うとおもしろい
以上、二千円札を使うと、ちょっとだけおもしろいぞ。ということをまとめてみました。
ふだんあまりみかけない二千円札ですが、銀行で両替してもらって、実際に使うと、違う国にきたみたいになるので、おすすめです。
ぜひやってみてください。
昨今、暗いニュースが続きますが、気持ちだけは明るく持ちたい。
手軽に楽しい気分になれること、たくさんあるとおもいますが、私からは「現金を二千円札に両替する」をおすすめしたいとおもいます。
銀行に行くだけで、ちょっと新鮮な気持ちになれます。
みなさん、二千円札のこと覚えていますでしょうか? 西暦2000年に唐突に発行された紙幣のことです。もちろん、日本銀行の発券する日本で使えるお札です。
2000年の7月に発行されたので、今年でなんと20周年です。二千円札、20周年
20年も前ということは、小学生や中学生のひとは、見たことがないひともいるかもしれません。実物はこちらです。
ふつう、紙幣の表には偉人が描かれることがおおいのですが、なんと二千円札は門。門が描かれています。この門は沖縄の首里城にある守礼門という門です。
紙幣に建築物が描かれることはよくあり、とくに、昭和21年発行の10円札は、メインが国会議事堂でした。
とはいえ、メインに門という、近年のお札にはなかなかなかったチョイスに、スピンオフの主人公こいつにしたんかーみたいな驚きはありました。
2000年には、沖縄でサミットが開かれたんですね。それの記念という意味合いもあったと伝え聞きます。ただ、サミットって、お札にして残すほどのことなのかな。という疑問を、当時の日本国民全員が感じたとおもいます。
話が脱線しました。
裏を見てみましょう。裏には、紫式部がひょっこりはんみたいに顔を出しています。
そして、その紫式部の書いた『源氏物語』から、第三十八帖「鈴虫」の一節と、なにやら男性の公家が二人描かれています。
この男性二人、後ろを向いているのが光源氏(右)で、こちらを向いているのが冷泉院(左)です。(ふたりとも架空の人物です)
この二人、なんで向き合ってるのかというと、冷泉院が、月見の宴をするからと、光源氏を家に呼んだわけです。(冷泉院は天皇を引退し、上皇となっているので、院を名乗っています)
で、実は、冷泉院は光源氏の息子です。しかし、それは公にすることができません。なぜなら、冷泉院は、光源氏が自分の義理の母、藤壺と密通して生まれた子供だからです。密通、今風に言えば不倫ですね。フランス書院文庫で読んだことあるなこういうの。
源氏物語がそういう話だからしょうがないし、日本銀行が発行する紙幣に描かれていることなので、かさねてしょうがない。(興味がある方はこちらのサイトを御覧ください)
なお、下の文章は「鈴虫」の冒頭で、この絵のシーンとは直接関係がありません。
しかし、なぜこんな小学生に質問されたら答えに窮するようなシーンが採用されたのでしょうか。財務省のホームページをみると……。
とありました。千年前の文学作品であれば、清少納言の『枕草子』でもよかったような気もしますが、恋愛小説の一節が紙幣に書いてあるというのは、それはそれで面白いな。という気もしてきました。
たぶん一生そんな機会はないだろうけど、もし、外国人に二千円札の裏の絵の意味を説明することがあったら、ちょっとウケるかもしれません。
そして、みなさんに朗報です。世田谷の上野毛にある五島美術館には、この二千円札の元となった『源氏物語絵巻』が収蔵されているそうです。残念ながら、3月23日まで閉まっているのですが。
さて、二千円札に関するうんちくはこれぐらいにして、二千円札を手に入れてみましょう。
二千円札は、あまり手にはいりません。沖縄のATMだと二千円札が出てくるという話は聞きますが、沖縄以外のATMではなかなかでてきません。というわけで、窓口のある銀行にいきます。
銀行では、お金の両替ということをやってくれます。たとえば、一万円札を千円札10枚にするだとか、10万円をピン札の一万円札10枚にしてくれたりします。そこで、持っている現金を二千円に両替してもらうわけです。
一時期、意味もなく、もらった給料やギャラをすべて二千円札に両替してから、貯金するということにハマっていた時期があり、そんなときに撮った記念写真が写真フォルダにいくつも残っています。
まあ、何やってんだという話ですが、これがなんというか、豊かな気持ちになれるのです。お金が、しかも子供銀行とかじゃなくて、本物のお金が、どっさりあるという気持ちの豊かさ。これがあると、些細なことはたいてい許せてしまうようなきになります。NHKの集金もこのタイミングで来てたら、余計に払ってたかもしれません。
しかも、単にお金の数を増やしたいのであれば、千円札でもいいわけですが、二千円札というめったにみかけないお金であるのもポイントです。千円札のような普段よく見かけるものではなく、めったにみかけない二千円札が何十枚もあるというのは、ご褒美感が高まるのです。
ところで、一万円札を100円とか500円の硬貨にするばあいは、銀行に自動両替機というものがあり、それで両替できたりしますが、二千円札は自動両替機で両替できないことが多いです。
そこで、窓口で両替依頼書という用紙をもらい、記入して二千円札を両替してもらいます。が、ここで気をつけたいのは、手数料です。各銀行で微妙な差はありますが、どの銀行も両替する枚数により、いくらか手数料がかかります。
しかし、ふざけて、一万円札を二千円札5枚にするのに手数料を数百円も取られてしまうのはちょっといやです。こういうときは、キャッシュカードを持っている銀行に行けば、ある程度までは無料で両替してもらえます。
ただし、数年前までかなりの枚数の両替が無料でできていましたが、年ごとに両替できる枚数はどんどん制限されていき、今では無料でいちどに両替できる枚数は10枚だけになってしまいました。(銀行によって差があります)
さて、二千円札といえば、自販機で使えないとか、券売機で使えないといったイメージを持っているひとも多いかも知れません。しかし、最近は二千円札対応の自販機や券売機も多くあります。
ジュースの自販機はもともと紙幣は千円札までしか受け付けないものが多いため、やはりつかえないままですが、駅の券売機は、たいてい二千円札に対応しています。
立ち食いそば屋や食堂の食券機も、最近は二千円札に対応しているものが多くなっています。
もっとも、最近は駅の券売機で現金を扱うことはほぼ無いので、使えても使えなくてもどうでもいいかもしれませんが。
二千円札を使うと、たまにウケることがあります。ちょっといやらしい感じもしますが、めちゃくちゃ喜んでくれるので、こちらもなんだかうれしくなってしまいます。
以前、大分で現金しか使えないタクシーにのったさい、代金を二千円札で払ったところ「うわー、めずらしい! 始めてみた!」と、めちゃくちゃ喜んでくれた運転手さんがいました。「これは使わずにとっておいて、孫にみせる」と、おおげさなことをいうので、銀行行けば両替してもらえますよ。と伝えましたが「いやー、大事にします」といっていたので、ひとのはなしをあまりじっくり聞くタイプのひとではなかったのかもしれません。
あと、飲み会の会費を集めるときに出すと、ややウケします。中には、めずらしいといって、自分の持っている2千円と両替して持って帰るひともいます。
しかしながら、やはり不便なこともあります。例えば、ふざけて外国に現金を全部2千円札で持っていったことがありました。
空港の両替所でいざ両替しようとすると、「こんな金は見たこと無い」といって、どの両替所でも両替を拒否されました。必死に「トゥルー! ジャパンマネー!」と訴えてもだめでした。
日本語が通じないひとに向かってふざけても、冗談が通じないことが往々にしてあるので、気をつけてください。
以上、二千円札を使うと、ちょっとだけおもしろいぞ。ということをまとめてみました。
ふだんあまりみかけない二千円札ですが、銀行で両替してもらって、実際に使うと、違う国にきたみたいになるので、おすすめです。
ぜひやってみてください。
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