偉業を日常に持ち込む
現在、世界中の山はすでに人類によって登りつくされたと言っていい。したがってこれから山岳史に名前を刻むには登り方の条件を厳しくしていくしかない。
単独無酸素という条件を課すやり方がある。文字通り、たった一人で酸素ボンベを使わずに高い山に登るのだ。
でもこれ、考えようによっては日常にも適用できるんじゃないだろうか。
例えば高いビル。いまやエレベーターを使って登られていないビルはないだろう。
しかし条件を厳しくしたらどうだろうか。そう、単独無酸素で登るのだ。息を止めて一気にてっぺんまで上がった人は今までいないんじゃないか、しかも一人で。
というわけで今日はエレベーターを使ったビル登頂の歴史に新しい一歩を刻みたいと思う。
しかしながらエレベーターは山と同様に公共のもの。人に迷惑をかけるようなことはしたくない。ドアが開いたら鼻から黄色いの出てる人がぜいぜい言っていたらちょっと乗れないだろう。
ということで道具を加工してみた。長さを半分にし、黒く塗りつぶす。これは目立たなくするためのほかに軽量化という目的もある。エベレストなんかを登る人は鉛筆一本の重さも軽量化するため、半分にしたりすると聞いた。同じだ。
これで鼻からはまったく息を吸うことができない(吐くことはできます、黒いのが飛び出すけど)。
これを使って単独無酸素登頂をめざしたい。
まずは低いところから試してみよう。ニフティが入っている大森ベルポートというビルだ。
17階への挑戦
このビルは地上17階建て。単独無酸素の訓練にはちょうどいい高さではないか。
なるべく人のいない時間帯を選んでエレベーターに乗り込み、すかさず最上階の17階を押す。
初の試みだったのだが、あっさりと成功してしまった。
大森ベルポート、単独無酸素エレベーター登頂、第一号は僕だ(たぶん)。
登りながら時間も計っていたのだが、1階のベースキャンプから山頂までが約32秒。このくらいの時間ならばさほど苦もなく無酸素登頂できるということがわかった。
しかし途中で人が乗ってくると急に話は難しくなる。途中で止まることによるタイムロスが発生するからだ(あと恥ずかしいし)。これは単独行を阻む問題といえる。
途中で誰も乗ってこない、という部分にかなり運的な要素も感じるが、登山だって天候とかいろいろな条件がそろってはじめてなし得るものなのだろう。
同じだ。
今読んでる人は全員が(違う)って言ってるかと思うが、記事を続けるためにあえて言い切りたい。同じなのだ。