骨を再利用する
「壊れた傘 再利用」で検索するとその利用方法は結構出てくる。ただ多くは布を加工したもので、傘の本体と呼べる骨を再利用した物は探した範囲では見かけない。
こうやって見るとすごくメカメカしててかっこいい。
布は確かに防水加工されてるから利用シーンが多いんだろう。ただ3000円のうちの2700円ぐらいは骨の部分にある気がする。だってなんか複雑な動きして開いたり閉じたりするから。
ということで布は捨て去って、骨の部分を再利用することにした。
まず布を切り落とす。
中世の貴族が首にしてるヒラヒラみたいなのがあった。
骨だけになるとむしろすごい良い物になった気がする。
これは良い物だぞ。
壊れた傘のままだとただの悲しいゴミだったのが、骨だけにすると途端にかっこいいメカになった。「いやオレ最初からこういうのっすから」みたいな開き直った感もある。
それでどうしよう
傘を開く機構の部分を再利用することにしたはいいけど、これからどうするのかは全然決めてない。
ここを上下させると開いたり閉じたりするのか。
と、ものすごく当たり前なことを確認。そもそも傘の動かせるところはここぐらいしかないので、なんらかの加工をするとしたら、この部分をいじくるぐらいしか方法はなさそう。
ということでこういうのを考えてしまいました。
開いたり閉じたりを繰り返すマシン
だってこうとしか動かないから。
とにかくこの設計図(言っちゃった)の通りに動いてくれれば、機能は後から付いてくるはずだ。たぶん。
作る
目的地は一切決まってないままに、とりあえず方向性だけは決まったから作り始めよう。
着地点がまったく決まってないまま進めるのに不安はあるけど、でもこれはあれだ、天竺を目指してなんとなく西に向かっていくようなものだ。西遊記工作。
まずは上下に動くための動力を作る。
傘を開く部分とこのように繋げて
動力と傘を合体させる。
出来た。
写真だとすごい簡単になんの迷いもなく完成したみたいだが、ここまで実際には18時間ぐらいかかってる。
ただその間の写真をほとんど撮ってなかった。実は工作があまりにうまくいかなくて写真を撮る余裕がなかったのだ。
撮ってた写真は一応あっても、撮影者自身何をやってるところかさっぱり分かりません。
とくに動力のモーターと傘を合体させる方法がいまの形になるまで大変だった。洗濯ばさみの上にモーターを乗っければいいのではと思って、巨大な洗濯ばさみを探し始めるぐらいだ。
でもいまとなっては完成したからいいじゃないか。
してないよ!
下に引っ張る動きが傘の可動域を越えて、ウニュ~てなってしまった。あぁダメだ。
「傘で棒がウニュ~マシン」の完成である。
と言って許されるのならそうしたい。
作り直そうとして直せてない
さっきうまくいかなかったのは可動域の問題もあれば、モーターで動かすスライダと傘の上下して開くところが遠かったというのもあるかもしれない。
知識がないため経験からそう推測してみたが、よく考えたら経験も全然ないためそれも合ってるかどうか自信がない。ただもうそれぐらいしか思いつかないんです。
ということでバージョン2.0。
パッと見た感じでは前のと違いが分かりにくいかもしれないが、細かい違いは気にしなくても大丈夫。なぜなら「動かない」という点でまったく同じだからだ。
可動域の問題は解決したものの、今度はモーターの力が足りなくて傘を持ち上げられない。かといってギアを強くすると動きが遅すぎて地味すぎる動きになる。
ヤケクソに油を注入してもダメ。
前のでは同じギアでも動かせたのになんで…。突然傘にかかる重力だけが大きくなったとしか思えない。
サーボーモーター導入
その後色々と努力(仮眠とか)するもこの問題点は改善出来ず、ギアはあきらめて別のモーターを使うことにした。
サーボモーターです。
見た目も鮮やかかつハイテクに。ハイテックと言っても良い。
うごくうごく。
自動洗濯物揺らしマシン
動いたことに満足してうっかり終わりそうになってしまった。ここで終わってしまっては、再利用したというよりもやっかいなゴミを増やしただけである。
そこで考えました。このように洗濯ばさみを付ければ、
なんということでしょう。洗濯物を自動で乾かせられます。
「なんかおもしろいよね。全然ダメだけどね」
というぐらい全然ダメだった。
自動鈴鳴らしマシン
洗濯物は重すぎた。そもそも台風によって壊された手負いの傘(3000円)にそんな労働をさせるのは酷だったかもしれない。ゴメン。
やはり捨てられていく運命の壊れた傘、どうせならもっと派手でハッピーな最後にしてあげたい。
なので鈴を付けよう。
背景がゴチャゴチャしててすいません。あと割と黒を基調としてるのもすいません。
いい。これはいい。とっても賑やかで捨てられる寸前だった傘とは思えない。鈴の感覚も、フレーフレーと応援してるみたいに聞こえる。壊れた傘が蘇った瞬間だ。
公園で子供を応援
壊れた傘を再利用して実用的な物を・・と作り始めたら最終的にちっとも実用的でなさそうなのが出来た。
しかしそれは使い方次第である。なにも家庭で役立つのがエライわけではないのだ。
公園に謎の物体登場。
広場には親と一緒に自転車の練習をしている子供達の姿が見える。
ちょうどいい、この自動鈴鳴らしマシンを使って、がんばっている子供達を応援してあげようじゃないか。
ほとんど存在しないものとして少しも見向きもせず通り過ぎていった。
でも応援というのはそういう見返りを求めてするものではないから、捨てられる寸前だった傘が子供を応援している、という美しい事実だけでいいじゃない。
感動をありがとう。
インタラクティブなインテリアとしても
今度はおしゃれ空間に出没。
こういう場所に置くと一気におしゃれインテリアに見える。 francfrancとかで売れるかもしれない。1万5千円ぐらいで。
ただこのような静かな室内で鈴を鳴らすのは少し気が引ける。そこでよりおしゃれでうるさすぎないインテリアとするためにゴールドな布を付けよう。
これを股に挟んで歩くのが渋谷で流行中。
なぜか知らないがジュリアナ東京を思い出した。つまりそれほどゴージャスだということだ。
おしゃれ×ゴージャス=無限大
つい適当なキャプションを付けてしまうぐらい様になっている。
面接官を待つ就活生というシーンにおけるゴージャス。
引退の花道
作った機構としては単に上下させるだけのものだったが、傘そのものの骨組みが複雑だったため上下させるだけでも結構おもしろい動きをさせることが出来た。
生まれたての小鳥が必死で羽ばたいてるようにも見えたその動き。壊れた傘の再利用ということで骨だけで作ってみたけど、布があったら羽ばたいて飛んでいったかもしれない。
もしそうなったら、壊れた傘にとってそれ以上のハッピーエンドはないでしょうね。