旅行がへた
旅行がへただ。
というか、まずあるだろう、旅のうまい・へたが。うまい人は適切な場所へ適切なルートで適切な時間に理想的な行動することができるとしたら、へたな人はその逆だ。適切で理想的な選択がなんなのかわからないのだ。
ぼくは台湾に行ってお昼を何にしようかという段になって、どうしていいかわからなくてサイゼリヤに行ってしまうほどだ。ぼくの旅力は知力に例えたらおさるさんレベルだと思ってほしい。
失敗も含めて旅なんだからなんでもいいじゃないか、という人もいるかもしれない。そう思う人はこの記事を最後までしっかり読んでほしい。
計画が立てられない
さて今回の目的地は「七戸十和田駅」。聞いたことのない駅だがルール上、電車内で検索は禁止だ。つまり計画が立てられない。
しかし座席後部の網に挟まれた冊子を読む。これは検索ではないからOKだろう。冊子には東北の路線図が載っていることに気がついた。これはなにかヒントになりそうだ。
マイナスのヒントだった。地図を見ると七戸十和田駅のまわりに在来線が通ってない。どこにもいけない気がしてきた。駅前でポツーンと立っている自分を想像した。恐ろしすぎる。
だが、その次のページをめくると氷瀑が見どころだと書いてある。シャトルバスがあるそうだ。
こういう自然があるなら満足できそうだ。たとえ周りに何もなかったとしても、自然を楽しむ方面で旅程を立てるのもいいかもしれない。すこし安心した。
見どころを細かく拾っていく
まずこちらをご覧ください。
新幹線の車内から見た七戸十和田駅周辺には民家もなにもなかった。さっきの安心、やっぱりなし!
ここに12時過ぎから6時間である。細かいところを拾っていかないと記事も書けないかもしれないと思い、駅のホームに着いてから焦って妙な写真を撮っていた。
道の駅とイオンだけがある
さて、これからどうするか。駅の観光案内所で、このあたりになにか見るものはないかと聞いてみると、町の美術館と道の駅以外には「特にない」とのことだった。グーグルホームでいうところの「すみません、お役に立てません」のようだった。
「どれくらい時間ありますか?」と聞かれたので4,5時間ですねと答えると「……けっこう…ありますね」と言われてしまった。七戸十和田駅周辺で4,5時間はけっこうあるようだ。本当は6時間あるというのに。
加えて、十和田(歩いては行けない)まで行けば美術館などがあるらしいことと、歩いて30分くらいのところに手作りジェラートが食べられる店があることも教えてもらった。
十和田は問題外としてジェラートか。季節の問題があるな。うーん決めた、行かない! 行かないことにした。
読者の中にはこう思う人もいるだろう、他に行く場所もなさそうなんだから行きなさいよ、と。それに対して僕はこう答えるしかない。「そりゃ、そうなんだけど……」
ともかく十和田やジェラートには行かないと決めたのだから、あとは道の駅と駅からすぐ見えるイオンでどのくらいがんばれるかの勝負になってくる。
記念写真を撮ったあと、ため息を付いて歩き出した。ため息のために吸う空気が美味しいのが腹が立つ。しかし何が起こるかわからない。まずは道の駅に向かってみよう。
道の駅へ
道の駅は新幹線の駅から歩いて5分くらいのところにあった。近くて便利だと思う反面、もうすこし遠ければなにかいいスポットが見つかったのではという思いもあった。難しいところである。
道の駅は平日昼間にも関わらずお客さんで賑わっていた。地元の人がふつうに買いに来ている様子だった。
個人的に気になるのが、道の駅で売られている野菜などの生産者の名前。珍しい名前の方がいるので観察する。
珍しい名前「熊内トツゑ(仮名)」とか「大日向ハサ(仮名)」とか書かれているのを見ると、かなりご年配の方が元気に農産物や漬物を作っているのだなあと推察される。だってネーミングセンスがどう考えても現代ではない。道の駅の一つの見所だ。
…などと楽しんでもまだ5時間ある。
お昼も過ぎてお腹も空いてきたので道の駅の食堂で一息つくことにしよう。
頼んだのはこの山菜そば。麺の細さがバラバラだな…手打ちそばか、と思いながら一口食べてみる。すると期待する以上に蕎麦の香りが高い。おいしい田舎そばだ。
温かいそばにしたが冷たいほうで食べても良かったかもしれない。
もっとそばを食べたいと思ったものの、もう一杯頼むにはお腹が膨れていたので、サイドメニューの欄にあった「そば串もち」を頼んだ。
表面には「じゅねタレ」という、えごまと味噌を混ぜたものが塗られていた。
お腹も膨れたのでイオンに向かおう。
イオンへ
まだ時間はたっぷりある。ポジティブに捉えてみよう。イオンに行く時間がたっぷりあると。身支度をしてイオンへ向かう。
途中、こんなのがあった。
道の駅とイオンの間に倉庫のような建物があった。しちのへ秋まつり山車展示館と書かれている。アクリルの扉から中を覗くと山車が置かれていた。
入り口は→と書かれていて、いかにも入れそうな展示館だったが、ドアには鍵がかかっていて入れなかった。この新幹線置き去りの旅、どこかしら入れない率が高い気がしている。
そういえば平日の昼間である。開いてないこともあるだろうと思い、外からくもりがかったアクリル板ごしに写真を撮ってみた。かっこいい山車が3台くらい設置してあった。
そして再びイオンへ向かう。
駅前にあるけど郊外のイオンらしく、1階しかなくものすごく広かった。
広い。腸を広げるとテニスコート何面分という話があるが、4階建てのイオンも広げるとこうなるのだ。どちらも同じなのに、こっちのほうが「なんでも売ってる!」と感覚が強い。
冷静になるとふつうな気もする。「イオンが広い」で感激できるのはちょっと旅行ハイになっていたからかもしれない。
美術館そして温泉
一通り見たイオンを出て、観光案内所で教えてもらった町の美術館へ向かうことにした。
小中学生が書いた絵の展覧会が開かれていた。中は撮影禁止だったが、近頃の小中学生の絵のレベルがかなり高かった。さすが展示されるだけはあった。もしかしたら七戸のレベルが高いのかもしれない。
さらに道の駅に戻り、もう一度イオンに行く(ここ、特段発見がなかったので文字だけで済ませます)
道の駅とイオンを往復してようやく3時。あと3時間ある。イオンを出てフラフラ歩いていると東八甲田温泉という看板が遠くに見えた。温泉だ!
調べてみると日帰り入浴もできるようだ。行ってみることにした。
中に入ってみると、ふつうの風呂の他に檜風呂とたぶん50度くらいの熱(あつ)湯、水風呂があった。
体を洗ったあと熱湯と水風呂を3往復して出た。交互浴の意味が未だわからないぼくだが、なんとなくだるくなった体がしゃきっとしたような気がする。
温泉を出て残り2時間。何をしていたかと言うと…
残りの1.5時間ずっと道の駅をぐるぐる回ってたらお土産買いすぎました。
下手だけど、それで平気
およそ6時間道の駅とイオンを往復する旅だった。絶対に過ごせないと思っていたがちゃんと時間は過ぎていった。誰かと一緒に行動していたら、その誰かは途中で期限を悪くしたかもしれないが、僕はまったくふつうに過ごせた(疲れたけど)。
イオンと道の駅を往復する旅行。それでも平気なぼくはいつまで経っても旅行が上手にならなそうだ。
その他の感想としてはこうである。
・今になってジェラートが気になっている
・もう一回そば食べれた
・あとで調べたら十和田に行くバスがあった
以上である。
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