特集 2012年7月11日

子供のイラストが妙な表情してる遊び

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先日なんとなくネタになるかなと思い、 図書館でむかしの子供の遊びを紹介した本を読んだ。

その本には楽しそうな遊びからちょっとそれはどうかと思うようなものまで 知らない遊びがいっぱい載ってる。 とくにそういう遊びに詳しいわけでもなかったから、 日本の遊びの文化に心奪われた。

しかしもっとも心奪われたのは、そこに載ってたイラストだった。 遊んでる子供がなんだか楽しくなさそうなのだ。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

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遊ぶことの光りと闇

そのイラストが載っている、図書館で借りた本はこの2冊。
リアルタッチのイラストから漂う不穏な空気。
リアルタッチのイラストから漂う不穏な空気。
もちろん内容はいたってまじめで、自然物を使った楽しい遊びが紹介されている。
エノコログサ、通称ねこじゃらしを使った遊びなど。
エノコログサ、通称ねこじゃらしを使った遊びなど。
うん、遊んだことある。本当に猫をじゃらせたりして楽しいエノコログサだ。 当然本にはそれだけではなくもっと活用した遊び方が載っている。

例えば裂いた穂先を鼻の下につける「ひげ」という遊びだ。
すごい不満顔。
すごい不満顔。
鼻の下に乗せるために口を突き出さないといけないのは分かるけど、 その顔はどうだろう。

本人が好きでやってるわけじゃないのか。 まさか親がムリヤリ・・・そんな裏事情を想像してしまう。
ドングリでやじろべえを作るオーソドックスな遊び。
ドングリでやじろべえを作るオーソドックスな遊び。
今度はかつてないドヤ顔。
今度はかつてないドヤ顔。
楽しいのは分かるけどなにもそこまで自信満々でなくても。 いや実際に遊んでみたらそうなるのかもしれない。こればかりはやってみないと分からないか。

当然ながらこのような遊び自体よりも注目してしまうイラストは全体の2割程度で、 ほとんどは素直に楽しそうなイラスト。ただやはりグッと来るイラストが印象に残る。 他にも抜粋してみよう。
そんな顔するならやめればいいのに。
そんな顔するならやめればいいのに。
この女、夜を知っている。
この女、夜を知っている。
頼むから楽しそうに遊んでくれ。
頼むから楽しそうに遊んでくれ。
だからといってこんな笑顔はなんかヤだ。
だからといってこんな笑顔はなんかヤだ。
ひとつひとつの遊び自体は楽しそうなのに、妙な味わいのイラストによって 全体的にかわいそうな雰囲気を感じてしまうのはなんでだろう。
顔がふつうじゃない。
顔がふつうじゃない。
「スキー、買ってもらえんかった…」
「スキー、買ってもらえんかった…」
「靴も買ってもらえんかった…」
「靴も買ってもらえんかった…」
なんかがんばれ、となぜか応援したくなる。遊んでるだけなのに。
これは楽しそう。
これは楽しそう。
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遊んでみよう

このイラストはなんで不満そうなのかはたまた悲しそうなのか、見てるだけでは答えは出ない。だからここからは気になったイラストの遊びを実際にやってみよう。 ひょっとしたら本当にあんな顔になるかもしれないじゃないか。
まずはこのドングリ拾い。「ドングリをたくさん拾ってくる」の説明がないと安心できない。
まずはこのドングリ拾い。「ドングリをたくさん拾ってくる」の説明がないと安心できない。
でも今の時期にドングリはないのでこれで代用。
でも今の時期にドングリはないのでこれで代用。
犬に全部拾われそうで怖い。
犬に全部拾われそうで怖い。
ドングリ拾いの楽しさは本物のドングリじゃないと味わえないことは 分かってますが、大人の事情なのですみません。
投げる。
投げる。
探す。
探す。
イラストみたいな顔になってるか。
アンニュイな雰囲気は近い?
アンニュイな雰囲気は近い?
やってることはドングリ拾いというよりただ投げた物を拾ってるだけでしかない。

それなのになんとなくちょっと近い感じがするのは、 ひょっとしたらイラストの子供も自分で投げたドングリを拾ってる可能性がある。

やじろべえでドヤ顔になるか

いきなり背景が変わったのは竹串を忘れて買いに行った先の近くの公園だからです。で、やじろべえ作りました。
いきなり背景が変わったのは竹串を忘れて買いに行った先の近くの公園だからです。で、やじろべえ作りました。
あっ。
あっ。
臨機応変な対応は遊びの基本だから。
臨機応変な対応は遊びの基本だから。
さすがにこれであの顔はムリです。
さすがにこれであの顔はムリです。
自分なりのドヤ顔をがんばってしてみた意図不明になってしまいコメントしづらい。

しかし実際にやじろべえを作ってみるとこれがかなりむずかしい。 これは本物のやじろべえが完成したら、確かにイラストのようなドヤ顔もしていまいそうだ。

悲しそうなリボン

こういう妖怪と言ってもしっくりくる。
こういう妖怪と言ってもしっくりくる。
シックな色合いの大人のリボン。
シックな色合いの大人のリボン。
当然こうなります。
当然こうなります。
性別とか年齢とかいろいろあるから。

ということを抜きにしても、風呂入ってる人にしか見えません。
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不満顔のひげ

最初に紹介した、ねこじゃらしを使ったヒゲの遊びもやってみよう。
あ、これは不満顔にならざるを得ない。
あ、これは不満顔にならざるを得ない。
唇を突き出したって不満な顔にはならないだろうと思っていたけど、 いざやってみると顔全体に力が入るから目元も普通にしている余裕がなくなる。

その結果、イラスト通りの不満な顔に確実になってしまう。 あのイラストは状況を的確に表現してると言えるだろう。
「パンチはこう打つんよ」
「パンチはこう打つんよ」
いや誰とか言われても困りますが。

ちょっと前ネットで話題になった的遊び

イラストの中には悲しそうとかとはまた違ったジャンルの 絵もあったりする。
ハトぶえという手を使った笛の吹き方。
ハトぶえという手を使った笛の吹き方。
あれ?年収が低すぎる人?
あれ?年収が低すぎる人?
年収が低すぎる人というのは、ちょっと前にインターネットの中くらいの範囲で流行ったネット広告である。(画像検索

偶然似たようなことになるのはよくあることだと思う。
ただ目が真剣すぎる分、こっちの方がかなり深刻に年収低そうだ。
こういうの鳴らせたことない。
こういうの鳴らせたことない。
空気が漏れないように力一杯吹く。
空気が漏れないように力一杯吹く。
力入れすぎて白目になってた。
力入れすぎて白目になってた。
気を失ってるみたいで、年収低すぎショックを受けている様子はかなり出たと思う。

ちなみに音は全然出ませんでした。

遊び自体もなんかすごい「目はじき」

イラストの顔が、というより遊び自体が顔をおかしくするような楽しい遊びもある。
植物のオオバコを口にくわえてまぶたに引っかける。謎のガッツポーズも眩しい。
植物のオオバコを口にくわえてまぶたに引っかける。謎のガッツポーズも眩しい。
探すと結構どこにでもあるオオバコ。
探すと結構どこにでもあるオオバコ。
これは遊びですか?それとも奇行ですか?
これは遊びですか?それとも奇行ですか?
しかしガッツポーズしたくなる気持ちは分かる。
しかしガッツポーズしたくなる気持ちは分かる。
オオバコの数を思い切って6本にしてみよう。
オオバコの数を思い切って6本にしてみよう。
いろいろとヤバめ。
いろいろとヤバめ。
よく料理の話で、元の見た目が良くない食材を最初に食べた人はエライ、なんて言いますが、この遊びを最初に考えた人も相当な人だったと思います。発想すごすぎ。

そして大人が一人でやると遊びではなくなるという一面もあるのがすごい。

もはや遊ばない遊び

最後はもう遊びません。
いいよね。寝転ぶの。
いいよね。寝転ぶの。
でもこの辺りはじっとりしてるからあまり気持ちよくない。
でもこの辺りはじっとりしてるからあまり気持ちよくない。
でもここまで気持ちよくなるのはやめた方がいいと思います。
でもここまで気持ちよくなるのはやめた方がいいと思います。

みんな大人の表情

なんだか妙な雰囲気の表情で遊んでいる子供のイラスト。 実際に遊んでみると、納得できたりできなかったり様々だった。

ただどれも共通するのは、子供の無邪気な顔、 というよりも大人の複雑な表情に近い気がする。

もう素直に楽しむことを忘れてしまった大人の、 子供時代に対する深い悲しみが表されていると勝手に思ういながら今日も生きていきます。
800年前まで中国で行われていた拷問。
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