特集 2020年1月2日

いわて沼宮内 道の駅で売ってる物の生産者を訪ねる~新幹線の駅にひとり置き去り~

僕は岐阜県の田んぼの隙間で生まれ山の斜面で育ったので、いわゆる田舎と呼ばれる地域がときおり浴びせられる、「何もない」という言葉の重みがわかる。そこには暮らす人がいて、家があって、毎日の生活がある。人がいる以上、ここは何もない場所なんかでは決してないのに。

いっぽうで、自分はいま、ライターとしてのミッションと共にここへ訪れた。どこかへ行って、読者の心をつかむ面白ネタを見つけて、記事を仕立てねばならない。時間も限られていて、車はない。そういう時に口を突いて出る言葉もまた、「何もない…」なのであった。

そういう矛盾を抱えながら、この駅に降り立ったのだ。


※この記事は年末年始とくべつ企画「新幹線の駅でひとりだけ置き去りにされたい」の記事です。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。(動画インタビュー)

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閑散駅

東北新幹線で一駅ごとに誰かが置き去りにされていくこの企画。事前の企画会議で特に話題にのぼった駅があった。それが、いわて沼宮内。

東北新幹線一の閑散駅であり、乗車人数が一番少ない。全国の新幹線駅で比べても、奥津軽いまべつ駅と並びトップ2を争う閑散ぶりだそうだ。

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朝7時、東京駅にて。くじで引き当てたのが
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その、いわて沼宮内行きのチケットであった

ひとつ前の盛岡駅を出たあたりから、車窓の景色をもとに、目的地がどんな町か予測しようと試みていた(到着するまで検索禁止というルールなのだ)。しかし路線はあいにくトンネル続きで、降りるまでほとんどヒントを得られずにいた。そして…

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降ろされた
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ここか…

ホームでは同じ新幹線から降りた子供たちが、迎えに来たおじいちゃんにキャッキャ言いながら抱き着いていた。あるな。ここにはたしかに、人の生活が、ある。

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何度聞いても覚えられなかった「沼宮内」の読み方、「おばけこわくない」に似たひらがな表記を見てようやく覚えた

しかし残念ながら、その生活目線の「ある」は、自分がいま欲しいそれではないのだった。いまほしい「ある」はライター目線のそれで、あいにくその点には若干の不安を感じている。駅から町を見下ろすと、焼肉屋が一軒、薬局が一軒、見える。視認可能な店が、2軒。この町になにか特別なことを見つけて、記事にしなければいけないのだ。

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観光マップには、駅のある岩手郡岩手町の地名はない。

これはもしかして、「ない」ではないだろうか、という不安。

駅の下に観光案内所があった。

「このあたりで観光できるところはあります?」
「お車はないですよね?」
「はい、そうなんです」
「うーん、道の駅は歩いていけますし、美術館も併設されてますけど、それ以外はなにも…」

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道の駅。距離でいえば1キロほどだ

よかった、「ある」。道の駅だ。記事にできそうなところが、ちゃんとあった!

あるにもかかわらず「それ以外は何も」を強調してしまう観光案内所のお姉さんに奥ゆかしさを感じつつ(そしてその気持ちも僕はすごくわかる。なぜなら田んぼの隙間で生まれ山の斜面で育ったので)、ひとまずは道の駅を目指すことにした。

道の駅へ

歩道にはところどころ雪があり、スニーカー履きを心細く思いつつ、歩く。

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駅のすぐそばを一級河川の北上川が流れる。水沢江刺の記事ではあんなに雄大だったのに、上流のここではこんなに小さな川だ
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製材所で丸太が出てくる様子に見入ってしまった
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橋に点々と結ばれているこのリボンは何だろうか
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途中にあったホームセンターは、入り口すぐに鋳物ストーブコーナーが展開されていた。東京にはないコーナーだ
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処分品コーナーに置かれてしまったサイケな動物たち
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これも処分品コーナーにあった、ご飯のカロリーが量れるしゃもじ。無駄にハイテク!
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わ、業務スーパーあるじゃん!!
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これインターネットで見たことある!!
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焼き鳥50本入りの重み!
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近くにあった薬局に移動。揚げパンのクランキーチョコなんて出てたの!?
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くじのクレーンゲームが100円!!(ゲームが下手)
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いわて沼宮内、たのしー!

あの不安はどこへ行ったのか、いつの間にか完全に満喫してしまった道中であった。

もっとも、上に挙げた中で鋳物ストーブ以外はこの土地独特でもなんでもない。しかし人は、知らない町にいるというだけで興奮してしまうものなのである。

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ふつうの自動車道の脇には何か所か、彫刻作品が配置されていて
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この先にある美術館の存在感を小出しにしていた
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ウサギの首、ちょうどペンダントみたいにミノムシがついていておしゃれだった

 

名物との邂逅

そんなふうに寄り道しながらの1キロはすぐだった。
まずは美術館が見つかったが、13時を過ぎていたので食事の後で寄ることにして、いったん素通り。

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美術館の脇を抜けると、道の駅「石神の丘」

大きな駐車場の隣に、野菜や名産品の直売所と、レストラン、そして交通案内所 兼 休憩所がある、つくりとしてはごく一般的な道の駅だ。

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表には干支の木彫りがならんでいた
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ネズミがあかんやつ
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直売所の野菜コーナー。ネバリスター(説明「ねばりは長芋の倍以上」)や、ねばり芋(「長芋と比べてねばり強い」)、姫神芋(「ねばりの強さ、姫神芋>ヤマイモ」)など、ねばる芋がしのぎを削っていた
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アイスかと思ったら凍み豆腐
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珍しいキャベツ焼酎

どうもこのあたりはキャベツが名物らしい。この焼酎は飲んでみたかったが、ここで買っちゃうと重量的に後に響きそうだったのであきらめた。

そしてもう一つ、名物らしきものがこちら。

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ホルモン!

鍋用/ホルモン焼き用の2つにわかれて、冷蔵棚の半分を占めている。

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ホルモン鍋専用麺まである

直売所の商品はすべて生産者がわかるようになっており、このホルモンたちは「佐藤精肉店」「肉のふがね」の2つの肉屋さんからきているようだった。地元の有名店なのだろうか。

ここで、企画の参加者は全員、何かおつまみを買って来ることになっていたのを思い出した。新幹線で食べながら帰るのだ。(ほかの参加者の記事であまり触れられておらず、すっかり存在感の薄いルールになってしまった)

ホルモンもいいけど、焼く場所がないからな…と思い、同じ棚にあったこれを購入。

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牧場直売、パプリカ入りソーセージ
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何がいいって裏面に書かれた使用上の注意が最高だった。「加熱して食べるよう注意書きすることになっていますが」。ルールと本心のせめぎ合い

そしてレストランでお昼を食べて、

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レストランのイチオシメニューのブルーベリーカレー。なにぶん味のケンカでは最強と言われるカレーが相手なのでブルーベリーの存在感は限定的だが、ほのかな酸味は感じられる。イロモノでなく普通においしいカレー

そしていよいよ、美術館を見に行く。おそらくこの記事の最大の見せ場となるスポットだ。

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「石神の丘美術館」
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「本日は休館日です」
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休館日!!

すでにすっかりいわて沼宮内を満喫してしまい何でも楽しいモードに入っていたので、「休館」の文字を見た途端、笑い転げてしまった。アハハ、そうくるのね!そういう展開ね!ゲラゲラゲラー!

…さて、記事どうしようかな…(真顔)。

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目的地を入力してください

すっかり目的を見失ってしまった。とりあえずいったん道の駅に戻るか。

そしてまた、何気なくホルモンの棚をみていると、一枚の貼り紙が目に入った。

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ホルモン焼きのレシピのはしっこに、お店の地図が

さっき2つあると書いたホルモンの生産者の片方、肉のふがね。駅に戻って別方向に行けば、(ここからはそこそこ歩くが)こちらもまた徒歩圏内の距離だった。

もはや他に当てもないのだ。行こう、ここに。

はるかな商店街をもとめて

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駅へいったん戻る道中にあったスーパーにて。やっぱりホルモン系の売り場が広い
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冷凍コーナーにも別途。やっぱこの辺では人気食材なのだ
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照り焼きチキンの切り落としって初めて見た。しかしこれは地域性ではなく、クリスマスの余韻だというのが僕の推理である(撮影日は12/26)

歩きながら考える。道の駅にあった地図には確かに、「大町商店街」と書いてあった。しかし商店街なんてあったかな?

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ふたたび北上川を越えて駅の方に戻る

一回駅に戻って、今度は別の道をたどる。
最初にホームの窓から見下ろしたときには気付かなかったが、行ってみると確かに商店街があった。

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アーケードのあるような商店街とは趣が違うが、確かに数十メートルおきにいろんなジャンルの店が点在している。
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いい看板のバイク屋
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石材店のサンプルの作りこみがすごい
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突然置いてあった、顔
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この光るキジがいろんな店に飾ってあり、なんだろうと思っていたのだが
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ポイントカード加盟店だった
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高低差がすごい

このあたりは土地の高低差がすごくて、商店街と並行に、かなり急な斜面や、崖が走っている。

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歩道橋?と呼んでいいのだろうか、すごい階段

最初は個人宅か会社につながる階段かと思ったのだが、迂回して見てみると上も道のようだったので、上がってみることにした。

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けっこう急で怖い
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老朽化的にも怖い
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のぼりきった。上からの眺め

建物の3階くらいからの眺望があった。

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帰りに気づいたのだが、正面突き当り、下りのときしか見えない位置に貼り紙があり…
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危険なので通るなと書いてあった。

この取材で唯一、肝を冷やした瞬間である。

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ほかにも、家の間にこんな狭い急階段があったり
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こんな金網の階段もあった。工場みたいでかっこいい

土地の高低差すらも満喫してしまう、そんな旅気分なのであった。

ここが俺の天竺

そしてついに、目的地に到着した。

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肉のふがねだ

赤い柱で囲まれた、ひときわ目立つ店構え。建物は年季が入っており、ずいぶん長い間、地元に愛されているのだろう。

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店内。地元密着のお店らしく、肉以外に総菜(肉が入ってなくても)や、お菓子等も売られている。
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焼き用ホルモンにはノーマルのほかにミックス、トロホル、少量サイズなどバリエーションが。
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鍋用も甘口、辛口などいくつか種類がある。

ここまでそこそこの距離を歩いてきたので、個人的には「やっとたどり着いた…!」という感慨がある。
しかしながら、この感慨、なんだかやり場に困る感慨である。

これが観光地なら、じゃあお土産でも!と奮発できそうなものだが、あいにくここは肉屋。主な売り物は要冷蔵品なのだ。新幹線では焼けないし、東京まで持ち帰ると8時間ほど常温輸送なのでちょっと不安。この高ぶり、いったいどこにぶつけたら…。

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その時、見つけたのが、棚の隅にポツンと置いてあったサラミ。

これだ、これを買って新幹線でみんなで分けよう!

しかしなぜかこれだけ値札が付いてないのだ。その時ちょうど店員の女性が奥から出てきたので、声をかけた。

「これ、いくらですか?」
「あーごめんなさいね、これは取り置き品なので、お売りできないんです。」
「あらら、そうなんですか」
「もう一つのお店(支店)にはあるんだけど…。5分くらいだから行ってみる?」
「5分…車でですよね?徒歩なんです。」
「徒歩!」

車社会である。歩いて買い物に来る人などそういないようで、少し驚かれた。

そのあと、東京から新幹線で来たこと、いわて沼宮内で初めて降りたこと、道の駅でお店の地図を見かけ、歩いてきたことなどを話した。

店員さんも、なかなかそんな人はいないということ、それからこのあたりは盆地で夏は意外と暑いということ、ホルモンは昔からずっとこのお店の名物であること、などを話してくれた。

そんな雑談があったのち、結局、さっきのサラミを売ってもらえることになった。「取り置きは大丈夫なんですか?」「また運んでくればいいだけだから」。なんとありがたい!

「肉」

そのあと、お店の写真を少し撮らせてもらって、じゃあこのへんで、と帰ろうとしたとき、「あ、ちょっと待って」と呼び止められた。

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「ちょっと型崩れして売れなくなっちゃったやつだから、タダで持って行って!」とローストチキンをくれた。「またきてね!なんてね」と笑いながら

お礼を言って店を出て、「お店の外観も撮っていったほうがいいわよ」という店員さんの言葉を思い出して、道路の反対側へ渡る。

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あっ、建物の赤い部分、漢字の「肉」だ!

左手にローストチキンのパックを持ったまま、片手で写真を撮った。

クリスマス直後、いろんなところでローストチキンの残り物を見かけた日だったが、ここでもらったローストチキンはまだ作りたてのアツアツ。新幹線まで持っていこうか、その場で食べてしまおうか迷った。

でも、せっかくだしみんなで思い出話と一緒に食べたほうがいいのではないか。そんなことを思って、新幹線に持っていく珍味のラインナップに加えた。

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こっちは取り寄せ品なのに売ってもらったサラミ。 こんな地元密着のお店の商品が、ドイツの国際コンテストで金賞を取っている!

これにて僕のいわて沼宮内の旅はおしまいである。ローカル線に乗って盛岡に戻り、帰りの新幹線を待つ間、カメラで写真を見返していた。

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最初にホームの窓から撮った写真

撮ったときは、正直言って、「何もないな…」と思った景色である。でも今になって見返してみると、今日通った道があり、橋があり、ホームセンターがあり、道の駅があり、肉屋があり、いろんなものが「ある」。

正直、僕はそんなに社交的な方ではないので、旅先での人の関わりといってもたかが知れている。それでも、地元のお店や町並みに触れ、そして時には人に直接優しくしてもらったりしているうちに、その土地の人々の生活が自分にも少し浸み込んでくるような気がする。「何もない」だった土地が、少しずつ「ある」に変わっていく。

「何もない」を「ある」に変えていく作業、それが旅なのかもしれない。

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