特集 2025年5月1日

1968年発売の初代人生ゲームで遊ぼう

ひょんなことから、1968年に発売された人生ゲーム(初代)を手に入れた。

1960年代の人生、いったいどうなってるんだ。遊んでみようではないか。

1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー)

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出会いは突然に

今年の2月にセカンドストリート(セカスト)に行ったときのこと。

古着や中古楽器に混ざって、ボードゲームのコーナーがあった。遊び終わったドンジャラとかが売られていて、そのなかにあったのがボロボロの人生ゲームだった。

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THE GAME OF LIFE

お値段300円。見るからに古い。箱が劣化して、ちょっと触るとポロポロ崩れるほど。なんならちょっと穴が空いて中が見えたりしてる。

そのときは「へぁ~!こんなのも売ってるんだ」ぐらいで、その場は終わった。終わったのだけど、家に帰ってからずっと心の中に引っかかっていた。

なんかあの人生ゲーム、やたら古くなかった……?

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人生ゲームにこんなおじさんいたっけ? 作者かな? と思ったけど、”I heartily endorse this game"(このゲーム、マジでおすすめ!)って言ってるので違うかも。

調べてみると、タカラトミーに人生ゲームの歴史をまとめたサイトがあった。そこにある「最初に発売された人生ゲーム」が、まさに僕がセカストで見た人生ゲームではないか。

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これじゃん!(タカラトミーのサイト「人生ゲームとは?」より)

ということは、あれって正真正銘の初代人生ゲーム……!?

じゃぁめちゃくちゃ貴重なやつじゃないの? 300円で売っていいの? とドキドキしたものの、メルカリを見たら数千円でそこそこの数が出品されている。あれだけ箱がボロボロなら300円もやむなし。そうか。

いやそれよりも、ゲームになっている1960年代の人生って、どんな感じなんだろう。なにで喜んで、なにでお金を失ってるんだろう。

気になる。買っておいたほうがよかったんじゃないか。どうしてスルーしたんだろう。もう他の誰かの人生になってるのかも。なんということだ。こうしちゃいられないぞ。

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娘に「そんなにすぐ売れちゃうわけないでしょ」と言われながら、次の日急いで買いに行った。まだあった。
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「人生の哀歓(あいかん)を繰りひろげながら早く億万長者になったひとが勝つゲームです」。僕らの人生が繰り広げているのって哀歓だったんだ。
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羊がとなりの家のランを食う

家に帰ってさっそく開封……と思ったのだが、買えた安心感と年度末の忙しさ、さらに確定申告の荒波にもまれ、すっかり先延ばしに。他人の人生より自分の還付金。4月になってようやく開封。オープンザ人生。

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盤面はこんな感じ。コースはぐねぐねしていて、背景は広大な農地をイメージさせる。やっぱり黄色は小麦かな。
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初代から「あのルーレット」だったんだ。しかも、カラカラカラ~とちゃんと動作してくれた。60年近く前のものなのに。

タカラトミーのサイトによると、この人生ゲームはアメリカで生まれた『THE LIFE OF GAME』を原形に作られた日本版とのこと。盤面は本家アメリカ版を踏襲し、マス目は日本語に直訳されている。

つまり、この人生ゲームにおける「人生」は、1960年代アメリカのものだ。黄金の60年代。つかめアメリカン・ドリーム。どんなイベントが待ち構えているのだろう。

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スタートから2マスで「にげたサーカスの象をみつけ、$1,500もらう」。なんだこのロケットスタートな人生は。
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「羊がとなりの家のランを食った」。まさかの隣人トラブル
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火星人にご飯をおごる場面も。結構いい店行ったな。地球なめられたくないもんな。
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借金を残して死んだはずの叔父が、しばらく後にブタ箱に入れられてしまう。生きていたのか叔父。どちらにしてもいい迷惑。

他にも「裁判で勝つ」「ラスベガスで賭けをして儲ける」「高級車ロールスロイスを買う」といったザ・アメリカなものが目立つ。

「高級車を買う」じゃなくて、”ロールスロイス”まで書いちゃうんだ。よほど憧れだったんだろうな。

車といえば、プレイヤーのコマはおなじみの「あの車」である。ルーレットと同様、これも人生ゲームのアイデンティティとして、現在まで受け継がれてきたようだ。

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結婚したり子どもが生まれたりしたらピンを刺すシステムもそのまま。
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ただ、ルールを見ると「4人以上の子どもを出産したときは、実生活と同様自動車のうえに押しこみます」と書いてある。
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こんな実生活はいやだ

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